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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  戦いと欲望の質と決着


仮面ライダーオーズ、これまでの三つの出来事

一つ!
コアメダルの実験中に出現した仮面ライダートーチが、オーズへと戦いを仕掛けてきた!

二つ!
幾度となく戦うオーズ、バースだが、その攻撃にバースが戦闘不能となってしまった。

そして三つ!
再び姿をくらませたトーチを、次こそは勝つと意気込む映司たちであった!!


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トーチの誕生した日の、翌朝。
とはいえ、まだ日は沈んでいて暗い時間だが。

病室でむくりと身体を起こした火野映司は、グッグッと身体を伸ばし、ベッドから降りてさらに柔軟をしていく。


医者に見つかると厄介だ。
そろりそろりと病室を抜け出し、ドアの脇に立っていたアンクがその後ろについて進む。


「身体は動くんだろうなァ?」

「お前こそ、セルメダルろくに食ってないだろ」

「ま、ダメならお互い、死ぬしかないってことだ」

「つまり、どうにかするしかない、ってわけか」

「楽じゃねぇよなァ」

「生きるってのは、どんな道でも楽じゃないと思うよ。ただ、それを楽しいと思うか辛いと思うかの違いさ。クオリティ・オブ・ライフ、って言葉もあるだろ?」

「俺にとっては欲望の方が大事だ」


たまに靴底と廊下の床が擦れてキュッと音がするが、それ以外は静かなものである。

そして病院の扉を開き、外に出るとそこにいたのは


「比奈ちゃん?」

「お前、何しに来た」

「えっと、そのね」

「うん」

病院の前にいた泉比奈。
地平線の向こうに太陽がいるのか、周囲は薄暗い程度の明るさを得ていた。

彼女が立っていたことに驚く映司。
そしてさらに驚いたのは、彼女は彼らを止めるためにここにいるのではないと知ったからだ。


「今日のクスクシエ」

「は?」

「え?」

「オーズ・火野映司特集らしいので、絶対に来てくださいね」

「・・・・はは、そっか。じゃ、絶対行くよ」

「おい!アイス山ほど用意しとけ」

「はいはい。でもアンクは食べ過ぎないでね」

「知るか」

そんな日常の会話を交えて、二人は病院の敷地外へ。
直後、走りさっていくライドベンダーが二台。


「頑張ってね」

そう言って、比奈は空を見た。
今日の予報は曇りのち晴れ。

戦いもその通りに終わればいいなと、想いを馳せるのであった。


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それから数十分後
アンクと映司は、コア・バンクのあった施設跡にやってきていた。

もうすでに倒壊されたここならば、思い切り戦っても問題はないはずだ。

さらに言うならば、ここにはすでに奴がいる。



「ようやく来たか。オーズ」

「ああ。決着をつけに来た」

ス、カシュウ!


「俺の欲望を満たすため、お前という犠牲を払ってもらうぞ」

「俺にそのつもりはないよ。俺はお前に勝つ」

カチカチン


「あと、俺は犠牲を払うような欲望の果たし方は、好きじゃない」

「何も失わずに何かを得ようというのか。それはまた大それた欲望だな」

カチン、スッ



「おいガキグリード。お前、こいつをナメないほうがいいぞ」

「なんだと?」

キンキンキン!!



「そいつの欲望はなァ、この世界丸々自分の家族だと思っちまうような、バカでかいもんだ」

「・・・・は?」

「バカだからできるんだよ。だからこいつと組むのは面白れぇ」


「変身!!」

《タカ!トラ!!バッタ!!!》


「覚悟しておけよ。目的も何もないただのグリードのテメェじゃ、今のこいつは手に余るはずだからなァ」

《タットッバッ!タトバ、タットッバッ!》


会話を交え、変身を完了するオーズ。
その姿は、基本形態であるタトバコンボ。


これだけのことを言うのだから、いったいどれだけのコンボで来るかと思えばこれだ。
腰に手を当て、クックックと笑い、そしてトーチが吠えた。



「舐めているのはどちらか・・・・・この後に及んで基本コンボだと?やはり貴様は、王としてッ!!その度量などありはしない!!」

《トリプル!!スキャニングチャージ!!!》


開戦。
それは、トーチの振るったオーズバニッシュ――――この場合は、トーチバニッシュとなるのだろうか。

それによって、空間がねじれて爆発が起こったのが狼煙となった。



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「ダッ!!」

開戦と同時、オーズは勢いよく駆け出していた。

バッタレッグを用いての低空スライディングで、横に薙ぎ払われたトーチバニッシュを回避。
振り下ろされていたメダジャリバーにトラクローを挟み、捻りあげてその手から奪い取る。

そしてそのまま後ろに放り、メダジャリバーが地面に突き刺さった。


「なに!?」

その速度にトーチは驚き、その隙にオーズがメダルをチェンジしてコンボを変える。


《タカ!トラ!!チーター!!!》

「はッ!!」

「このッ!?」


瞬時に速度が変わるオーズ。
チーターレッグを活用しての翻弄。

そして一瞬のスキをついて肩を掴み、その胸元に連続での蹴りを打ち続け始めた。


だがそれを受けて何もしないトーチではない。
時間にして二秒。回数にして80回以上蹴られたトーチは、即座にベルトにグリズリーを表示した。


直後、オーズが胸元から火花を吹きだして弾き飛ばされた。
地面を転がり、受け身をとってそのまま起き上がるオーズ。

だが、それを狙ってかトーチの爪がオーズの首や腹などの急所を狙って襲い掛かってきていた。


数多くの戦闘の経験から、オーズはそれを回避できていた。
だが、次第に追い詰められている。段々と回避の余裕が削り取られて


「映司!!」

「邪魔をするな!!」

アンクが炎弾を放つが、それを弾き返されてアンクが後退する。
その隙に屑ヤミーを召喚し、アンクの足止めを命じるトーチ。


そして更にその隙を殺すかのように、トーチのベルトのメダルがパンサーへと切り替わり


「シュッ!!」

「ウがっ!!!?」


パンサーレッグに空いていた穴から、一気に噴き出したジェット噴射で、トーチの動きがオーズを凌駕した。
ドンッッ!!といきなり体当たりをされたオーズは、倉庫の壁に激突して貫通、三つほど先の倉庫の中から、よろりと外に現れ出てきた。


それを狙って、今度はカイゼルコアメダルを表示して突っ込んでいくトーチ。
オーズがそれに気づいた時にはもう遅く、彼の胴体は挟まれ、大型クレーンに叩き付けられてぶら下がった。

そして角をひっこめ、次にグリズリークローでオーズの首根っこを掴む。
一瞬オーズの身体が角から離れて解放されるが、すぐに首からクレーン車に押し付けられてまた同じような姿勢になった。



「お前はただ、王の力を得ただけだ。その器があったとしても、貴様に統治の器はない!!支配など、貴様のものではないのだ!!」

ギチリと、トーチの腕に力が籠められる。
ガッ!!と息を掃き出し、その腕に掴みかかるオーズだが、その万力はみじんも揺らがなかった。

「俺が支配する。されるのは貴様だ!!その命を微塵に切り裂き、串刺し、踏みつぶして俺は貴様の玉座を手に入れる!!!グッ!?」


意気揚々と叫ぶトーチ。だが、その最後に声を上げて痛みを訴えた。
オーズの、自分の腕を掴む力が、強い。


(何だ今のは。力は変わっていない。にもかかわらず、なぜ俺は痛みを・・・・?)


「お前のは欲望であって欲望じゃない」

「・・・・なんだと?」

「欲望っていうのは、生きようとするエネルギーそのもの」

カチチン


「何かを成し遂げようと、何かを満たそうとして、そのために精一杯人生を駆け抜けるだけの膨大なエネルギーが欲望なんだ」

キキキン!!

「支配するための支配。欲望を満たすための欲望には未来がない。お前は空っぽだ。何もない。何の意味もなく欲望を口にするお前は、ただの我が儘と何も変わらない!!!」


(あ、熱い!!そうか。これは、この痛みは!!力によるものではなく、熱による浸食!!!)

そこまでいって、ようやくトーチはそれに気付いた。

泡立っている。
オーズを押し付けているクレーン車の表面が、グツグツと煮え立って溶解し始めている――――!!!




「これが真の欲望の力」

《タカ!クジャク!!コンドル!!!》

「何かを成し遂げようと、あらゆる覚悟を決めた、人の。人間の力の源だ!!!」

《タージャーァドルゥー!!!》


「ダァッ!!」

「ぅ、おっ!?」

仮面ライダーオーズ・タジャドルコンボ、飛翔。

背から生えた無数の羽根は、クレーン車をドロドロに溶かしてなお余りあるエネルギーを発している。



トーチはどうにかしてオーズを地上に引きずりおろそうとするものの、ついには足が浮き、グォン!!と身を翻したオーズによって振りほどかれてしまった。


「クッ!!!」

「俺は何も捨てはしない!!俺の欲望は、俺の求めたものは!!みんなとつながる、強い絆だから!!」

《タカ!クジャク!!コンドル!!!ギンギンギンギン!!ギガスキャン!!》

「セイヤァッッ!!」

「チッ!!」



タジャドルコンボのマグナブレイズ。間違いなく、必殺技だ。
だが、それを相手にしてなおトーチの地力は勝っている。

トーチのベルト「トーチコンバーター」中心に表れたのは再びカイゼル。


頭部に刺突するための鋭利な形にエネルギーが収束し、マグナブレイズとストレートクラッシュが真正面から衝突した。


ガッッ!!と、その光景の凄まじさとは裏腹に単純なまでの衝突音。
その結果はというと、オーズは着地に失敗して転がり、トーチは見事に角を振り上げていた。

俺の勝ちだ、と胸を張って頭を上げるトーチ。


だが、オーズは立ち上がり即座にメダルを変える。
次のコンボは、緑のコンボ。


オーズの持つメダルの中で、最強の一つに位置づけられるコンボ。
それは


《クワガタ!カマキリ!!バッタ!!!》

《ガーッタガタキリバッ!ガタキリバ!!》

『ハァッッ!!!』

ガタキリバコンボが瞬時に50体の分身へと姿を変え、一斉にトーチへと襲い掛かっていく。
それをトーチはストレートクラッシュの連発で粉砕していくが、あまりに広範囲。そして人数差の前では、この直線攻撃はあまりにも振りすぎる。


ならば


「グリズリーだ」

ガチン、と現れるグリズリーコアメダル。
そして飛び出すグリズリークロー。

その爪に強大な力が充填されていき、毛の意匠の装甲「ファンガードナー」がブシュゥ!と蒸気を吹きだした。

対し、ガタキリバコンボが跳躍した。
一斉にスキャニングチャージを発動し、扇状に広がった彼らが一斉にトーチという一点に向かってガタキリバキックを放ったのだ。


そして、トーチは

「ヌゥアア!!!」

剛腕を振るった。
爪から発せられた斬撃はエネルギーを得て広範囲をなぎ飛ばし、さらにはそのエネルギーを帯状のビームで撃ち放ってきたのだ。

カイゼルの一直線攻撃に対しての、扇状の広範囲攻撃「ガーガンボウガラー」
それらはガタキリバコンボの分身を次々に打ち負かし、到達した数体がその蹴りを当てるも爪に電撃を纏わせるに留まり弾かれてしまった。



ハァァアアアアアア!!!と全身を振るわせて呼気を吐き出すトーチ。
だが、畳みかけるのが作戦なのか。オーズのコンボチェンジは止まらない。


《タカ!トラ!!バッタ!!!》

「チッ・・・・またそれか!!!」


起き上がるトーチ。
オーズの手を見ると、メダジャリバーが握られている。

それならばとトーチもまた、メダジャリバーを拾い上げてセルメダルを込める。



オーズバッシュ、若しくはトーチバッシュは、時空ごと敵を切り裂く大技だ。
その後に斬りたい目標だけに斬撃を残し、ほかの対象物は元に戻り無傷という奇妙な斬撃武器。

だが、相手のセルメダルにはきりがある。
それがなくなるまで、こちらはトーチバッシュを叩き込むまで。

切り返すならするがいい。
相殺ならばいくらでもしろ。


だが、最後に勝つのは俺だ。



《《トリプル!スキャニングチャージ!!》》


そら来たぞ。
やはり同時か。

だが同時に斬らねば、死ぬのは自分だぞ!!!


「破ァッッ!!!」

トーチがメダジャリバーを振るう。
だが、振るってから気づいた。こいつ、まだ攻撃をしていない―――――


メダジャリバーを振るったトーチに対し、オーズはただ跳躍しただけである。

だが、確実に命中した。
周囲の光景とともに、オーズの身体が上下で裂けたのだ。

そして後は、オーズの身体のみに斬撃が取り残されて爆散する様を見届けるだけ―――――


「フンッッ!!」

「何ッッ!?」

が、結果としてそうはならなかった。
何とオーズは、中でジャンプしながら着られることを予測していた火野映司は


「み、自らに刃を入れるだと!?」

自分の切り裂かれた胴体に向かって、逆の切り上げで器用に切りつけたのである。


するとどうか。
歪んだ空間は修復され、オーズバニッシュとトーチバニッシュは見事に相殺され無効となったではないか。


「バカな・・・そのような手段に出てくるとは貴様バカか!!!」

「言っただろう!!バカの相手は覚悟がいるってなァ!!」

叫ぶトーチに、屑ヤミーをこの場から逃がさないよう戦うアンクからの声が届く。



「くそ。だがなァ!!!」

ガチリと出現するパンサーコアメダル。
すでに跳躍し、スキャニングチャージまで済ませたオーズは、後はトーチに向かってタトバキックをぶち当てるだけだ。


だがトーチには自信があった。
自分の力はすでにこいつを超えている。

昨日の戦いを見て確信した。
そして今の攻防をとってみても、結局力では俺には及びもつかない。

トーチもまた跳躍し、オーズのタトバキックに対抗する。


統治、という名のくせに、支配を望むこの男は、さらに蹂躙すらをも選択した。
完膚までになくたたき潰し、完全に俺はこいつの上に立ち、支配し、君臨するのだ!!!


「セイヤァアアッ!!」

「オォオアッッ!!!」


空中でぶつかり合う、タトバキックとトーチキック。
赤黄緑の三色と、黄緑黒の三色が真正面から衝突した。

その発光はエネルギーとなり、周囲に爪跡を残してコンクリートを抉り飛ばす。


拮抗する両者の力。
だが、トーチについに、狼狽の様子が現れ始めた。



「ば、バカな・・・・何故だ!!何故拮抗する!!何故対抗できる!?俺は貴様の、貴様の何倍もの力をすでに得ているというのに!!!」

キックを緩めず。
しかし、叫ぶトーチは明らかに狼狽えている。

と、そこでパキィ!!と何かが割れた音がした。


トーチからだ。
トーチの頭部に当たるカイゼルの角にヒビが入り、左の角が折れてしまったのだ――――!!


「ば・・かなぁああ!!?」


「ハッ!!まさかお前、一度手にしたセルメダルは永遠に残るとか思ってんじゃねぇだろうなァ?」

「なに!?」


「オレ達にとってセルメダルは食事だ。聞くけどな、一度飯食ったら人間はそのまま腹はすかねぇのか?」

「な・・・んだと・・・・!?」


「昨日のあの瞬間のてめえなら、間違いなく俺たちを殺せた。だがな、一晩たって、しかもここでバカの相手に全力を出していきゃあせっかく溜めたセルメダルもなくなるに決まってんだろ!!」

「・・・・・!!!!」



トーチは、その自身の欲望を叶えるために全力だった。
だが、それはその欲望を果たした後を考えぬ「無謀」と言える行いだった。


対してオーズは、この戦闘で一切の無駄をしていない。

ストレートクラッシュとの激突は、オーズ本人がではなく、直前で放った火炎弾が爆発したのだ。
故に、あれだけすぐに立ち上がることができた。

トーチの消費に対して、オーズの消費は微々たるものだ。



二回目のガーガンボウガラーとの激突は、ガタキリバの磁場によってかろうじて直撃は避けていた。
とはいえ、そのダメージは一気にピーク近くまで跳ね上がったが。それでも、あの状態での最小限のダメージで終わらすことに成功していた。



そして三回目。
オーズバニッシュは、何もメダジャリバーに詰めた三枚のセルメダルだけでの威力ではない。

振るう者のエネルギーを用いて、その威力は変化する。
標的を切り分けるあたり、その流れの関連性は確かだろう。

それに対して、トーチは手加減することなく振るったのだ。
自分の中のセルメダルを消費して、ほかの余計なものまで切断範囲に入れてしまっていたのだ。



目的があるものならこうはならない。
何かを得ようとして行動するものは、それを得た後も考えるからだ。


それを考えなかったが故の、トーチの失策。
そして、空っぽが故にセルを溜めねばエネルギーは回復しない。


グリード寄りだから、ではない。
メダルから生まれたから、でもない。


一体何から生まれていようとも、その先を求める欲望があるのなら、いくらでもそのエネルギーは生まれ出る。


それが欲望。
果てなき人の、満たされるものを求める探求心。



それをはき違えたこの男に、最初から勝ち目などなかったのだ。



バキィッ!!!

「がぁぁあああ!!お、俺の爪が!!」

更にヒビ割れる箇所。
今度はグリズリークローがヒビわれ、ボロボロと落ちていってしまった。


そしてそのヒビは広がっていき、ついに全身を回り、ベルトに達し、そして



「ぉぉォォオオオオオオァァアアアアああ!!!」

「セイ―――――ァぁアぁああああああ!!!!」

ズガゥッッ!!

「セイヤァアアッ!!!」

ドォンッッ!!


爆発。
空中で起きたそれは、オーズとトーチの身体をそれぞれ弾き飛ばして大地に落とした。

オーズは受け身をとって転がり立ち上がるが、トーチは着地すると左脚がメダルになって砕けてしまった。


ガクリと身体が崩れ、しかしそれでも立ち上がろうとする。



「俺は・・・・俺は欲望のままにする・・・お前たちも欲望のままにするがいい。それが俺を強くする!!!」

ザぁッッ!!!


「これは!?」

「チッ、あの野郎・・・・最後の大勝負に出やがったな」


全身をセルメダルへと変換し、その中心に三枚のコアメダル。
セルメダルによる銀の球体へと化したトーチは、まるで目玉のように光る三枚のコアメダルをオーズに向けて、エネルギーを溜め始めた。


その収束に周囲のセルメダルは減り続け、球体は小さくなっていくが構わない。
今この怪物の目的は、オーズを粉砕撃破することだけしか考えていないのだから。

そして小さくなっているということは、それだけ砲撃のエネルギーは膨大なものへとなっていくことの証明だということだ。



対し、オーズも大地に腕を突っ込みメダガブリューを引き抜いた。
そして宙を飛ぶセルメダルを掴めるだけ掴み、さらにアンクの持つメダルの内八割を用いて、一気に「喰わせた」。

ゴックン!!という音声とともに、圧縮されたセルメダルからエネルギーが抽出され、メダガブリューバズーカモードの砲口に紫のエネルギーが溜めこまれていった。



「俺が最高だ!!俺が君臨する!!俺が、俺が、俺が支配し!!すべてを手に入れ、そして―――――すべてを統治するのである!!!!」

「それは間違いだ!!お前のその望みには未来がない!!目的がない!!欲望は何かのためにあるものだ。欲望のための欲望は、何も生まない!!何もつながらない!!」

《プットッティラ~ノ・ヒッサ~ツ!!!》



「ヴぉぉぉぉおお大おおおおおおお」

「ハぁッッ!!!」

ドギュゥッ!!!



互いに同時に、発射されたオーズのストレインドゥームと、トーチのディフォメーションブラスター。


しかし、拮抗しきっていたその力は逆転し、オーズが押し込み、そしてそれがトーチへと到達し



「ギァァアアアアああああああああ!!!!」

ブジュゥア!!と、煙を上げてセルを消し飛ばしコアをも焼き焦がし、完全に消滅させてしまった。












「ハァっ!!!」

砲撃を追え、それからしばらくその体制のまま固まっていた映司が、動き出して息を吐き出した。



そして倒れると同時に変身が解除され、青空を眺めて大笑いをした。



「おい映司!!」

「んだよアンク・・・・今ちょっと疲れてんだから・・・・」

「何言ってんだ!!アイス喰いに行くぞ!!今日は疲れた!!」

「おい、やめろ!!引き摺るなよ!!いてっ、いててててて!!待てって!俺まだ昨日の怪我だってア゛ァ゛ーーーー!!!」


トーチを撃破し、そんないつも通りでその場を去っていく二人。
と、その二人が去った後。


かつてトーチだったモノの燃えカスに、手を突っ込む男がいた。

そこから取り出したのは、三枚のコアメダル。
だがそれをグシャリと握り潰し、両手でこねくり始めた。


そうしながら、その場を去っていく。


「まずは一つ」



そんなことを呟いて、男は消えた。









オーズ現在のセルメダル

タカ・クジャク・コンドル
クワガタ・カマキリ・バッタ
ライオン・トラ・チーター
サイ・ゴリラ・ゾウ
シャチ・ウナギ・タコ
プテラ・トリケラ・ティラノ
コブラ・カメ・ワニ
スーパータカ・スーパートラ・スーパーバッタ

計24枚




to be continued
 
 

 
後書き

いやぁ、相変わらず終わらせるのが苦手でしょうがない!!
しかしともあれ、まずはオーズ編終了です。

なんだかあれですね。
第一章書いてるみたいな感じですね。

まあやはり一人一人はそんな長くならなさそうですねぇ。
なんといってもMOVIE大戦ですし!!




仮面ライダートーチ

コアメダルの怪物。
仮面ライダーと名乗ってはいるが、実際にはグリードに近い存在。

変身に使用するメダルはカイゼル、グリズリー、パンサー。
固有武器はないが、戦闘中に奪い取ったメダジャリバーを使用する。

誕生したコアメダルは、例に漏らさず鴻上コーポレーションが研究中のモノ。
意思のない、純粋な欲望エネルギーだけのコアメダルだったはずが、ある存在の介入によって意思を獲得した。

未来から来たポセイドンの目的が戦闘だったことに対し、トーチの目的は名前の通り統治、すなわち支配にある。
そのためにメダルライダーを狙い、コアメダル全種をそろえることを望む。


腰に備え付けられている「トーチコンバーター」は、通常何も表示されていない(グリードの腹部と同じ)
しかし、体内のコアメダルのうち一つを表示させ開放することで、その能力を十全に使用できる(そのシステム上、三つを同時に開放することはできない)

よってスキャニングチャージも三種存在する。
カイゼル・・・ストレートクラッシュ(直線攻撃)
グリズリー・・ガーガンボウガラー(広範囲攻撃)
パンサー・・・トーチキック(一体攻撃)


「王ではあっても、貴様は総べる器にはない!!」

「俺が支配する。されるのは貴様だ!!」

「欲望のままにするがいい。それが俺を強くする!!」


力をも支配し、頂点に君臨することを望むトーチ。
だが、それは本当に彼自身の意思なのか。その欲望は、存在意義であっても彼自身の欲望ではない。


「力があればいいというものではない。どう使用するかだ。どのように支配するかだ!!」




んじゃ、そろそろ



蒔風
「次回。へー、ンなことあったんだ」

ではまた次回

 
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