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歌集「冬寂月」

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 現をも

  わが身も恨めし

   なみだ雨

 想い形見に

    袖そ濡らしつ



 今あるこの世界…そして私自身も…恨めしくて仕方無い…。

 恋しいと嘆く心には涙雨が降り続き…一向に光の射す気配さえなく…。

 ただただ…思い出に涙するだけ…。



 恋しきは

  冬風いたみて

   荒立ちて

 灯火なくば

   朽ちて沈みし



 この恋しいと言う気持ちは、どうしたら良いのか…。

 冬の冷たい風が強く吹くほど、心の波は荒立って…愛しい人の姿を一目でもと…そう思ってしまうのだ…。

 そんな心の荒波を、どう進めば良いものか…標となる灯火もない今、朽ちて沈むだけなのだろうか…。

 世のなんと…無情なことよ…。



 
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