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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第四十話 休暇の終焉


エヴァンゼリンの後日談はまたあとです。
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第四十話 休暇の終焉

宇宙暦788年 帝国暦479年 1月1日

■自由惑星同盟ハイネセンポリス 最高評議会  最高評議会議長 ディオニシオ・エンリケス

 12月24日のクリスマスプレゼントとして帝国と同盟間の捕虜交換が発表されて以来,
我々の支持率は15ポイントも上昇した、此で次の選挙も安泰だ。
あとは帰還兵100万を待つばかりだ。

新年のパーティーは国防委員長が持ってきた、帝国産463年物ワインを飲み、
帝国産高級品趣向品で彩られた山海の珍味で舌鼓を打つ。
実に愉快な新年だ、市民は扱いやすいモノだ。

これで長期政権になるだろう。

宇宙暦788年 1月1日  ハイネセンポリス    ある少年の日記

 去年のクリスマスは生まれてから最高のプレゼントを貰えた。
お父さんが帰ってくる、帝国との戦いで捕虜になっていた、
お父さんが生きて帰ってくる、帝国人は捕虜に酷い目を逢わせるので心配したけど、

軍隊のお姉さんが家にやって来て今度お父さんが帰ってくるって教えてくれた、
今僕はお爺ちゃんお婆ちゃんと暮らしている、お母さんはお父さんが行方不明になると、
知らないおじさんとどっかへ行ってしまった。

けどお父さんが帰ってくるから悲しくないよ。
早く4月にならないかな。


■銀河帝国 アルタイル星系第7惑星の矯正区   2月1日 ヴィットリオ・エマニエール  

 また昨日仲間が死んだ、此で31人目だ、明日は俺かも知れない。
死体は穴に埋めるが死んだ事は届けない。
届けるとその分食料を減らされるからだ。

食料は慢性的に不足している、強い物が沢山喰い弱い物は衰弱していく、
喰える物なら何でも喰う、穴モグラはご馳走だ、木の皮や草まで喰って餓えに耐えている。

中には死んだ仲間の肉を食う奴らも居る、脳みそが一番旨いらしいが、
其処まで俺はしたくない、薬もなく体の弱い者や病気の者はバタバタと死んでいく。
此処は地獄だ敵は俺たちをこの土地に放置しているだけだ。

監視は食料を配る時だけ現れる、此処には秩序なんて無い上官も部下もない、
あるのは人望と腕力で他人の尊敬を受けるか支配するかの差だ。
同盟で威張り散らしていた上官がある朝見るとリンチで死んでいる事など日常茶飯事だ、
敵は俺たちを叛徒と言い懲罰で此処へ放置していると言うのだ、

もう二度と帰れないと思っていたが、
今日驚くべき話があった、同盟に囚われている捕虜と俺たちを交換するらしい、
100万人帰れる、其れを聞いた者達の間で牽制が始まっている、

誰でも帰りたいのだ、此では殺し合いが始まるだろう、
帰れたなら二度と軍隊なんか入りたくない。
こんな地獄へ送り出した、政治家と軍上層部に怒りを覚える。
早く妻と娘の元へ帰りたい。



■自由惑星同盟ネプテイス捕虜収容所  2月5日 アルフレート・ミュールマイスター

 パトロール中のアルレスハイム星系で叛徒の奇襲を受け、
乗艦は大破し艦長副長も戦死し生き残りの最先任だった俺は、
玉砕を主張する部下達を抑えながら、

たった一人になってしまう12歳の愛娘を思い出しながら此処で死ぬわけにはいかないと、
卑怯者になっても生きながらえたいと、俺が全責任を取ると部下達に話して降伏した。
それ以来3年此処で娘の事と一緒に巻き込んだ部下達の事を思いながら過ごしてきた。

1月20日に皇帝陛下より救恤品が送られて来たのは驚きであった。
娘の作る物よりは劣るが、ザワークラウトの旨かった事、
古里と娘を思い出しながら、その日は涙に咽せたものだ。

2月5日本日収容所所長から此処の収容所全員が国へ帰る事になると発表された。
その瞬間、不安と期待の入り交じった気持ちと成った。
娘の元へ帰れる、部下を家族の元に返す事が出来る。

しかし俺が責任者だ、国に帰れば反逆者として処罰されるだろう、
俺だけなら良い娘も巻き込んでしまう、
巻き込むのが嫌だから戦死した様に見せたのだから。

しかし話を聞いていくうちに、皇帝陛下はお怒りではない、
帰還しても反逆者としては罰しないとお言葉が有ったそうだ。
本当だろうか、それならば娘の元へ帰れる。

皆次第に興奮し喜びを見せながら涙を流しながら咽せている。
帰れる、帰れる、帰れる。


■タナトス星系惑星エコニア捕虜収容所    クリストフ・フォン・ケーフェンヒラー

 昨日皇帝陛下から儂等に救恤品が送られて来た。
なにやら皇帝陛下も企んでいるのか判らんが、
此処の収容所全員を帝国へ帰すらしい、

儂はミヒャーゼン、ジークマイスター、アッシュビーの繋がりを追い続けてきたが、
此処で一端終了かもしれんな、
余り帰りたくはないが、所長のコステアは特に儂を帰したいらしい、
まあ奴は色々しているようだからな。

 
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