レインボークラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四百九十二話
第四百九十二話 吸血鬼
ふとだ、亜美が塾の教室で華奈子達に話した。
「皆吸血鬼って知ってる?」
「あの人の血を吸ってそれで吸った人も吸血鬼にする」
「そうそう、それな」
まさにと華奈子に返した。
「知ってる?」
「ドラキュラ伯爵とかよね」
華奈子は亜美にこのあまりにも有名な吸血鬼の名前を出した。
「ああした感じで」
「そや、うちこの前吸血鬼の本読んだけどな」
「どうかしたの?それで」
「何かほんまにおるらしいな」
ここで怪訝な顔になる亜美だった。
「実はな」
「吸血姫が?」
「そうらしいで、ルーマニアとかに」
「まさか」
「いえ、本当みたいよ」
否定しようとする華奈子に美奈子が横から言ってきた。
「亜美ちゃんが言う通りにね」
「吸血姫って実在するの」
「実際に吸血鬼の退治をお仕事にしてた人もいるし」
「そうなの」
「ヨーロッパにはね」
「ヴァンパイアハンターとかヴァンピールとか言う人達や」
亜美は彼等の名前を紹介した。
「そうした人達もおってな」
「それでなの」
「ルーマニアとかポーランドにほんまにおって山の中に隠れてるとかな」
「そんな話があるの」
「そうみたいやで」
怪訝な感じの顔のまま言う亜美だった。
「どうやら」
「そうなの、けれど日本には吸血鬼いないでしょ」
このことは安心して言う華奈子だった。
「だから別に実際にいてもね」
「安心っていうんやな」
「そうじゃないの?」
「飛行機とかで来るかも知れんで」
「まさか、来ないわよ」
根拠なく言う亜美だった。
「幾ら何でも」
「それやったらええけどな」
「ないわよ、それは」
笑ってまで言う、だが。
美奈子はその中でだ、不吉なものを感じて華奈子に話した。
「若し日本に来たらね」
「美奈子もそう言うの?」
「私達も注意しておきましょう」
「だからそんなことないわよ」
まだ言う華奈子だった、だが。
彼女も微かに不吉なものを感じた、しかしそれは気のせいだと思って打ち消した。
第四百九十二話 完
2017・10・22
ページ上へ戻る