ヘタリア大帝国
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99部分:TURN10 アイドルレーティアその三
TURN10 アイドルレーティアその三
「彼等との戦闘にも入る」
「ええ。それと共にですね」
「今外務省がルーマニア、ブルガリアとの外交交渉に入っている」
レーティアの計画通りだ。ポッポーランドへの完勝からそうした話もはじまったのだ。
「そしてトリエステ提督とベートーベン提督の艦隊がギリシアに向かう」
「オーストリアさん、それにハンガリーさんと共に」
「ギリシアでも勝つ」
完勝する、そうなるというのだ。
「これで東欧は完全に我々のものになる」
「ですね。彼等もドクツに組み込んで」
「そのうえで北欧も攻める」
そうなっていくというのだ。
「まずは順調だな」
「そうですね。ただ問題はです」
「オフランスだな」
そうです。あの国です」
まさにその国が問題だとだ。ロンメルはマンシュタインに話す。
「あの国は平和主義に偏り過ぎて軍事費をかなり削っていますが」
「そして軍自体もな」
「かなり弱体化しています。しかしです」
「まだまだ侮れない力を持っている」
マンシュタインは右手に彼の巨体から見れば実に小さいそのコーヒーカップを手にして言った。
「決して侮れる相手ではない」
「その通りですね。だからこそです」
「油断できない。しかも向こうにはマジノ線もある」
「バリア艦を用意する手もありますがね」
「建造する余裕がない」
バリア艦の建造はだ。今はできないというのだ。
「今はあらゆる戦力を今ある艦艇の建造に回している状況だからな」
「俺達も懐具合は寒いですからね」
「そうだ。今我々は十二分の力で戦っている」
そうだとだ。マンシュタインは彼と共にコーヒーを飲むロンメルに話す。
「その中ではだ」
「ええ、とてもじゃないですけれどね」
「バリア艦まで建造する余裕はない」
「今ある艦艇の数も充分じゃないです」
「数を戦術や質で補うしかないのだ」
これがドクツの実状だった。彼等は余裕がないのだ。それもかなりだ。
「だからだ。あの要塞はだ」
「あれで、ですね」
「攻略するしかない」
「そうですね。デーニッツ提督に期待ですね」
「あの娘ならやってくれる」
今度はマンシュタインが『あの娘』と言った。しかしだ。
その対象が違っていた。そのうえで言うのだった。
「必ずな。だからだ」
「オフランス戦は油断していないにしてもですね」
「負ける気はしない」
そうだというのだ。マンシュタインは。
「全くだ」
「まずはオフランスが正念場ですね」
「そしてエイリスだな」
「はい、エイリスを倒しそのうえで」
「ソビエトだ」
「一気にウラルまでいきましょう」
「あそこまで占領すればソビエトも終わりだ」
マンシュタインはその重厚な声で言った。
「総統閣下の計画はここまで進めればだ」
「後はガメリカだけですね」
「そこまで強くなればガメリカにも負けない」
「そのうえでドクツは」
「世界の盟主となりあの方が人類の指導者となるのだ」
レーティア=アドルフ、他ならぬその彼女がだというのだ。
「遂にな」
「ですね。じゃあ俺達も頑張りましょう」
「あの方の為にな」
「はい、あの娘の為に」
「全く。そこは変わらないな」
マンシュタインはロンメルをここでまた咎めた。
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