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ヘタリア大帝国

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97部分:TURN10 アイドルレーティアその一


TURN10 アイドルレーティアその一

               TURN10  アイドルレーティア
 ドクツとポッポーランドの戦いは終わった。ドクツ軍は一隻の損害も出すことなく勝利を収めた。ポーランドは降伏しシャイアン星域はドクツのものとなった。
 その主星であるワルシャワにだ。今黒い軍服と制帽の少女が降り立った。
「ジークハイル!ジークハイル!」
「総統万歳!」
 そのレーティアを将兵達が敬礼で出迎える。その彼女がだ。
 グレシアを従えたうえでだ。出迎えたドイツ達にこう尋ねてきた。
「ここに来るまでに戦場跡を見てきた」
「そうですか。御覧になられたのですか」
「それでどうでしたか?」
「完勝だな。報告通りだ」
 レーティアは微笑みドイツとプロイセンに答えた。
「ではだ。マンシュタインとロンメルはいるか」
「はい、今ここに来ます」
「間も無く来られます」
「そうか。では待とう」
 レーティアが言うとだ。すぐにだった。
 そのッマンシュタインとロンメルが来てレーティアの前で敬礼をしてだ。こう言ってきた。
「ジークハイル!」
「うむ。ではだ」
「はい」
 敬礼を終えてからだ。二人はレーティアに応える。そのうちの一人マンシュタインがだ。
 その謹厳な声でだ。レーティアに問うてきた。
「総統、御呼びですね」
「そうだ。よく来てくれた」
「では」
「戦いのことだ」
 レーティアはそのマンシュタインの巨体を見上げながら言う。
 見れば一メートルは違う様に見える。実際は五十か六十程だが。
 それでもそれだけの違いを周囲に感じさせる中でだ。レーティアはマンシュタインに対して言った。
「報告を聞かせてもらい戦場跡を視察してきた」
「如何だったでしょうか」
「素晴らしい!」
 レーティアはここで満足した笑みを見せた。
「素晴らしいぞ!よくやってくれた!」
「お褒めに預かり光栄です」
「あそこまでの勝利を収めてくれるとはな。見事だ」
「そう言って頂き何よりです」
「第一次宇宙大戦からの歴戦の勇者だけはある」
 レーティアの褒め言葉が続く。
「これからも宜しく頼むぞ」
「はい、ドクツと総統の為に」
 マンシュタインは絶対の忠誠も見せた。レーティアもそれを受けた。
 そしてレーティアは今度はだ。ロンメルに顔を向けた。だが、だった。 
 ロンメルにはいささか面白くなさそうな顔でだ。こう言ったのである。
「ロンメル、御前は余計なことをし過ぎだ」
「そうでしょうか」
「そうだ。色々動き回っていたな」
「楽しんでいました」
「楽しむことはないんだ。勝てばいいんだ」
「性分ですのね」
「全く。仕方のない奴だ」
 ロンメルも見上げながらだ。レーティアはやれやれといった顔で述べた。
「報告を聞いて思った」
「何とでしょうか」
「御前とはチェスをしたくないな」
 腰の左右に両手を当てて俯いて。レーティアは首を横に振って言った。
「負ける気はしないが嫌な気持ちになりそうだ」
「だからですか」
「だがそれがよくもあるがな」
 ロンメルも認めていることは間違いなかった。
「だがそれでも思った」
「左様ですか」
「しかしよくやってくれた」 
 レーティアはまた顔を上げて今度は微笑みになりロンメルに話した。
「これからも頼むぞ」
「はい、それでは」
「二人、そして祖国達と将兵達には勲章を用意してある」
 ここでグレシアが出て来てだ。レーティアの前に整列する彼等にあるものを差し出してきた。それを見てだ。
 マンシュタインがだ。目を瞠ってこう言った。
「まさかそれは」
「そうだ。ポッポーランド戦の勝利を記念してのコインだ」
 所謂記念コインだった。黄金のそれにはレーティアがいる。
 
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