ヘタリア大帝国
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
92部分:TURN9 ドクツ動くその七
TURN9 ドクツ動くその七
彼等も自分達の艦隊に向かうのだった。その彼等を見送りだ。
レーティアはグレシアにだ。こう言ったのである。
「本にも書いたがな」
「私の戦い、ね」
「そうだ。あの本に書いたがだ」
レーティアが自分で書いた書だ。ドクツでは聖書に匹敵する存在にもなっている。
「私はオーストリアに生まれたが」
「ドクツを愛しているわね」
「この国が心からいとおしい」
ドクツの、彼女の国への愛を隠そうとしない。露わにさせていた。
「そう。かつての神聖ローマ帝国がだ」
「そして今のドクツ第三帝国こそがね」
「その神聖ローマ帝国だ」
「ここにベルギーとオランダ、ルクセンブルグを入れて」
「イタリンもだ」
イタリン共和帝国、この国もだというのだ。
「あの国と同盟を結べて何よりだ」
「そうね。私達ドクツの人間はどうしてもね」
「あの国は嫌いになれない」
「祖国さんは微妙な感じだけれど」
「しかし嫌いではない」
レーティアはドイツのそうした感情も読み取っていた。ドイツは決してイタリアを嫌ってはいない。確かに色々と迷惑を被ってはいるがそれでもだ。
「そしてプロイセンはだ」
「あからさまに。イタちゃんとロマーノ君を気に入っているわね」
「おい、その呼び方か」
「いいじゃない。嫌いじゃないんだから」
グレシアは気さくに笑ってレーティアの咎める感じの顔に返す。
「イタリンの国家はね」
「それはそうだが。しかしだ」
「その固いところがレーティアのいいところよ」
「真面目なところがか」
「そう。真面目だからこそこの国を導けるのよ」
レーティアのその性格もだ。ドクツにとっていいというのだ。
「少なくとも私では無理よ」
「グレシアではか」
「御気楽だし。能力はないし」
「しかし御前のお陰で私は」
「私は宣伝相でしかないわ」
それに過ぎないとだ。自分で言うのだった。
「総統とは違うわ」
「ではあくまで宣伝相としてか」
「貴女とドクツの為に働かせてもらうわ」
「ではその様に頼む」
「喜んでね。そしてね」
「そして?」
「ポッポーランドを占領したら。あの国とギリシアを回るわよ」
グレシアはさらに陽気になった。そのうえでの今の言葉だった。
「いいわね。それこそ東欧全体をね」
「コンサートか」
「ツアーよ、ツアー」
「それはわかるのだが」
だがどうかとだ。レーティアはそれまでは毅然として自信に満ちていた顔だったがそれを急に曇らせてだ。そしてこうグレシアに言ったのである。
「だが。あの時の御前のデザインした服はだ」
「苦手なのね」
「好きになれない」
実際にこうレーティアだった。
「あの様にひらひらした服はだ」
「日本帝国のアイドルの服をモデルにしてるけれど」
「あの国の文化はよくわからない」
「わからないというの?」
「あの国はどういった文化だ。和風というのか」
「和を以て尊しと為すね」
「いや、それではなくだ」
レーティアが言いたいことはそこではなかった。ではそれは何かというと。
「そのアイドルだ。萌えとかヲタクだったな」
「非常に面白い文化ね」
「ファンシズムとはまた別の。あの衣装は」
「着るのが嫌なのね」
「嫌だ」
はっきりとだ。レーティアは言い切った。
ページ上へ戻る