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真田十勇士

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巻ノ百十四 島津忠恒その十一

「それが間違いなくなってきた」
「やはりいますか」
「半蔵に先程命じたばかりじゃ」
 その彼のことも話した。
「いざという時はな」
「断固として」
「動けとな、とかく切支丹は別じゃ」
「民を売り奴婢として使うなぞ」
「許せる筈がなかろう」
「はい、恐ろしい話です」
 実際春日局はその顔を強張らせて答えた。
「その様な話は」
「だからこそじゃ」
「民を護る為にも」
「国もな」
 切支丹達はというのだ。
「認められぬわ」
「幕府としては」
「天下を預かっておるのじゃ」
「それでは」
「認められぬ」
 絶対にとだ、また春日局に言った。
「だからわしも決めた」
「太閤殿がそうされた様に」
「これでも時を置いたな」
「はい」
 幕府としてはだ。
「暫くそうされて考えておられました」
「その間動きも見ておったが」
 その切支丹達のだ。
「変わらなかった」
「国を乗っ取り民を奴婢にしようとする」
「本朝の外に売ってな」
「だからこそ」
「わしも決めた」
 国、そして民を護る為にというのだ。
「そういうことじゃ」
「妾も同じ考えです」
「切支丹については」
「その動きを見ていますと」
「そうじゃな」
「見過ごせませぬ」
 信仰を認められないというのだ。
「ですから」
「ここはじゃな」
「禁ずるべきです」
「そしてそれに逆らう者がおれば」
「断ずるしかないかと」
 誰であろうとも、というのだ。
「さもないと恐ろしいことになります」
「このこと言っておくか」
 家康は目を鋭くさせて言った。
「大坂に」
「今からですか」
「いや、わしから直接言うとな」 
 即ち幕府から今大坂に対してありのままに言えばというのだ。
「茶々殿が反発されてな」
「聞かれませぬな」
「お主もそう思うな」
「強情に過ぎる方なので」
 だからだとだ、茶々も答えた。
「ですから」
「それでじゃ」
「大御所様からお話することは」
「今は出来ぬ」
 そうだというのだ。
「残念だがな」
「では」
「頃合いを見てどうにかしてな」
「大坂にわかって頂く」
「そうしよう」
「そして切支丹だけは」
「認められるとな」
 茶々にわかってもらうというのだ。 
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