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ヘタリア大帝国

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86部分:TURN9 ドクツ動くその一


TURN9 ドクツ動くその一

                    TURN9  ドクツ動く
 レーティアの演説が終わるとだ。今度はグレシア=ゲッペルスが壇上にあがった。その彼女の軽い感じを見てだ。
 エイリスやオフランスの面々はだ。顔を顰めさせて囁き合った。
「あれがドクツのナンバーツー」
「レーティアの第一の腹心にして知恵袋か」
「ドクツ宣伝相グレシア=ゲッペルス」
「あの女がか」
「忌まわしい女だ、あれも」
 こんな言葉もだ。エイリス、オフランスの中から聞こえてきた。エイリスの緑、オフランスのダークブルーの色がそれだけで不機嫌なものになっている。
 そしてその中でだ。彼等はゲッペルスについてもだ。彼等にとって危険なものを感じていた。
 その視線を感じながらだ。グレシアは壇上で話しだしたのだった。
「はい、皆さんいいかしら」
 レーティアとは対象的にだ。気さくな感じである。
「ドクツ宣伝相ゲッペルスよ」
「グレシア!グレシア!」
 彼女にもだ。レーティア程ではないが国民から歓声が起こる。
 そしてその歓声に笑顔で手を振りながらだ。グレシアは演説をはじめるのだった。
「元気かしら。朝御飯はちゃんと食べたかしら」
「食べました!」
「それも美味しく!」
「そうよね。私達はこれまでは朝も碌に食べられなかったわ」
 グレシアもだ。ドクツの過去を語るのだった。
「戦いに敗れ、そしてエイリスとオフランスに苦しめられていた頃はね。けれどね」
 今はどうか。それが彼女が今言いたいことだった。
「私達の総統が全てを変えてくれたわ。総統は私達にお腹一杯の御馳走を取り戻してくれたのよ」
「総統万歳!」
「レーティア総統万歳!」
「そう。私もそれは同じよ」
 その大きな胸を前に突き出し両手を腰の横にやって。グレシアは微笑みながら語る。
「碌に食べられなくて胸が縮んでいたわ」
 ここで国民の間から笑いが起こる。
「けれど今は違うわ。黒パンにジャガイモにビールに」
 ドクツの心の食べ物だ。
「そしてソーセージ。今朝なんか五本も食べたわ」
「五本もか」
「よくもそんなに食えるものだ」
「太って成人病になれ」
 エイリスとオフランスの面々が忌々しげに悪態を漏らす。
「我々も今は辛いというのに」
「何が朝から五本だ」
「それだけドクツの経済が復活しているのか」
「朝からふんだんに食えるということか」 
 その宣伝であったのだ。今のグレシアの言葉は。しかしそれだけではなくだ。
 グレシアは余裕の笑みでだ。こうも言ったのだった。
「けれど栄養は全部頭と胸にいっているからご心配なく」
 ここでまたドクツ側から笑いが起こる。エイリスとオフランスからは笑いとは逆のものが。
 それを壇上から見て喜びながらだ。また言うグレシアだった。
「そう。全ては総統のお陰。その総統閣下がね」
「遂に。新世界の秩序を打ち出されたわ」
「しかも私達にはイタリン、日本という頼りになる同盟国も出て来てくれたわ」
 彼等へのリップサービスも忘れない。
「何よりも総統閣下に復活したドクツ」
「これだけ揃って敗れる要素は何一つとしてないわ」
 レーティアを念頭に置きながらだ。グレシアは演説を続けていく。
「腐りきった下らない国々なんて問題ではないわ」
「そうだ!エイリスが何だ!」
 国民からだ。声があがった。
「エイリスなんか倒してしまえ!」
「オフランスもだ!」
「欧州の腐った下らない奴等なぞ問題じゃない!」
「敵の筈があるか!」
「そう、敵ではないわよ」
 まさにその通りだとだ。グレシアは国民達に語る。
「だからこそわかるわね。そこの僕?」
「えっ?」
 一人の少年がだ。グレシアに声をかけられてだ。素っ頓狂な声をあげた。
「僕ですか?」
「そう、君よ」
 その少年にだ。グレシアは笑みを向けて語りかける。
「ドクツはこれから何を為すべきか」
「はい、それは」
「何かしら」
「レーティア総統の!偉大な総統の下に集い!」
 そしてだ。少年は顔を上気させて語った。
 
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