レーヴァティン
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第三十一話 アジトその三
「特にね」
「ばらされることもないんだ」
「そうなんだ」
「だと大丈夫だね」
「絶対と言っていい位にね」
「その魔術師はまさか」
今度は順一が淳二に言ってきた。
「あの大魔術師ガンダルフですか」
「あっ、知ってるんだ」
「隠者と聞いて」
それでというのだ。
「まさかと思いました」
「そうだったんだ」
「そしてその通りでしたね」
「うん、実はおいらがあの人がいる山を冒険に入っていたら」
当然そこにあるという宝を狙ってだ。
「ばったりと会ってね」
「それからですか」
「友達になってね」
そうしてというのだ。
「その縁で造ってもらったんだ」
「そうでしたか」
「何かおいらの顔を見て大丈夫だって言って」
「友人になって力を貸しても」
「そう言ってくれてね」
そのうえでというのだ。
「有り難く築いてくれたよ」
「それは何よりでしたね」
「おいらもこの島を救う人だってわかってかな」
「おそらくそうでしょう」
順一も話を聞いてこう思った。
「ですから」
「おいらのアジトを造ってくれたんだ」
「この島を、世界を救う為に」
「成程ね」
「シーフであろうとも」
進太も言ってきた。
「その行い、そして素性を理解すれば」
「それでだね」
「力を貸すこともあったのでしょう」
「成程ね、いい人だと思っていたら」
「貴殿のことがわかっていたうえで」
「そういうことだったんだね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「拙者もガンダルフ殿のことをご存知ですが」
その大魔術師の名前、そして名声をというのだ。
「よくお会いできましたな」
「あの人がいる山に入ったとしても」
「奥深くにおられるとのことなので」
その山の中でもだ。
「極めて険阻な」
「凄い山だったね、確かに」
淳二はそのガンダルフがいた山のことをここで思い出した。
「あの山は」
「その山の奥深くにとのことですが」
「おいらお宝を求めてね」
それでというのだ。
「そこに入ったら会ったんだ」
「山奥にある宝っていったらな」
どういったものかとだ、久志が言った。
「ロック鳥なりドラゴンなりか」
「うん、ロック鳥がね」
この巨大鳥がというのだ。
「持っていた巨大な宝石がね」
「役に立つと思ってか」
「賢者の石かもって聞いたから」
だからだというのだ。
「手に入れようと思ってね」
「そこに行ったんだな」
「まあ賢者の石はなかったよ」
淳二はその賢者の石を現実に持っている源三を見つつ久志に話した。
「それでも沢山の宝石が手に入ったよ」
「ロック鳥のところでか」
「うん、鳥は光るものを集める習性がある種類もいるね」
烏等だ、そうした鳥もいるのだ。
「そうだね」
「ああ、それでロック鳥もか」
「宝石とか沢山持っていてね」
「それを貰ったんだな」
「何も言わないでね」
つまり盗んだというのだ。
「そうしたよ」
「それで盗んでいたところをだな」
正が軽く笑って言ってきた。
「怒り狂ったロック鳥が戻ってきたか」
「いやいや、おいらには切り札があるんじゃない」
淳二はその正に笑って返した。
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