ヘタリア大帝国
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70部分:TURN7 捕虜の処遇と処罰その四
TURN7 捕虜の処遇と処罰その四
「これを見てくれるか」
「これは?」
「我が国の明石大佐がシベリアの向こうのラーゲリ星域で撮影してくれたものだ」
「あの星域の写真です」
日本も言う。見ればだ。
その写真は異様なものだった。雪の荒野で老若男女がスコップやツルハシを手に働かさせられていた。そしてだ。
それは老人や子供も同じだった。その写真を見てだ。
リンファは眉を顰めさせてだ。こう言ったのだった。
「あの、これは」
「だからだ。これがラーゲリ星域だ」
「あの場所の現状です」
「何故皆さん雪の中で無理矢理働らかさせられているのですか?」
「さっき言った通りだ。ソビエトに逆らったからだ」
「革命の敵としてシベリアに送られました」
「それで、なのですか」
リンファの表情が変わってきた。
「革命の敵として」
「君はこのことについてどう思う?」
東郷はリンファの目を見て問うた。
「思想信条の違いで弾圧するのは」
「それは」
「それは中帝国にもあると思うが」
「かつてはありました」
自国のことだ。否定できなかった。
「我が中帝国は満州民族の方が万歳爺ですので」
「しかし君は漢民族だな」
「はい、そうです」
つまり被支配民族だというのだ。それがリンファの立場だった。
「ただ。漢民族でも私やランファの様に高官にはなれますが」
「数が違いますね」
日本はここで数の話をした。
「満州民族と漢民族では」
「実際に満州民族は漢民族にかなり気を使っている」
東郷は中帝国のそうしたところを指摘した。
「漢民族の多さを意識して政治を行ってきている」
「今の王朝になって以来ですね」
「それに漢民族の文化にも積極的に溶け込んできた」
「その結果皇族の方が完全に漢化している程ですね」
「そうだ。中帝国の中で満州民族はほぼ漢民族と化してきている」
東郷は日本に話しながらリンファにも説明をした。
「しかしそれでもだ」
「弾圧はありました」
リンファは確かな顔で小さく頷き東郷の言葉を認めた。
「満州民族についてよからぬ書は発禁にされてきました」
「そして満州民族を批判すればだな」
「はい、牢獄に送られ下手をすれば」
「死罪」
「それもありました」
「そう、中帝国で弾圧は実際にあった」
「私はそれも嫌です」
リンファは答えた。はっきりと。
「弾圧のない社会に。中帝国をしたく」
「だから共有主義を選んだのか」
「はい、誰もが同じならそれもないと思っています」
「しかし人はそれぞれ違う」
東郷は落ち着いた声でリンファに話す。
「俺と君が違う様にな」
「国家同士でも違いますし」
日本もこうリンファに話す。
「私と中国さんでは全く違いますね」
「ですね。それは本当に」
「そういうことです。人も国家もそれぞれ違います」
「では共有主義になったとしても」
「個性は消せません」
日本ははっきりとだ。リンファに対して答えた。
「むしろ消そうとすればです」
「ラーゲリですか」
「ああなると思います」
「・・・・・・そうですか」
リンファは俯いた。そのうえでだ。
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