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響け!全国へ!

作者:rockyshocora
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第二章 鈴木と鈴木

 
前書き
登場人物(オリジナルキャラのみ)

神木拓海・・・1年生、ユーフォニアム担当

櫻井宗人・・・1年生、トロンボーン担当

小松ひかる・・・1年生、フルート担当

水瀬由紀・・・1年生、テナーサックス担当

小野翔平・・・1年生、同じクラスで軽音楽部所属

悠木竜次・・・1年生、同じクラスで神木たちと同じ中学出身、陸上部所属 

 
同日PM5:40

 昇降口を出てすぐの階段に座りユーフォの入った楽器ケースを自分の隣に置いてボーッと運動部の練習を眺めていた。しばらく使われていなかった楽器室にあったこのユーフォは家に持って帰って手入れするつもりだ。
「遅いな~」そう一人呟きながら特にすることもなくただ時間だけが流れていった。
それから待つこと10分、ようやく後ろから声がした。
「すまんすまん遅くなったわ」
「あぁ~」と脱力した声で返事をしながら振り向く。
「めっちゃ待った…秀一君!?」
「よぉ!お待たせ!」手を上げて応えてくる。
「どや、秀一君連れて来たったで!今日は久しぶりに一緒に帰ろうってなってん」宗人がドヤ顔になっている。
「そりゃどうも…いいんすか?わざわざ」
「いいもなにも同じマンションに住んでるんやから…」
「それはそうだ…」
一緒に下校なんて2年ぶりくらいか、小学校のころは毎日のように一緒に帰っていたが中学校ではたまに程度だった。同じマンションに住んでいてもバッタリ会うなんてことは案外無いのだ。最後に会ったのは今年の正月の挨拶の時だろうか。
「久美子はもう帰ったんか?」
「いえ、なにか仕事があるとかで」
「そっか…」
「そういえば、秀一君と久美子先輩ってもう仲直りしたんすか?」
「あ~そういえばありましたね「喋ってくんじゃねーよブス!」事件」2年前のことを思い出した。
「まぁ~あの時はビビったね、部員の空気は凍るし久美子先輩はキレるし」
「そうですよ、あのあと久美子先輩に誤解だ~!ってフォロー入れるの大変だったんですからね?なあ宗人」宗人と俺は交互に文句を垂れる。
「あの時は悪かったって、ちゃんと高校入ってすぐ謝って仲直りしたから」
「それで秀一君と久美子先輩、もう付き合ってるんですか?」宗人が聞く。
こいつド直球に聞いてくるな~と思いながら正直自分も気になっていた。
「はぁ!?なんや急に」いきなりのぶっ込みに声がうわずっていた。
「いや、だってわざわざ高校まで追いかけてくるくらいですし」
はぁ…と頭をガシガシ掻きながら観念したように
「実は、この冬に…つ、付き合った」
「うおー!まじっすか!?」二人が驚くと同時に
「おーおーさっそく後輩にノロケ話か?」
秀一君はビクッと反応しその声の方に視点を変える。そこには3年生4人の姿が見えた。
「あっ…」
その声の主はニヤっとしている。
「ちょ…聞いてたんですか?吉川部長!」
「聞いてたんやない、たまたま聞こえてきたんや!それと一応言っとくと確心はなかったけどアンタと黄前がそういう関係なんやろな~ってのは感じてたからな!うちが気づかんとでも思った?」そう言って自慢げに胸を張っている。
「マジですか…?」
「マジや!なぁ?夏紀?」
「まぁ…うん」
「へ~うちは知らんかったわ」
「私も」中川先輩に続き傘木先輩と鎧塚先輩が口にする。
秀一君はしゃがみこんで呻いていた。
「まあ別に誰彼言いふらすつもりはないから安心して」
「はぁ…それはどうも」
「塚本君、1年生部活初日やのにもう仲良くなったん?すごいな~」
「ちゃうで希美、この3人と黄前は小学校からの幼馴染らしいわ、友恵が言っとったわ」吉川部長が訂正する。
「そういうことやったんか」
「まあせいぜいうまくいくように願っといたるわ、じゃ!お疲れ」
「お疲れ様です」3年生4人に対して男3人が挨拶する。
まるで台風が通ったかのように秀一君をイジるだけイジって帰っていった。
「俺たちも帰るか…」その声に生気は宿っていなかった。

 15分後
 なんでも入学祝いにと秀一君が肉まんを奢ってくれるということでそのお言葉に甘えて駅近くのコンビニに寄っていた。
駅前ということもあり北宇治の生徒によく利用されているらしい。
コンビニの外に設置されているベンチに座り3人で肉まんをほうばっている。
「うまいっす!」
「だろ?練習の後の肉まんは犯罪的だよな」
「そういえばさっきの先輩4人って仲良いんですか?」
「そうちゃう?あの4人と加部先輩の5人でいるところよく見かけるし…なんで?」
「いや、単純に気になっただけです」
「肉まんええな~それにしても懐かしい組み合わせやな」突然ひょいと横から入ってきた。
「おい、ビビるやろ高坂…」
「あ、ごめん」
「高坂先輩お疲れ様です!秀一君に奢ってもらったんです」俺と宗人が同時に声を出す。
「おい!余計なこと言うなや」
「お疲れ、神木君と櫻井君久しぶりやね」
「僕らのこと覚えててくれたんですか!?」
「そりゃ2年間も一緒に同じ部活にいたんやから名前ぐらいは覚えとるよ、誰かさんの彼女とは違って」少し嫌味を含んだ言い回しで秀一君を見る。
「ん?もしかして久美子のことか?」
「あれ、もう2人は付き合ってること知ってるん?」少し残念そうに秀一君に聞いてくる。
「まあな、それよりさっきのどういう意味だよ」
「そのままの意味や、この前楽器室で久美子、小日向夢ちゃんと会ったらしいんやけど初対面の態度取られたって夢ちゃん言ってたから」
「うわ~」それは確かにショックだ。
「というか小日向さん北宇治やったの知らなかったです」
「まあパートも学年も違ったから仕方ないっちゃないんやけど…塚本、アタシにも肉まん奢ってや」
「なんでやねん」
「残念、そのうちもしかしたらポロっと口が滑るかもしれへんな、あることないこと。特にホルンの瞳さんとかに」
「おいおい正気か?そんなことしたら秒で吹部全体に広まって1日で学校全体に広まるぞ」
ただでさえ男子部員が少なく肩身が狭いのにこんなことされたら一撃でノックアウトだ。
「そうなったらおしまいやな」とても悪い顔になっている。
「今回だけやぞ…」
「ありがと、そういうとこ嫌いじゃないで」
2人の会話を聞きながら吉川部長と高坂先輩だけは敵に回さないでおこうと固く誓ったのだった。

 翌日
 朝、登校して自分の席に着くと
「おはよ」
「おはよ~」
「おっす」と前の席と横の席で話している2人から声がかかる。
「おはよー」
「なあなあ神木君、昨日楽器決めの時に由紀ちゃんいたの気づいてた?」
「あ、いや気づかんかった…悪い」
「そりゃそうだよね、48人もいたんだから仕方ないよ」
水瀬由紀、身長は俺より少し低めのロングヘアで大人しそうな感じで今小松さんと話してる子だ。ここ3組には吹奏楽部が合計4人いることになる。ちなみに水瀬さんはテナーサックス担当らしい。
カバンを自分の席に置いてこちらにやってきた宗人は
「なあなあ、球技大会の種目何出るかもう決めた?」
「いや、まだやけど」前の席の小野が答える。
小野翔平、身長は男子の平均くらいでパッと見一言でいえばチャラい感じだが話しやすい人だ。ちなみに軽音楽部らしい。
「んー私もまだやな…そもそも運動自体あんまり得意じゃないし…」自信なさそうに水瀬さんは言う。
「私も」
「そういう宗人は?」
「俺は野球かバレーに興味あり!」
「んー…それなら野球かな」
「じゃあ野球で」宗人が即答する。
「え?2人とも野球得意なんか?」小野が心配そうに聞いてくる。
「いや、キャッチボールかバッティングセンターしかやったことないで」
「なんじゃそれ…」
「まあ運動神経は悪くない方やと思うし、拓海も足だけはくそ速いからな」
「足だけって…そうやけど」
「へー神木君50m走タイムいくらなん?」小松さんが食いついてきた。
「5,9~6,1秒」
「えっ…すご」
「は?チーターやんけ!なんで吹部やねん、普通に全国レベルちゃうの?知らんけど」小野は驚きのあまりひっくり返った。
「なあ竜次~!」宗人が同じクラスで同じ中学だった悠木竜次を呼ぶ。
「あのさ、今度の球技大会俺と拓海と竜次で野球せん?」
「あぁ…別にいいが」
「竜ちゃん大丈夫なん?」
悠木竜次、宗人ほどではないが高身長で運動もできるただのイケメンだ。憎い。
中学では野球部だったが高校では野球部ではなく陸上部に所属している。
そう、この学校の球技大会はその部活に入ってる人はその種目には出られない。
「大丈夫や!優勝狙うんか?」
この学校の球技大会は生徒にやる気をださせるためか優勝した各学年のクラスは1週間食堂のメニューが無料になるのだ。
「どうせならそのほうがいいっしょ」と宗人はやる気に満ちていた。
おい張り切ってるところ悪いが種目決めるのは1週間先だし本番においては3週間先だぞ!と言いかけたがやめた。

 放課後、音楽室
教室には1年生48人が座りその前で久美子先輩、加部先輩が立っている。
「こんにちは」加部先輩がかけた声に1年生部員が挨拶する。
「仮入部の説明会の時に紹介したけど一応もう一回言っとくな、1年生指導係の加部友恵と黄前久美子ちゃんや!よろしくな」
「では、これから皆さんにいくつかプリントを配ります。部内でのルール、今後の日程、それとサンフェスの時に着る衣装の申込書など全部で9枚あるので注意して下さい」プリントを配布し、1枚ずつ内容を説明していく。
「まず、一番初めにある行事が5月にあるサンフェス、正式名称はサンライズフェスティバルです、サンフェスはパレードなので来週の土曜日からグラウンドを使って行進の練習を行います」
「うちが手とり足とり教えてあげるな~」加部先輩が手をひらひらさせながら言う。
「コホン、それ以降のおおまかな流れは府大会が8月上旬、関西大会が8月末、全国大会が10月下旬です」一通り喋り続けた久美子先輩がふぅ…と一旦息をつく。
「では、最後に1点重要なお話です。コンクール前に行われるオーディションについてです。コンクールには複数部門があります。ここ、京都の場合A,B,小編成の3つで、北宇治高校が参加するのはA部門とB部門です。A部門の規定人数は55人、今年の部員数は94人でオーバーしているのでオーディションを行うことになっています。顧問である滝先生と松本先生の前で1人ずつ演奏することになります…では、ここまでで何か質問ある人」
規定人数が55人で部員が94人…39人が落ちる、決して楽に通れる門ではない。
後ろの方の席で手が挙がる。
「どうぞ、鈴木さん」
「メンバーを決める際、実力以外のものが考慮される可能性はありますか?」
「それはどういう…」久美子先輩の表情が少し強張る。
「つまり学年や人間関係によってAメンバーに選ばれる可能性があるのかということです」それを聞いた久美子先輩はちらりと加部先輩を目で伺っていた。
それに気づいて肩をすくめ前に出る。
「その質問にはうちが答えます。そういう質問…というか疑念を持つのは仕方ないことだと思います…でははっきり言います。メンバーは完全に実力で選ばれます、なので皆さんはしっかり練習して技術を高めてください」それは断言だった。

 15分後 低音パート練習教室
1年生より少し遅れて戻ってきた久美子先輩にみんながおつかれと声をかける。
そして席に着くと中川先輩が
「おかえりー!久美子、ミーティングちゃんとできた?」
「自信はないですけど…一応は上手くできたと思います」
「私もそう思います」
「僕もそう思います」ハモった…。そのせいかこちらをムスっと睨んできた。
「あ…悪い」
「別に…謝られることではないですよ」
「まあまあ…友恵はちゃんとやってた?」中川先輩は質問を続けた。
「はい、すごく助かりました。私緊張してテンパってたときも察してくれて代わりに進めていただいたし」
「そりゃよかった、友恵ああいう性格やから心配しててん」
「加部先輩って去年の全国大会の時出てませんでしたよね?」
「あぁ…友恵はうちと同じBメンバーやったから」
「なるほど…ではやはり先ほど言っていたAメンバーに先輩が優先されるということは本当にないみたいですね」その言葉に久美子先輩は一瞬ムッとした表情を浮かべ、話題を変える。
「そういえばさ、奏ちゃんはなんで同期にまで敬語なの?」
「別に全ての人間に敬語で話しているわけではないですよ、親しくない相手にタメ口で話すほど神経図太くないです」
「あ~なるほどね…仲良くならないと敬語以外使わんってことか?」
「正解です神木君」にこりと完璧な営業スマイルを振りまく。
全てが計算された行動に見えてくる。
「そりゃどうも…」水面下でバチバチと火花が散っていた。
そんな険悪な中、コントラバスの2人はいつのまにか師弟関係となっており求は川島先輩の言うように黙々練習に励んでいたのだ。

 土曜日 AM7:50
今日は初めての休日練習でありサンフェスの練習でもある。
何故か早くに目を覚ましてしまった俺は集合時間である9時よりも1時間以上早く学校に着いてしまった。早すぎたと思ったがもう既にいくつか楽器の音がちらほら聞こえてくる。それをBGMに低音パートの練習教室である3年3組の前まで来てドアを開けながら
「おはようござ………。」目の前の光景を目の当たりにし時が止まってしまう。
「あっ…あっ…」中川先輩が顔を赤くして硬直している。
まさに中川先輩が着替えているところにドアを開けてしまったのだ。ようやく頭の整理が追いつき「し、失礼しました!!」と半分叫ぶような声でその場をあとにした。

 10分後 練習教室
楽器を取りに行ったあともう大丈夫かと思い恐る恐るドアを開ける。
「おはよ…」不機嫌そうな声で挨拶される。
「お、おはようございま~す…さっきはすみませんでした」
「まぁ…うんさっきのことは忘れて…うちもこんなとこで着替えてたんが悪かったし、まだ早いからって完全に油断してたわ」
「忘れます!はい、今忘れました!」
「ふふ…ありがと」
「2人とも早いな」
「2人ともおはよ~」後藤先輩と長瀬先輩が一緒に入ってくる。
「おはようございます!」
「おはよ、夫婦で登校なんて朝からお熱いね~」中川先輩が意地の悪い笑顔でそう返す。

 AM9:00 グラウンド
「皆さんおはようございます」
「おはようございます」滝先生の声に部員全体が返す。
「今日からサンフェス本番まで毎週土曜日はグラウンドで練習することになります。では練習をする前に準備運動してからグラウンド5周してきてください」
各々準備運動をし始めグラウンドを走り出す。
俺は短距離には自信があるが長距離は大したことない。
宗人は競争したいと駄々をこねてたが無視してやりすごす。
「はい、では5分休憩して行進の練習に移ります」吉川部長が指示を出す。
午前中は休憩も挟みひたすら行進、陣形やリズム、足の揃え方を緻密に練られていく。
「5メートル8歩、歩幅をきちんと意識してください。前、横、列の流れをちゃんと見て!」
ホイッスルを首からかけた吉川部長が険しい顔で檄を飛ばす。
ただ行進するだけならいいが楽器を持って、となると疲労度合いが格段に上がる。
午後からはパートごとに分かれての練習だ。
初めは8人でやっていたが加藤先輩とさっちゃんが後藤先輩に個別指導されることにより5人で仕切り直す。
「夏紀、ミスが多すぎるんとちゃう?ちゃんと暗譜した?」長瀬先輩の問いに中川先輩はバツが悪そうな顔をする。
「明日には次からはちゃんとできるように覚えてきてや」
「ほんまごめん、完璧に覚えとく」
最後に全体での通し練習を終え、今日の練習が終わる。
「あれ、帰っちゃうの?」鈴木さんが帰ろうとするところに加藤先輩が声をかける。
「ええ、練習は終わりましたので」
「でも…」
「そうだよみっちゃんもうちょっと一緒に練習しようよ」
「その呼び方はやめてって言ってるやろ!」声を荒らげ、背を向けると早足にその場から去っていく。
加藤先輩とさっちゃんが狼狽えて「謝りに行く?」と言うと後藤先輩は
「謝ることなんてない、練習続けるで」
「卓也君…」
「あいつの癇癪にいちいち付き合う必要ない」
完全に険悪なムードである。そんな時中川先輩が
「ちょっとそこのおふたりさん、頼みがあるんやけど聞いてくれる?」
「えぇ…と」声をかけられた2人は乾いた笑みをこぼす。
「久美子と奏で美玲をフォローしたって、2人はちゃんと演奏出来てるし問題ないやろ?」ほら、と急かすように背中を押されていた。
「神木もあっちに派遣されたかった?」
「いえ、僕は多分…そういうことは向いてないので…」
「そっか…神木は久美子と幼馴染なんやろ?」
「はい、小学校の2年生の時に久美子先輩が僕や秀一君と同じマンションに引っ越してきた時からの付き合いです。それから小学校の頃はよく一緒に遊んでました」
「へ~なるほどね、久美子は高校に入って変わったと思う?」
「そうですね、何か役職をするようなタイプの人ではなかったですし、周りに対してあまり興味を示すこともなかったので今の久美子先輩を見てると変わったと思います」
「そうなんや、まあ確かに入部当初はそんな感じだったかも…でも去年滝先生が赴任してきて部の空気が変わって、それから色々あってさ…それできっとみんな多少なりとも変わったんよ、それにうちも副部長務めるなんて思ってもいなかったし」思い返すように中川先輩が話す。
「僕は吉川部長と中川先輩いいコンビだと思いますよ」いつも言い合いしている2人を見て吉川部長を制御できるのは中川先輩だけだと思っているのは本当のことだ。口には出さないが…。
「それならいいんだけどね…」
久美子先輩と久石が追いかけていって15分が経った頃、鈴木さんが1人チューバ組のところまで戻ってきて謝っているのが見えた。
「戻りました」久美子先輩が話しかける。
「2人ともお疲れさん、いやぁ、みんな仲直りできてよかったなぁ。どんな魔法使ったん?」中川先輩がにやけ顔で返す。
「魔法なんて…私は話を聞いただけですよ」
先輩同士が話している横で
「久石もおつかれ」
「どうも…私は何もできませんでした。全部久美子先輩が1人で片付けてしまいました」
そこには不満そうな久石がいた。
「そんなことないやろ…久石よく鈴木と一緒にいたやん」
「あれは…久美子先輩に言われ…いえ、なんでも。私は何も悪くない美玲に変わらなくていいって言ったんですけどそれを制して久美子先輩は変わったほうがいいって…」
「まぁ…あの人強引というか頑固なところあるしなぁ~、まぁでも結果的に良かったんじゃねーの?鈴木たち仲直りできたっぽいし」
「そうですね…」そう言って久石はチューバ組のところに行く。
全員その日の練習を終え、帰宅した。

第二章 鈴木と鈴木 完 
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