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レーヴァティン

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第三十話 返還と賠償の後でその八

「ですから」
「欧州は水が悪くてな」
「飲むことには適していなかったので」
 だからなのだ。
「お酒をです」
「よく飲んでいるな」
「左様でござる」
「だよな、何かこの島の水もな」
 実際にとだ、久志は水を飲んだ感想を述べた。
「硬水じゃないけれどな」
「味がどうも、でござるな」
「日本の水と比べるとな」
「だからでござる」
「酒の方を飲むか」
「左様でござる」
「欧州みたいにか」
 ここでこうも言った久志だった。
「そうなってるんだな」
「左様でござる」
「そういうことか、じゃあな」
「ワインもでござるな」
「飲むか、まあ俺達全員飲んでもな」
 かなりそうしてもというのだ。
「強い方だしな」
「おいらもだよ」
 淳二は手を挙げる様にして言ってきた。
「お酒はね」
「強いんだな」
「そうなんだ」
「じゃあ丁度いいな」
「皆で楽しく飲もうね」
「食ってな、しかしパスタならな」
 久志は進太の話を聞いてこうも言った。
「最近カルボナーラ食ってないからな」
「ああ、あれね」
「それあったら食いたいな」
「ありますが」
 すぐにだ、進太は久志に答えた。
「カルボナーラも」
「ああ、そうか」
「はい、そちらも」
 こう答えた。
「ありますので」
「じゃあカルボナーラ食うか」
「カルボナーラお好きでしたか」
「そうなんだよ」
 実際にとだ、久志は答えた。
「これがな」
「そうでしたか」
「スペゲティはな」
 それ自体の話もした。
「ミートソース系も嫌いじゃないしペスカトーレとかネーロもな」
「イカ墨もですか」
 ネーロのことだ、順一もこの呼び名を知っている。
「お好きですか」
「かなり好きだぜ、それにな」
「カルボナーラもですね」
「かなり好きだぜ」
 そうだというのだ。
「イカ墨と同じ位にな」
「そうですか」
「ああ、ナポリタンも好きだけれどな」
「ナポリタンはですね」
「やっぱりこの島じゃないな」
「はい、ナポリタンはです」
 このスパゲティについてだ、順一は久志に笑顔で答えた。
「日本で生まれたスパゲティです」
「そうなんだよな、これが」
「明治か終戦直後にです」
「何か銀座かどっかで出て来たんだよな」
「そう聞いています」
 順一にしてもというのだ。
「どうやら」
「何かあれだよな」 
 正もそのナポリタンについて話した。
「アメリカ軍の兵隊さん達に食ってもらったのがな」
「はじまりとありますね」
「それが終戦直後に出たって場合か」
「その様です」
「何かその辺りよくわからないんだな」
「そうの様です、カルボナーラにしても」
 久志が食べたいと言ったこのスパゲティもというのだ。 
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