転生とらぶる
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ペルソナ3
1891話
「おお?」
それが、17階に到着して最初に俺の口から出た言葉だった。
何故なら、周囲の様子が16階までとは全く違っていたからだ。
16階までは、床が格子模様になっていたのだが、17階はそれとは全く違う。
曲線というか……トランプのスペードみたいな感じの模様になっている。
また、違っているのは床だけではない。壁や窓といった場所も、説明はしにくいが16階以下とは大きく変わっていた。
……うん、本当にこれはどうなってるんだろうな。
いやまぁ、封印されていたのを思えば、寧ろこうなっても当然なのだろうが。
「随分と下とは違うな」
荒垣も俺と同じ感想を持ったのか、周囲の様子を見ながらそう呟く。
ゆかりも言葉には出さないが、感想としては同じようなものだろう。
「取りあえず、ちょっと周囲を歩いてみるか。どんなシャドウがいるのかを見てみたいし、それ以外にも宝箱を探してみたいしな」
「あ? 桐条達に知らせなくていいのかよ?」
「わざわざここから出て、桐条達を探すのか? 携帯とかが使えれば、教えてもよかったんだろうが。とにかく、この件は知らせるにしても影時間が終わった後でだな」
正直なところ、本気で桐条達を探すのであれば、そこまで難しい話ではない。
もしタルタロスに挑んでいるのなら、今の桐条はエントランスにいる筈だし。
もしくは、それこそ寮で何らかの作業をしている可能性もある。
……まぁ、バイクに乗って走り回られたりしていれば、見つけるのはちょっと難しいが。
いや、空中に浮かべば、寧ろ見つけやすいか?
ともあれ、今はこの新しい階層を攻略するのを優先させて貰うとしよう。
「ゆかり、準備はいいな?」
「ええ、問題ないわ。矢の方も、準備は万端だし」
桐条達と協力関係を結ぶ事になって、もっとも楽になったのはやっぱり矢だよな。
弓道部員であっても、頻繁に矢を買いに行ったりすれば怪しまれるだろうし、それこそ弓道部の顧問に連絡を取ってくるのであればまだしも、最悪警察に相談しに行かれる可能性もある。
勿論そうなっても、桐条グループの力があればどうとでもなるだろう。
だが、そうなればそうなったで、桐条グループに対して借りを作ってしまう事になる。
「さて、どんなモンスターが出てくるか、ちょっと楽しみだな」
「あのね、モンスターじゃなくてシャドウでしょ。……順平をゲーム感覚だとか言ってる割に、アクセルもそんな感覚が抜けてないわね」
「そうか? 俺の場合はそうでもないんだけどな」
そもそも、あの程度のシャドウを相手にして、俺が負けるという事はまず考えられない。……まぁ、死神が出てくれば、話は別だが。
俺が今まで戦ってきた相手の事を考えれば、正直シャドウ程度であればどうという事はない。
勿論、油断大敵って言葉もあるんだが。
ともあれ、そんなやり取りをしながら、俺達はタルタロスの中を進む。
「アルマーも言ってたが、廊下や壁、天井の模様が変わるだけでも、随分と違和感があるな」
荒垣が周囲を見回しながら呟く。
「当然、このタルタロスの設計は、その違和感とかも挑んでくる相手に与えようとしてるんだろうな。ん? ……ゆかり、構えろ。早速お出ましだ」
その言葉に、ゆかりは一瞬の躊躇もなく弓を構える。
ここまで一緒にタルタロスを攻略してきて、ゆかりは俺の索敵能力がどれだけ正確なのか、知っている。
それを疑うという選択肢は、ゆかりの中にはなかった。
そして事実……通路の向こう側から、真っ直ぐにこっちに向かって来るシャドウが姿を現した。
「速いな」
俺が呟いたのは、そのシャドウの移動速度がかなりのものだった為だ。
その理由としては、シャドウが空を飛んでいるというのが大きい。
見た感じでは、カラスがカンテラというのか? それを足で持っているような、そんな感じのシャドウだ。
そのシャドウは、こっちとの距離を急激に詰めてくる。
「アギラオ」
そうして間合いを詰めたところで発動する魔法。
放たれたのは、アギよりもかなり大きめの炎の塊。
恐らく……いや、間違いなくアギの上位呪文。
その威力は、当然アギよりも上なのだろう。
だが、結局炎は炎。
しかも形を変えたりするような事もなく、馬鹿正直に一直線に放ってきた一撃だ。
ゆかりの守りを任されている子猫の炎獣にとって、全く問題にならない程度の攻撃でしかない。
シャドウにとっても、まさか自分の放った強力な魔法が問答無用で無効化されるとは、思ってもいなかったのだろう。
驚き……それが、シャドウにとって最大の隙となった。
ゆかりの射った矢が、空気を斬り裂きながら真っ直ぐに突き進み、カラスのシャドウに突き刺さり、貫いたのだ。
その威力は相当なもので、それこそ一発でシャドウを倒す事に成功する。
まぁ、カラスという形状から、速度と攻撃力に特化して、防御力は弱そうなシャドウだったしな。
その辺りは、特におかしなところはない。
「1階……いえ、16階が封印されただけだったから、2階か。とにかく、少し上がっただけで随分と強くなったわね。アギラオだったかしら。この子がいないと、少し厳しかったかも」
ふぅ、と溜息を吐きながらゆかりが呟く。
まぁ、実際アギラオとかいうアギの上位魔法はなかなかの威力だった。
唯一にして最大の難点は、特にアレンジといった真似もせず、普通に火球として撃ってきた事か。
折角アギと比べても炎の量が多いんだから、幾つにも分けて放つとかすればよかったのにな。
「とにかく、予想はしていたがこの階層には今まで遭遇した事がないシャドウがいるのは確定だ。他のシャドウもどんな攻撃をしてくるか分からないから、注意して行くぞ」
その言葉にゆかりは頷き、荒垣は面倒臭そうな表情を浮かべながらも、特に反対の言葉を口にしたりはせず、通路を進む。
そうしたところで、やがて遭遇したのは……
「トーテムポール?」
「……そう見えない事もねえが、さすがに違うんじゃねえか?」
現れたシャドウを見て、思わずといった様子で口にした言葉に、荒垣が反射的にそう返してくる。
いや、だがこうして見る限りでは、トーテムポールのようにしか見えないんだが。
そのトーテムポールは、何と言うか、ピョン、ピョンといった風に跳躍しながらこっちに近づいてきて……
「っ!? ゆかり、回避だ!」
そんなトーテムポールのシャドウを見て、叫ぶ。
それと同時に、トーテムポールはまるで投擲された槍か何かの如くゆかりに向かって飛ぶ。
トーテムポールじゃなくて、槍かよ。
そんな突っ込みをしつつ、俺は瞬動を使おうとし……一瞬の躊躇の後、止める。
「きゃあっ!」
トーテムポールの突き――正確には体当たり――を正面から食らい、ゆかりの口から悲鳴が上がる。
それでも、吹き飛ばされてすぐに体勢を立て直しつつ召喚器を手にしている辺り、戦闘慣れしているといえる。
「へぇ」
その様子を見て、思わず感嘆の声を漏らす。
「……どういうつもりだ? 今は、お前が助けるべき時じゃなかったのか?」
そんな俺の横で、荒垣が睨み付ける……とまではいかないが、視線に力を込めてこちらを見てくる。
「そうかもしれないな。だが……いつでも俺がゆかりを守れるとは限らない。であれば、いざという時の為に動けるようにしておいた方がいい」
呟く俺の視線の先では、ゆかりが召喚したイオがトーテムポールに向かって真っ直ぐに突進していく。
それは、まるで不意を突かれた攻撃でダメージを受けたゆかりが、不満を表す為の行為にも、もしくは子供を守る母親の如き動きにも見える。
まぁ、ペルソナに己の意思があるのかどうかは、ペルソナ使いではない俺には分からない事だが。
ともあれ、イオはトーテムポールを蹂躙という言葉が相応しい程に攻撃していく。
そこに体勢を立て直したゆかりが弓で援護するのだから、トーテムポールに対抗する術はなかった。
ペルソナと、本体のゆかり……実質的に2人を相手にして、トーテムポールは1匹なのは致命的だった。……シャドウは匹で数えてるけど、ペルソナはどう数えればいいんだろうな?
ともあれ、トーテムポールは最初の奇襲こそゆかりの意表を突く事に成功したが、最終的には一方的に攻撃されて消滅していく。
「おい、アルマー。あのペルソナ、きちんと制御されていると思うか?」
「は? どういう事だ?」
まるでペルソナが自分の意思で暴れているとでも言いたげな様子で呟く荒垣に、視線を向ける。
こうして見る限り、別に何かどうにかなっているようには到底見えない。
だが、荒垣はまるで俺とは違う光景が見えているかのように、緊張した雰囲気を発している。
「岳羽のペルソナ、暴走してないか?」
「……暴走? ペルソナが?」
そもそも、ペルソナは暴走とかするのか?
そんな疑問を抱くが、荒垣は別に冗談か何かを言ってるような様子ではない。
本当に、心の底からそう思っているのは明らかだった。
この様子だと、もしかしてペルソナって暴走するのか?
それが本当かどうかは分からないが、荒垣を見る限りではそう思っているのは間違いない。
「ゆかり、ペルソナの方は問題ないか?」
「え? 別に問題ないけど?」
そう告げるゆかりの言葉を証明するかのように、イオが姿を消していく。
その様子に、安堵の息を吐く荒垣。
「どうかしたの?」
「いや、何でもない。ただ、さっきペルソナが随分と派手にトーテムポールに攻撃してたから、もしかして暴走でもしたんじゃないかと思ってな。どうやら、その心配はなかったらしいが」
「暴走? ペルソナが? 暴走するの?」
「さぁ? でも荒垣の様子を見る限り、暴走するのは間違いないらしい」
そう言い、ふと思いつく。
もしかして、荒垣が俺達と一緒に行動するようになって、それでも一切戦闘を行わない……そしてペルソナを使わないのは、ペルソナの暴走というのが他人事だからではないのでは? と。
勿論荒垣の召喚器は、現在ゆかりが使っている。
だが、召喚器がなくてもペルソナを召喚可能なのは、それこそ最初にゆかりがイオを召喚した時の事を思えば間違いない。
それに桐条グループであれば、いつ新たなペルソナ使いが出てもいいように、予備の召喚器を用意していてもおかしくない。
タルタロスに挑む以上、いざという時の為の対策をしておくのは当然なのだから。
「荒垣、お前まさか……」
その言葉で、俺が何を言いたいのか理解したのだろう。
荒垣は何も言わずにそっと視線を逸らす。
その行為そのものが、俺の予想が正しかった事を証明している。
だが……その件は色々とデリケートな話題だ。
今ここで、タルタロスの中でするような話題ではないのは間違いない。
「今日、タルタロスの探索が終わったら、しっかりと話して貰うぞ」
「……」
そう告げるも、荒垣から戻ってきたのは無言のみ。
その無言が、俺の言葉を肯定しているのか否定しているのか……その辺りの事情はまだよく分からない。
だが、それでも荒垣がどのような思いでいるのか、そしてどのような状況なのかは、知っておく必要があるだろう。
勿論切り捨てるとかそっちの方向ではなく、こちらの戦力してどうにかする方向で考える為に、だ。
「……けっ」
結局荒垣が口にしたのはそれだけでしかなく、この話題はこれで終わりとなる。
「どうしたの? 何かあった?」
戦いが終わって息を整えていたゆかりが、俺に近づいてきてそう尋ねる。
「いや、何でもない。ただちょっと今日のタルタロスの探索が終わった後で、ゆかりにも時間を作って貰おうと思ってな」
「私に? ……分かったわ。アクセルの様子を見てる限り、どうやらふざけ半分とか、そういう感じじゃないみたいだし」
「お前、俺を一体どういう風に見てるんだ?」
「あら、教えて欲しいの? なんなら私が今までアクセルをどう思ってきたのか、それこそ思う存分教えてあげてもいいけど」
満面の笑みを浮かべてそう告げてくるゆかりに、俺が出来るのは話題を逸らす事だけだ。
「取りあえずタルタロスの探索が終了した後で時間を取るって事は決まったんだから、今日の探索はそこまで深くやる必要はないな。この17階の様子をざっと見るだけでいいだろ」
「そうね。出来れば小ボスの所まで行きたかったけど……それはちょっと難しいでしょうね」
小ボスを倒せば、この階層にあるだろう一方通行のターミナルではなく、双方向のターミナルを使う事が出来るようになる。
そうなれば、明日以降の探索をする時はその階層から出来るからある程度の余裕を持って攻略が出来るのだが……基本的に小ボスのいる場所はランダムであり、それでいながら数階くらい先になる。
あくまでもおおよそであって正確ではないが、大体5階層で1匹の小ボスがいるのが、今までのパターンだったのだから。
「じゃあ、とにかく進むか。新たなシャドウに、新たな宝箱。その辺りを中心にしてな」
そう言いながら、俺は歩き出すのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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