ヘタリア大帝国
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47部分:TURN5 中帝国その四
TURN5 中帝国その四
自分の兄の乗艦のところに行きだ。海軍の食事を食べながら話す。海軍の昼食はパンに海草のサラダとポタージュ、鮭のムニエルに大きな豚のカツレツ、テリーヌにだ。デザートはフルーツの盛り合わせだ。
海軍も陸軍と同じく将兵は皆同じものを食べている。違うのはメニューだ。
その海軍の昼食を食べながらだ。台湾は自分の兄に言うのだった。
「海軍さんはこんなものを食べているのに」
「陸軍さんはだよね」
「はい、あれでは朝食です」
「朝も晩もあんな感じだから」
「武人として堕落してはならないと仰いますが」
「対抗意識があるんじゃないかな」
台湾兄はポタージュを飲みながら妹に述べた。
「特に山下さんは」
「あの人がなのね」
「あの人東郷さんと仲が悪い、いや」
「いや?」
「東郷さんを一方的に嫌ってるから」
これは台湾兄が見てもだった。東郷の方は何でもないが山下はなのだ。
「食事も海軍のものとは全然別にしてね」
「給養のマークも置かないで」
「兵隊の人が当番で作ってるんだよね」
「そうなの。陸軍さんは」
「じゃあ味は」
「御世辞にもよくないわ」
台湾は微妙な顔で兄に答えた。
「陸軍さんの食事はね」
「そうだろうね。海軍さんは給養の職種の人がいるけれど」
だがそれでもだった。
「陸軍さんはいないからね」
「昔は陸軍さんにも給養の人がいたけれど」
「給養員が勘違いしてね」
「そうそう、それでだったわね」
「自分達は料理を作ってやってるから偉いと思い込んでね」
人間は食べないと生きられない、それを司っているということはそのまま力になりかねない。つまり彼等は力を握ったと錯覚してしまったというのだ。
「だからね。それでね」
「山下さんのお祖父さんが給養員を廃止されて」
「そう。あの元帥だった方がね」
「それで陸軍さんには給養員がいなくなったわね」
「海軍さんでも給養員は昇進が遅いのは」
それは何故かというと。
「給養員に増長させない為らしいからね」
「そうよね。海軍さんでも給養員はどうやら」
「そうだよ。勘違いしている人多いよ」
料理を作ってやっていると思い込んでだ、威張り散らす輩がいるというのだ。
「だから昇進も遅いんだよ」
「そういうことね」
「だから陸軍さんとしてもそうした人達の増長を消す為にもね」
「そうするしかなかったのね」
「そうだったんだよね」
「仕方なかったにしても」
陸軍としても一部の人間の増長を許してはおけない、それでだったのだ。だがその処置により犠牲になった者があった。まさにそれこそがだったのだ。
「陸軍さんのお料理の味は」
「カレーも酷いんだって?」
「その時の兵隊さんによるけれど」
調理当番のだ。その兵士によるというのだ。
「あまりね」
「味はよくないんだね」
「どうにもね」
こう困った顔で言う台湾だった。
「海軍さんのカレーと比べると」
「成程ね。そうなんだね」
「そのことはどうにかなるかっていうと」
「難しいと思うよ」
「やっぱりそうなのね」
「うん、陸軍さんの考えじゃ一部の人間の勘違いは食事の味より深刻な問題だから」
それ故にだというのだ。
「そう認識されているからね」
「ううん。仕方ないのね」
「まあ食べられるだけかなりいいよ」
台湾兄はここでこう言った。今度はサラダを食べている。無論使っている食器はフォーク二ナイフ、スプーンだ。食事にはワインまでついている。
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