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真田十勇士

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巻ノ百十三 加藤の誓いその十一

「だからこうして話しておるしな」
「左様ですな」
「ではです」
「後はお任せ下さい」
「是非」
「そうさせてもらう」
 こう言って約束するのだった。
「お主達にも託すぞ」
「それでは」
「我等も果たします」
「その務めを」
「その様にな世を去れば」
 こうも言った加藤だった。
「また佐吉達と会うのう」
「石田殿、大谷殿と」
「そうなりますか」
「そしてその時は」
「今度はな」
 死んでからはというのだ。
「もういがみ合いたくないわ」
「あの時と違って」
「穏やかにですか」
「そうなっていたいですか」
「今度は」
「そう思っておる」
 実際にというのだ。
「今になってわかるわ」
「あの時のいがみ合いのことは」
「そうなのですか」
「わしは愚かであった」
 悔恨の言葉であった、明らかな。
「だから今度はな」
「穏やかに」
「そうされますか」
「あの方々とも」
「必ずな」
 こう家臣達に話した。
「そう誓う」
「では」
「後のことはですな」
「最早」
「憂いない、何もな」
 加藤は澄み切った顔で家臣達に言った、そうして後は何も言わなかった。そこには一抹の不安もなかった。


巻ノ百十三   完


                 2017・7・1 
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