足のある幽霊
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第一章
足のある幽霊
佐藤千尋は八条グループが経営しているコンビニチェーン店である八条マートの正社員である。大学を出てこの企業に就職して若くして店長にまでなったがその手腕には定評がある。
その彼女が大阪市港区にあるコンビニの店長に就任した、それは何故かというと。
「新店舗だからですか」
「そう、最初が肝心だからね」
上司は就任することが決まった千尋に話した、その小さい切れ長の目と細い眉が印象的な白い大人の府に気を漂わせた顔と後ろで束ねた足の付け根まである長い髪、そしてかなり大きな胸が目立つ彼女を見つつ。背は一六七程と日本女性にしては長身だ。
「君に初代店長に入ってもらってね」
「営業を軌道に乗せるんですね」
「そうしてくれるかい?」
こう千尋に言うのだった。
「ここは」
「はい」
優秀と評判の社員らしくだ、千尋は上司に確かな声で答えた。
「それではです」
「うん、行ってくれるね」
「まずは色々と調査をしまして」
店のそれをだ。
「そうしてです」
「そのうえでだね」
「店長となり」
そしてというのだ。
「その店の営業を必ず軌道に乗せます」
「ではね」
上司は千尋の返事に満足した、千尋は開店前に地元を調査したりして事前の準備も怠らずだった。そのうえで。
全ての策を講じてから開店した、開店前の宣伝も行いパートやバイトの面接も確かに行ってこれはというスタッフを揃えた結果だった。
店は中々の好スタートを切り開店から三ヶ月経っても店は安定した売り上げを出していた。だがその売り上げを見てだった。
千尋は店長会議の後上司に難しい顔で語った。
「私の目標よりはです」
「低いというのかい?売上が」
「はい」
千尋は上司に厳しい顔で答えた。
「そう思います」
「中々の売り上げだと思うがね」
「私の目標にはややです」
「低いからだね」
「今一つ足りず」
それでと言う千尋だった。
「売り上げが目標に達していません」
「君はそう思っているのかい」
「私の努力が足りないせいで」
「いやいや、こちらから見ればだよ」
上司は千尋よりも高い、広く多くのものが見える場所から千尋に対して言った。
「君の店の売り上げはこの三ヶ月はね」
「開店からですか」
「いい感じだよ、こっちとしては文句はないよ」
「そうなのですか」
「君の目標が高いのはいいがね」
それでもというのだった。
「その辺りはね」
「目標より高くなくてもですか」
「いいと思うよ」
「そうですか」
「完璧主義でなくてもね」
尚これは自分に対してだけでスタッフには優しいことでも評価が高い、よく言えば他人に優しく自分に厳しい悪く言えば自分で抱え込む気質なのだ。
「いいんだよ」
「そうしたものですか」
「別にね、だからこっちとしては文句はないよ」
千尋の実績にというのだ。
「このままいってくれるかな、それにね」
「それに?」
「君の目標はどれだけかな」
具体的な数字を聞く上司だった。
「一体」
「はい、それは」
ここで千尋は上司に自分の目標とする売り上げを述べた、すると上司は千尋に対してこう言ったのだった。
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