英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第139話
~第六星層・霊峰ファロース~
「力がみなぎる………剛招来!!」
「みなぎれ……柔招来!!」
「ぬあぁぁぁぁぁぁ、てやぁ!!」
「まだまだこれからだよっ!はぁい!」
「ハアッ!クロノドライブ!!」
「やぁ~っ!フォルトゥナ!!」
「彼の者に抗う力を―――レジスト!!」
「壮麗たる天使の歌声―――――ヴァ レイ ズェ トゥエ ネゥ トゥエ リョ トゥエ クロア………」
戦闘開始時ルークやガイ、ジンとアネラスはそれぞれのクラフトで自身の様々な能力を上昇させ、レイスやクローゼ、メルディとティアはそれぞれアーツや術等で味方の様々な能力を上昇させた。
「………………」
ルーク達がそれぞれの能力を上昇させ終えたその時娘はクラフト―――鷹爪襲撃で前衛のルーク達に襲い掛かり、娘の攻撃に気づいたルーク達はそれぞれ散開して回避した。
「…………………」
「クッ………まさか格闘術が得意とはな……しかもこの功夫、ヴァルターと同等―――いや、それ以上かもしれん……!」
攻撃を回避された娘は続けて連続正拳攻撃、三連続回し蹴りの連携攻撃をジンに放ち、娘の攻撃をジンは防ぎながら娘の実力の高さに驚いていた。
「―――助太刀します、ジンさん!」
「私も加勢する……!」
娘に押されている様子のジンを見たアネラスとレイスは娘に攻撃を仕掛けようとしたが
「……………」
「あうっ!?」
「ぐっ!?」
青年が発動した風の刃を連続発射する昌術―――エアスラストを受けて怯み
「チッ、見た目で予想はしていたがやっぱりローブ姿の男の方は術士か!」
「ヤバイ術を撃たれる前にとっとと片をつけるぞ!」
その様子を見たルークとガイは青年の方が脅威と判断して青年に向かったが
「…………………」
「げっ、あの術はっ!―――――粋護陣!!」
「”エクスプロード”かよ!――――粋護陣!!」
続けて青年が発動した術によって自分達の頭上に発生した巨大な火球が襲い掛かってくる事に気づいた二人はそれぞれ慌てて闘気の結界を纏って防御した。
「氷の槍よ――――フリーズランサー!!」
「深淵へと誘う旋律――――トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ ズェ………」
するとその時それぞれ詠唱を終えたメルディは大量の氷の槍を解き放つ昌術―――フリーズランサーで娘を攻撃し、ティアは譜歌で青年を怯ませ
「皆さん、今回復します……!――――ホーリーブレス!!」
クローゼは広範囲の味方を回復する治癒アーツを発動してルーク達の傷をそれぞれ回復した。
「おぉぉぉぉ……っ!千手悔拳!!」
「爪竜連牙斬!!」
クローゼのアーツによって傷が回復したジンは反撃代わりに娘に目にも止まらぬ速さの拳の連続攻撃を、レイスは流れるような動きで次々と斬撃を繰り出して攻撃を叩き込み
「斬り裂け………燕嵐撃!!」
アネラスはジンとレイスの連続攻撃が終わるタイミングで刀に纏わせた疾風を纏った燕を娘に叩き込んだ。
「空破!絶風撃!!吹き飛びな!紅蓮襲撃!!
一方ルークは青年に疾風を纏った突きから跳躍して空中から炎の闘気を纏った蹴りを叩き込み
「虎牙破斬!炎よ集え!魔王炎撃波!!」
ガイは斬り上げ、斬り下ろしの技から高速の斬りによって炎の波動を生み出す技へと連携して青年に追撃した。
「ダークフォース!!」
「バニシングソロゥ!!」
そこにメルディとティアがそれぞれ吹き飛び効果を持つ術や奥義で追撃して二人をふっ飛ばし
「やぁ~っ!ダイヤモンドダスト!!」
メルディとティアの攻撃でふっ飛ばされた事によって一か所に固まった二人にクローゼは竜巻を発生させるアーツを発動して二人纏めてダメージを与えた。
「…………………」
「ぐっ!?か、身体が動かねぇ……!?」
「バイバ!偽物のキールのクレーメルケイジ、凄く光っているね!きっと、”大昌霊”呼ぶ気ね!」
「不味い……!」
娘が放った空を切り裂く衝撃波で敵の動きを止める秘技――――点穴縛態によって身体の動きを封じ込められたルークは呻き声を上げ、青年が身につけている小さなケイジが凄まじい光を放っている事に気づいたメルディは声を上げ、メルディの言葉を聞いたレイスが血相を変えたその時、青年はケイジを高々と天へと掲げた。すると背中に虫のような羽を生やした子供の妖精が現れた後、妖精は巨大な竜巻でルーク達を引き寄せた後上空まで舞い上げ、そして地面に叩き付けた!
「……………」
青年が放った偽物の異世界の風の大昌霊を召喚するSクラフト―――シルフによってルーク達がダメージを受けると娘はルーク達に追撃する為にルーク達に突撃し、跳躍してクラフト―――鷹爪落瀑蹴を放ってきた。
「させるかっ!たぁっ!!」
「爪竜―――斬光剣!!」
娘がクラフトを放ったその時ジンが前に出て拳を振るって娘が上空から放った衝撃波を相殺した後止めの一撃に放たれた蹴りには自分も蹴りを放って相殺し、そこにレイスが娘の側面から神速の攻撃で襲い掛かって反撃を叩き込んだ。
「女神の慈悲たる癒しの旋律――――リョ レィ クロア リョ ズェ レィ ヴァ ズェ レィ………」
その時ティアが広範囲かつ味方が受けたダメージを大幅に回復させる譜歌―――リザレクションを発動して自分や仲間達の傷を完全に癒した。
「……………」
一方青年はジンやレイスと戦っている娘を援護する為に詠唱を始めたが
「ジーク!お願い!」
「ピューイ!!」
「させないよ!やあっ!ごめんね!」
「!?」
クローゼはクラフト―――ケンプファーを、アネラスはクラフト―――落葉を青年に叩き込んで青年の詠唱を中断させた。
「ジン、レイス、アネラス、大昌霊呼ぶから二人から離れてな!青ざめし永久氷結の使徒よ………我等に仇名す者達に永遠の眠りを!セルシウス―――――ッ!!」
そしてメルディの警告を聞いたジン達がそれぞれが戦っている相手から瞬時に離れるとメルディはSクラフト―――シルフを発動した青年のように詠唱をしてケイジに凄まじい力を溜めた後ケイジを高々と天へと掲げた。するとメルディの傍に腰まで届く程の蒼色の髪をなびかせた美しい女性――――メルディの世界の”大昌霊”の一人であり、”氷”を司るセルシウスと家よりも大きな巨大な狼――――セルシウスの相棒であるフェンリルが現れ
「―――――――」
フェンリルが咆哮をすると狼の口から波動砲が解き放たれ、波動砲を受けた娘と青年はそれぞれダメージを受けると共にふっ飛ばされ
「凍れ!」
更にセルシウスが跳躍して両手から氷の波動砲で追撃を仕掛けると、娘と青年はダメージを受けると共に全身が凍り付いた。
「チャンスだ!いくぜ、ガイ!!」
「おうっ!」
凍結状態に陥った二人を見て好機と判断したルークとガイはそれぞれ左右に散って娘と青年を挟み撃ちする位置に突いてそれぞれの武器を地面に突き立てた。
「「はああああぁぁッ!!」」
すると二人を中心に巨大な魔法陣を作り上げられて魔法陣は娘と青年にダメージを与え
「これで決めてやるっ!」
「見せてやろうぜっ!」
魔法陣でダメージを与えた二人は突撃して娘と青年に同時に斬りつけた後跳躍し、そして同時に衝撃波を解き放った!
「「貫け!武神!双天波!!」」
ルークとガイが放った二つの衝撃波は一つになって回転しながら娘と青年を貫いた!
「「――――――!!??」」
ルークとガイの協力技――――武神双天波によるダメージに耐えきれなくなった娘と青年はそれぞれグリモアに変身し
「邪霊一閃!!」
元の姿に戻ったグリモアをレイスが横に一閃して滅した!
「……何とか退ける事ができたか。」
「……話には聞いていたが、まさかあそこまで本人達の能力をコピーするとはね。メルディ達と剣を交えた事がある私からすれば、まるであの時の戦いを再現している気分だったよ。」
「…………………」
「クィ~………」
「お兄様………メルディさん……」
敵の消滅を確認したジンは構えを解き、重々しい様子を纏って呟いたレイスの言葉を聞いたメルディは辛そうな表情で黙り込み、二人の様子をクィッキーとクローゼは心配そうな表情で見守っていた。
「え、えっと………それよりもあのローブ姿の人もそうだけど、メルディちゃん、戦闘中にリースさんが呼び出す”戦乙女”みたいに何か凄い存在を呼び出していたけど、あれって何だったの?」
重苦しくなった空気を変える為にアネラスはメルディに質問し
「ふえ?”大昌霊”の事か?”大昌霊”は”大昌霊”だよ。」
「それじゃ、説明になっていないっつーの。」
アネラスの質問に首を傾げながら答えたメルディの答えにその場にいる全員が脱力し、ルークが全員を代表して呆れた表情で指摘した。
「ハハ……”大昌霊”とはそれぞれが司る”事象”の昌霊達を取りまとめる存在―――君達にわかりやすく説明すれば”精霊”だよ。例えば先程のローブ姿の青年――――キールが召喚した”大昌霊”は”風”を司る”シルフ”――――”インフェリア”の大昌霊の一人さ。」
「はいな。インフェリアとセレスティアに”大昌霊”がそれぞれいて、メルディが呼び出した”大昌霊”―――セルシウスは”セレスティア”の”大昌霊”の一人で、”氷”の昌霊達、取りまとめている存在な。ちなみにインフェリアの大昌霊は”水”のウンディーネと”火”のイフリート、”風”のシルフで、更に大昌霊達のリーダー的な大昌霊―――”統括昌霊”がいて、その”統括昌霊が”光”のレム。そしてセレスティアの大昌霊は”地”のノームに”氷”のセルシウス、”雷”のヴォルトで、セレスティアの”統括昌霊”は”闇”のシャドウな。」
「せ、”精霊”!?メルディちゃん達、そんなおとぎ話でしか出て来ないような凄い存在を呼べるの!?」
「その事も気になるが、その”大昌霊”の中にいくつか俺達の世界にある言葉と一致している所が気になるな……」
「そうね………単なる偶然とは思えないわね。」
「譜術や音素の件といい、異世界は訳のわからない事だらけだぜ………」
レイスとメルディの説明を聞いたアネラスが驚いている中ガイとティアは考え込み、ルークは疲れた表情で溜息を吐いた。
「あ!ご主人様、皆さん、封印石ですの!」
その時グリモア達がいた場所に封印石が二つ現れた事に真っ先に気づいたミュウが声を上げた。
「フム……封印石が二つか。」
「状況を考えれば、先程戦ったお二人が封印されているのでしょうね……」
「バイバ!それじゃあ、メルディとクィッキー、あの中に入っていたんだな!けど、あんな小さな石にメルディ達、どうやって入っていたんだな??」
「クィ?」
「ハハ、封印石の原理については私達もよくわかっていないんだよ………おや、あの二つの封印石もメルディの封印石のようにこの場で解放されるようだね……」
ジンとクローゼの会話を聞いたメルディは驚いた後クィッキーと一緒に不思議そうな表情で首を傾げ、メルディとクィッキーの様子に苦笑していたレイスは封印石がその場で解放されようとしている事に気づき、静かな表情で呟いた。そして封印石が解放され、光の中からそれぞれ先程ルーク達が戦った娘と青年が姿を現した!
「眩しかった~………」
「何だったんだ、今の光は………?」
「ワイール!キール、無事でよかったな~♪それにファラも、無事でよかったよ~♪」
「クィッキー♪」
光の中から戸惑った状態で現れた娘と青年を見たメルディとクィッキーは嬉しそうな様子で二人に声をかけ
「メルディにクィッキー、それにキール……?え……ど、どういう事……?私、さっきまでリッドと一緒にバンエルティア号に乗っていたのに、どうしてファロース山に…………え。」
「それは僕も同じだ………何でファラがアイメン―――いや、どうしてそれぞれ違う場所にいた僕やメルディ、ファラがファロース山にいるんだ………?――――!?な――――あ、あんたは……!」
メルディに声をかけられた娘は戸惑った様子で周囲を見まわした後ルーク達に視線を向け、ルーク達の中にいるレイスに気づくと呆けた声を出し、青年は娘の言葉に対して疲れた表情で指摘し、困惑の表情で周囲を見回した後娘同様ルーク達のの中にいるレイスに気づくと絶句し、信じられない表情でレイスを見つめた。
「久しぶりだね、ファラ。それにキールも。バリル城以来だね。」
「レイ……ス………?わ、私、夢でも見ているの………?」
レイスは優し気な微笑みを浮かべて娘と青年に話しかけ、レイスに話しかけられた娘は戸惑いの表情で呟いたが
「夢じゃないな。レイス、本当に生き返ったよ、ファラ♪」
「メルディ……それじゃあ、本当にレイスが生き返ったの……?」
「ハハ、厳密に言えば”生まれ変わった”というべきなんだけどね。」
「”生まれ変わった”だって!?それよりも、死んだはずのあんたがメルディと一緒に僕達の目の前にいる事といい、その人達の事といい、一体どうなっているんだ……!?」
メルディの指摘で信じられない表情で自分を見つめる娘の言葉に苦笑しながら答えたレイスの答えを聞いた青年は驚いた後困惑の表情で声を上げた。するとその時娘はレイスに抱きつき
「ア、アハハ……何がどうなっているのか、まだ……よくわかんないけど………よかった………レイスが……生き返って………本当に……よかった………う、ううっ……うわあああああああん……っ!」
「ファラ………」
そしてレイスの胸の中で大声で泣き始め、娘の様子に目を丸くしたレイスはすぐに優し気な微笑みを浮かべて娘が泣き止むまで娘の頭を撫でていた。
「アハハ……ごめんね、せっかく再会できたのにみっともない所を見せてしまって。レイスの仲間?の人達も、いきなりの事で驚かせてしまってごめんね。」
「いえ……お兄様と皆さんの事情はある程度伺っておりますから、どうかお気になさらないでください。」
泣き止んだ娘はレイスから離れて苦笑しながら答え、娘の答えに対してクローゼは優し気な微笑みを浮かべて答えた。
「みゅ?今度はクローゼさんと、そちらの女の人の声がそっくりですの!」
「「え………」」
「ふむ、言われてみれば………」
「バイバ!確かにファラとクローゼの声、そっくりだな!」
「クィッキー!」
「ハハ、まさか皇子とジェイドの旦那、天才双子姉妹に続いて、声が瓜二つの人物がまた現れるとはな。」
「これで声がそっくりな人達が三組も揃った事になりましたけど、もしかして今後も増えるんでしょうかねぇ……?」
「確かにこの調子だとその内、俺達の声と瓜二つの人物が現れてもおかしくないな。」
「おい、アネラス、ガイ……アッシュまで巻き込まれている可能性もゼロとは言えねぇから、マジで洒落になんねぇぞ、その推測……」
「そうね。ルークとアッシュは容姿もそうだけど、声も瓜二つだものね。」
クローゼと娘の声が似ている事に気づいたミュウの言葉にクローゼと娘が呆けている中レイスは目を丸くし、メルディとクィッキーは同意し、ジンと共に苦笑しながら呟いたアネラスとガイの推測を聞いたルークは疲れた表情で指摘し、ルークの指摘を聞いたティアは苦笑していた。
「あのな、二人とも………声が似ている事よりも、まずこの訳のわからない状況がどういう事かを知る事が優先すべきことだぞ!?」
その時青年は呆れた表情で溜息を吐いた後疲れた表情で娘とメルディに指摘した。その後ルーク達は事情を説明し、互いに自己紹介をした。
「”影の国”………インフェリアともセレスティアとも違う世界で、僕達どころか更に違う世界の人物達まで巻き込まれた挙句、しかもこの”影の国”が人の想念によって変容しうる世界だって!?あ、余りにも非常識で滅茶苦茶過ぎて理解できない……」
事情を聞き終えた青年――――キール・ツァイベルは表情を引き攣らせた後疲れた表情で溜息を吐き
「まさかレイスが別の世界で、お姫様の妹ができていたなんて……あれ?という事はもしかして、今のレイスは王子様なの!?」
「ハハ、一応そうなるね。(元の世界でも私が王族だった事を知れば、更に驚くだろうね。)」
「あのな、ファラ……今の話を聞いて驚く所はそこなのか!?」
「ファラが驚いた事、そんなにおかしいか?メルディもレイスに妹が出来た事知って驚いたよ。」
驚きの表情をした娘―――ファラ・エルステッドの問いかけにレイスが苦笑している中キールは疲れた表情で指摘し、キールの指摘を聞いたメルディは不思議そうな表情で首を傾げた。
「もう、お兄様ったら……自分が王族である事を”一応”と仰るなんて、まだ身分を隠してご自分の見聞を広めていた旅行時代の気分がぬけていらっしゃらないのではないですか?」
「ハハ、実際その通りだから耳が痛い指摘だね。」
(それを言ったら、ルークもそうなるよな?)
(そうね……元の世界では王族で、更に爵位も持っていたのだから。)
(うっせ。今生きている世界だと俺はただの平民だから、今更ナタリアのような王族や貴族みたいな丁寧な口調や態度に直せないっつーの。)
「え……レイスはそっちの世界でも身分を隠していたの……じゃなかった!レイシス王子はそちらの世界でも身分を隠して、旅をしていたのですか……?」
呆れた表情で溜息を吐いたクローゼの指摘にレイスが苦笑している中小声で会話していたガイとティアの会話が聞こえていたルークは疲れた表情で指摘し、ファラはクローゼのある事を訊ねようとしたが、クローゼが王族である事をすぐに思い出して丁寧な言葉に言い直して訊ねた。
「ふふっ、私が王女だからと言って、私に対する口調や態度を直す必要はありませんよ。どうか私の事はレイシスお兄様のように、”クローゼ”と呼んで下さい。」
「勿論私に対する口調や態度も今まで通りで構わないよ。”レイス”は偽りの名ではあったが……君達からもそうだが、今の仲間達からもそう呼ばれているから、”レイシス”と呼ばれるよりもしっくりくるんだ。」
ファラが口調を直した理由を悟ったクローゼは微笑みながら指摘し、クローゼに続くようにレイスも苦笑しながら指摘した。
「………わかったわ。えっと……さっきの話の続きだけど、私達の世界でのレイスの本当の身分は”元老騎士”っていう身分で、私達の国―――”インフェリア王国”の騎士であり、貴族でもあったの。それで私達が会った時のレイスは商人を名乗っていたんだ。」
「……ちなみにその男は”王国一の騎士”と謳われている程の凄腕としても、王国でも名高い存在だったのさ。」
「まあ……ふふっ、お兄様の過去について後で色々と伺ってもよろしいでしょうか?」
ファラとキールの説明を聞いたクローゼは目を丸くした後微笑みながらファラに訊ね
「うん、私でよければいいよ!」
「ハハ、早速仲良くなって何よりだ。――――さてと。聞くのが遅くなったが……ファラ、キール。今回の件の解決の為にどうか君達の力を貸してもらえないだろうか?」
クローゼとファラの様子を微笑ましそうに見守っていたレイスは表情を引き締めてファラとレイスに訊ねた。
「ふふっ、水臭いよ、レイス。私達は今でもレイスの事を”仲間”だと思っていたんだから、”仲間”に力を貸すのは当然じゃない!それに話に聞く所多分……ううん、間違いなくリッドも巻き込まれていると思うし、それに今度はレイスも一緒なんだから、私達、絶対元の世界に帰れるよ!うん、イケる、イケる!」
「はいな!後はリッドを”解放”すれば、私達、全員揃うな!」
「クィッキー♪」
「全く……二人とも何で悩む事無くそんなにすぐに決められるんだ……?………まあ、実際この訳のわからない状況を何とかする為にはあんた達とも協力する必要がある事は理解しているから、僕も協力させてもらうよ。」
それぞれ盛り上がっている様子のファラとメルディ、クィッキーの様子に呆れていたキールだったがすぐに気を取り直してファラ同様協力を申し出
「ああ、二人ともよろしく頼む。」
レイスは静かな表情で頷いた。その後ファラとキールを加えたルーク達は時折襲い掛かって来る魔物達を倒しながら先へと進み、頂上にある祠らしき建物の前に到着し、建物の中へと入っていった。
「ここは一体……?」
「僕達が初めて”セレスティア”に渡った時に光の大昌霊―――”レム”に”光の橋”を開いてもらった場所だ。」
「………そしてここが私とファラ達が刃を交えた場所でもあるのさ。」
「………………」
「そうだったのですか………」
周囲を見回しているティアの疑問にキールが答え、キールに続くように答えたレイスの答えを聞いたファラは悲しそうな表情をし、クローゼは辛そうな表情をした。するとその時魔法陣が現れた!
「あ……!」
「来たか……!」
「魔法陣ですの!」
魔法陣を見たアネラスとジン、ミュウがそれぞれ声を上げたその時魔法陣から虚ろな目をした赤い髪の青年が現れた!
「リッド!?」
「違うな!あのリッド、さっきメルディ達が戦ったファラとキールのように、リッドの姿に変身した”魔物”な!」
「クィ、クィ~!」
「気を付けろ!何かする気だぞ……!?」
青年の登場に驚いているファラにメルディが警告し、クィッキーは警戒した様子で青年を睨み、青年の様子を見て何かに気づいたキールが警告したその時青年は詠唱らしき行動をした。すると青年の傍に三叉槍を持った全身が水でできた人らしき存在が召喚された!
「何だ、ありゃ……?女性のように見えるがどう見ても、人の類ではないよな?」
「もしかしてあの女もお前達の仲間か?」
「ううん、あの女性は私達の世界―――インフェリアの大昌霊の一人で”水”を司るウンディーネって言って、今まで私達に力を貸してくれていたのだけど……キール、ウンディーネは今もクレーメルケイジの中にいるよね?」
「当たり前だ!多分あのウンディーネも目の前のリッド同様、魔物が化けたんだと思う。」
ガイは不思議そうな表情で青年が召喚した存在を見つめ、ルークの推測に首を横に振って答えたファラはキールに確認し、確認されたキールは疲れた表情で答えた後すぐに気を取り直して青年が召喚した女性の正体を推測した。
「………まさか”あの時の戦い”を再現した上で立場が逆になってしまうとはね…………だが………”あの時”と違い、今の私に”迷い”はない。今度は”本気”で行くぞ、リッド……!」
そしてレイスは静かな表情で呟いた後決意の表情になって武器を構えて青年へと向かって行き、ルーク達もレイスに続くようにそれぞれ二手に分かれてファラ、キール、メルディ、クローゼはレイスと共に青年との戦闘を、ルーク、ティア、ガイ、アネラス、ジンは女性との戦闘を開始した―――――
後書き
という事で予想通り、メルディの次にファラとキールが加入しました!そして、エターニアルートの最後の相手はリッドとウンディーネです!何故リッドのお供がウンディーネ?なのかはエターニアをプレイしていた人達ならわかるかとwなお、リッド&ウンディーネ戦の戦闘BGMはエターニアのラスボス撃破後に流れるあの名曲”ETERNAL MIND”だと思ってください♪それと最近あくまで考えている段階ですが更に他テイルズキャラを3rd篇限定で出そうかなと思ってしまいました。ちなみにそのキャラは”導師”と”初代災禍の顕主”です(オイッ!)しかも”導師”は原作の”導師”ではなく、”初代災禍の顕主”を知っていて、ラスボス戦時”従士”が二人いた”導師”といえばわかる人もいるかと思います(汗)ちなみにその二人を出そうかなと思ったきっかけは原作では”導師”と一応?縁がある二人が既に3rd篇で登場しているからです(ぇ)まあ、あくまで案の段階で、さすがにあの二人出すのは無理矢理過ぎな気もしますから、出さない確率の方が高いと思いますが(冷や汗)
ページ上へ戻る