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ヘタリア大帝国

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3部分:TURN1 殿軍その三


TURN1 殿軍その三

「両班が襲い掛かり。お背中を」
「油断だな。その両班も小者だがな」
「奈にとか一命は取り留められましたが」
「暫くは動けない」
「はい、残念なことに」
「全く。彼には第三艦隊を率いてもらおうと思っていた」
 それが司令の考えだったのだ。
「そして第二艦隊はだ」
「どなたに」
「これといっていなかった」
 残念ながらだ。そうだったというのだ。
「第一艦隊は私でだ」
「そして第二艦隊はですね」
「そうだ。祖国にだ」
 他ならぬ日本にだというのだ。
「率いてもらっている」
「そうなのですね」
「本当は祖国は祖国で艦隊を率いられるからな」
「だから第二艦隊はですね」
「人間に率いてもらいたかったが」
「人がいませんか」
「然るべき人材がいない」
 司令は難しい顔で述べる。
「だからだ。そうしたのだ」
「畏まりました。では」
「さて、敵だが」 
 自分達の話をしてからだ。そのうえでだ。
 司令は日本にだ。あらためて相手である中帝国の話をした。
「八個艦隊、約百隻」
「それに対して我が軍は四個艦隊です」
「そして四十五隻だ」
「やはり数では劣っています」
「しかし艦艇の質では勝っている」
 確かな声で言う司令だった。
「五〇式の戦艦に巡洋艦、それに駆逐艦だ」
「今の主力です」
「これで充分だ」
 質には絶対の信頼を置いている司令だった。それは言葉にも出ている。
「安心することだ。まずは三個艦隊で攻めだ」
「第一、第二、第三のそれぞれの艦隊で」
「そして残る第四艦隊はだ」
「予備戦力として置き」
「然るべき時に投入する」
「東郷さんは優秀な方ですから最初から投入されてもいいと思いますが」
 日本は眉を少し曇らせて自分の考えを述べた。
「敵の側面を衝くなりして」
「それも手だがな」
「ではそうされては」
「いや、それには及ばない」
 司令は日本の考えを退けた。そのうえでの言葉だった。
「まずは三個艦隊で攻めだ」
「そしてですか」
「決戦兵力として第四艦隊を投入する。そうしよう」
「畏まりました。それでは」
「第一艦隊、私の艦隊はだ」
 どうするかというのだ。司令の艦隊は。
「中央に位置する。祖国は右翼だ」
「そして樋口さんが左翼ですか」
「そう配置する。ではいいな」
「わかりました。ではその様に」 
 日本は司令の言葉に頷きそのうえでだ。己の艦隊、そしてその第二艦隊を率いる己の乗艦である日本、彼自身の名を冠した戦艦に戻った。そしてその艦橋からだ。
 将兵達にだ。こう告げたのだった。
「我が艦隊は右翼に位置します」
「そしてですね」
「そのうえで中帝国軍との戦闘に入るのですね」
「はい、そうなります」
 こう己の指揮する将兵達に述べるのだった。
「ではそれで宜しいですね」
「よし、じゃあやってやるぜ」
 ここでだ。丈の短い軍服にだ。顔に白い鉢巻をした威勢のいい顔の若者が出て来た。眉はしっかりとしていて髪は短く刈り左手には木刀がある。
 その彼が出て来てだ。こう言うのだった。
「中帝国の奴等ぶっ潰してやるぜ」
「あっ、田中雷蔵さんですね」
「ああ、祖国さんも俺のこと覚えてくれてるんだな」
「近頃よくお見受けしますので」
 それでだとだ。日本はその男田中に答えた。
「若手将校のホープだとか」
「おう、攻めの田中だよ」
「そうですか。貴方が第二艦隊にですか」
「そうさ。気合入れて頑張らせてもらうぜ」
「ではお願いしますね」
「祖国さんの為なら火の中水の中だぜ」
 田中は笑みを浮かべながら言う。
 
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