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ヘタリア大帝国

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28部分:TURN3 新生連合艦隊その六


TURN3 新生連合艦隊その六

「地下の一番下の階におられます」
「そこか。しかし地下が」
「そこが一番研究に向いているとのことなので」
「普通長官の部屋は上にあるものだがな」
 人間の習性としてだ。立場にいる者は上の方にいきたがる。このことは東郷も知っている。
「またそれは変わってるな」
「いえ、あの方はそうした方でして」
 ここでまた日本が東郷に説明する。
「そうしたこともです」
「普通なのか」
「あの方にとっては」
「成程な。それじゃあな」
「御会いになられるのですか?」
「だから来たんだ」
 そうだとだ。東郷は美女に微笑んで答えた。
「有り難う。では今から行かせてもらう」
「それはいいのですが」
「今度が何だい?」
「長官は非常に気難しい方といいますか」
 口を濁らせながらだ。美女は東郷に答える。
「癖があるといいますか」
「ほう、そうした人なのか」
「ですから。くれぐれもです」
「ははは、世の中には色々な人間がいるものさ」
 そう言われてもだ。東郷は全く動じない。
「そうでないと面白くとも何ともない」
「そうですか。それでは」
「ああ、じゃあ地下のだな」
「はい、最下階です」
 そこだとだ。美女は東郷にあらためて告げた。それを受けてだ。
 東郷は秋山に日本、そして柴神と共にだ。エレベーターでその最下階に降りた。そのエレベーターの中でだ。
 日本がだ、こんなことを言った。
「そういえば平賀さんと御会いしたのは」
「私もだ」
「久方ぶりになりますね」
「そうだな」
 柴神もだ。日本のその言葉に応える。四人でエレベーターで降りながら。
「私もあの者に会うのはな」
「いつもこの最下階に篭もっておられて」
「自宅にも帰っていないらしいな」
「その様ですね」
 日本と柴神はこう話していく。
「それ程まで御自身の研究に没頭されている様ですが」
「それはいいことだ。しかしだ」
「はい。折角美貌も持っておられますから」
 日本は残念そうに述べた。
「もう少しお外に出られてもいいと思いますが」
「全くだな。しかしそうしたことはだ」
「御自身が決められることです」
「我々が言うことではないからな」
 こんなことを話す二人だった。そしてだ。
 彼等は四人でだ。その最下階に降りだ。そこにある多くの部屋の中のだ。長官室と札がかけてあるその部屋の扉の前に来てだ。すうにその扉を開けた。
 するとそこには様々な研究器具に設計図、それに生物実験の道具にだ。他にも様々なものが薄暗い部屋の中にあった。中には犬や猿までいる。
 そしてだ。小柄な少女もいた。
 紫の長い髪を無造作に後ろで束ねている。大きいダークブラウンの瞳に幼女の顔をしている。形のいい眉が前髪の中からのぞいている。
 丈の短いワンピースのスカートの上に丈の長い白衣を羽織っている。その白衣にはスクリューや様々な道具がある。
 髪の毛や服にだ。金色の時計やベルトが付けられていて右手には大きなスパナがある。そして頭には煙管を背中に括りつけられている黒地で虎模様。腹と四本の足首が全て白くなっている金色の目の猫がいる。
 その少女にしか思えない白衣の女を見てだ。秋山が言った。
 
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