ドリトル先生と春の花達
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第六幕その七
「素晴らしいですね」
「そう言って頂けますか」
「学べば学ぶ程」
「そのことを感じられますか」
「そうなっています、短い詩ですが」
和歌はというのです。
「その短い中にですね」
「自然と恋愛をです」
「凝縮してですね」
「詠っています」
それが和歌だというのです。
「そしてこの須磨の海も」
「和歌に相応しい場所の一つですね」
「源氏物語の舞台なので。ただ」
「ただ?」
「関西は他にも和歌の舞台が多いです」
「奈良や京都ですね」
すぐにです、先生は日笠さんに答えました。
「源氏物語の主な舞台は何といっても京都ですし」
「そこでもよく詠われています」
和歌がです。
「紫式部は素晴らしい歌人でもありましたし」
「和歌も詠っていて」
「はい、素晴らしい学識と繊細な感受性を持っていましたので」
文才に加えてです。
「作中多くの和歌も詠っています」
「それで都を舞台にしている時も」
「和歌がよく出ます」
そうだというのです。
「そして他の人の和歌もです」
「よくですね」
「詠われています」
都を舞台として、です。
「そして奈良も」
「万葉集の頃からですね」
「大和三山等も」
「畝傍山、香具山、耳成山ですね」
「香具山は有名ですね」
「はい、あの山もまた」
「万葉集にも出てです」
和歌のはじまりと言っていい歌集です。
「詠われています」
「奈良や京都は本当に多いですね」
「そこを謡った和歌が」
「ではそうした場所に行けば」
「和歌の勉強にもなります」
「では今度行けば」
奈良か京都にというのです。
「その時は」
「和歌もです」
「学ばせて頂きます」
「そうされて下さい」
「些細な自然の中の美も見い出し」
そしてと言う先生でした。
「恋愛もそこに入れて詠える」
「そのことがですか」
「素晴らしいです、日本人の感性は」
「昔の日本人ですが」
「いえいえ、今も皇室の方々を中心に詠われていますね」
その和歌をというのです。
「武士の人達も詠っていて明治や昭和でも」
「その頃でも」
「詠われていますし」
「そして今もですか」
「千数百の間詠われているのは」
まさにというのです。
「素晴らしいことです」
「今もというのはですか」
「非常に」
先生は日笠さんに笑顔でお話しました。
「イギリスの歴史と同じ位ですから」
「そこまで古いですか」
「アーサー王の頃にはですから」
五世紀位にはというのです。
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