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レーヴァティン

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第二十九話 怪盗その五

「影があります」
「!?」
 他の面々はその言葉に咄嗟に床を観た、するとだ。
 彼等以外の影を観た、その影を見てだった。
 今度は順一がだ、確信を以て言った。
「間違いありません」
「ああ、この影はな」
「怪盗のものです」
 こう久志に言うのだった。
「絶対に」
「だよな、ここにいる奴は俺達だけでな」
「しかもこの影は動いています」
「俺達の影と同じくな」
「今この部屋で動ける者は」
 即ち生きている者はというのだ。
「本来は私達だけ」
「それが、だからな」
「しかもシャングリラの方からです」
 その影が見えるというのだ。
「その上にいますね」
「隠れてるな」
「そうだね」
「しまった、見付かってる?」
 ここでまた声がした。
「僕のことが」
「ああ、いるね」
 源三もシャングリラの方を見上げて言った。
「シャングリラの方に」
「やっぱりそうか」
「うん、これはね」
 それこそとだ、源三は久志に応えた。
「上からね」
「鎧を取るつもりか」
「そういう考えだろうね」
「ううん、これは」
 シャングリラの方の声がまた言ってきた。
「まずいかな」
「聞こえてるのわかってるよな」
 久志はその声に問うた。
「そっちも」
「わかってるよ、おいらもね」
「やっぱりそうか」
「灯り消してそこからって思っていたら」
「鎧をですね」
「盗もうと思っていたんだ」
 こう順一に言うのだった。
「それがいきなり灯りをつけられてね」
「こうした時の常なので」
 順一は声の方に返した。
「そうしましたが正解でしたね」
「全く、君は頭がいいね」
「ですから怪盗の常です」
 まずは灯りを消してターゲットを守る方を暗転で精神的に混乱させ視界も遮ることがである。
「それを防ぐとなりますと」
「事前にだね」
「そうしました」
「やれやれ、結界はわかったし」
 順一と源三がそれぞれ二重に用意したそれはというのだ。
「いざって思ったら」
「まさかですね」
「そうしてくるなんてね」
 声はシャングリラの方から言ってきていた、影だけがシャングリラのものと重なって動いている。
「それでも姿は見えないから」
「こっそりとか」
「鎧を盗もうって思っていたら」
「どうして姿が見えないかも知りたいな、後な」 
 久志は声に対してさらに言った。
「あんたもうな」
「逃げられないっていうんだね」
「俺達は五人共外の世界から来たんだよ」
 声の主にこのことを話した、ここで。
「外から来た世界の奴のことは知ってるよな」
「特別な剣とか他の武器が使えてね」
「術もかなり使えてな、俺はまだだけれどな」
「しかもその術が元からこの世界にいる人よりも強い」
「ああ、そうなってるんだよ」
「それでだよね」
「その外から来た奴が五人いるんだ」
 この部屋にというのだ。 
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