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レーヴァティン

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第二十九話 怪盗その一

                 第二十九話  怪盗
 怪盗が予告した時間を待っていてだ、久志はその鎧を見つつ共にいる仲間達にこうしたことを言った。
「怪盗って言っても色々だよな」
「はい、ルパンが有名ですが」
 順一はまずは自分達の世界での怪盗の代名詞であるモーリス=ルブランが生み出した偉大な怪盗の名前を出した。
「他にもです」
「いるよな」
「三世もです」
「漫画のな」
「あちらも有名ですし」
「日本だけみたいにしてもな」 
 それでもというのだ。
「お孫さんも有名だな」
「そしてサイモン=テンプラーも」
「紳士怪盗か」
 久志もこの怪盗のことを知っていた、作者はイギリス人と中国人のハーフで殷王室の末裔だと自称しているという。
「そっちも有名だな」
「はい、ルパン以外にも」
「海外だとな」
「日本では他にもう一人有名な怪盗がいます」
「二人じゃないの?」
 源三が笑って言ってきた。
「二十面相とだよね」
「ハングライダーに乗る高校生怪盗ですね」
「二人だね」
「他にも結構いますね」
「そうだよね」
「あと千面相なんてのもいたよな」
 正はこの怪盗の名前を出した。
「パーマンに出て来る」
「ライバルの一人でしたね」
「ギャド連と一緒にな」
「中々人間味のある怪盗でしたね」
「そうだよな」
「山賊や野盗はともかく怪盗は魅力的です」
「美学があるからですな」 
 ここで言って来たのは進太だった。
「それは」
「はい、ルパンも二十面相もですね」
 勿論サイモン=テンプラーもそうであるし漫画の怪盗達も同じだ。その彼等もだというのだ。
「美学がありますね」
「だからでござるな」
「はい、怪盗には美学があります」
 その辺りの野盗や山賊や海賊と違ってというのだ、海賊はまだ海独特のロマンシズムがあるにしても大抵はならず者だ。
「予告時間通りに堂々と盗む」
「正面からな」
「しかも人は傷付けない」 
 これまたルパンからはじまっている、ホームズが探偵像を確立させたがルパンは怪盗像を確立させた。
「怪盗は悪であってもです」
「美学があり、でござるな」
「恰好がいいのです」
「そこが違うでござるな」
「義賊にも通じた」
 歌舞伎等に出て来るそうした存在にもというのだ。
「華麗な存在でござる」
「そうでござるな」
「まあ義賊つってもな」
 ここで久志が言う義賊はというと。
「白波五人男とかはな」
「五人揃う前は、ですね」
「結構悪いことしてるからな」
 弁天小僧もそうだし只信利平、南郷力丸もだ。赤星十三郎は止むを得ずといったところであるが前半や稲瀬川の名乗りを見るとこの三人はそうだ。
「怪盗じゃないよな」
「堂々とした盗賊であり義賊になりましたが」
 それでもというのだ。
「しかしです」
「それでもだよな」
「怪盗かというと」
「俺達が考えているな」
「そうした盗賊ではありません」
 五人男達はというのだ。 
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