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ヘタリア大帝国

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151部分:TURN15 ハニートラップその一


TURN15 ハニートラップその一

                              TURN15  ハニートラップ
 東郷は相変わらずだ。秋山の胃を痛めさせていた。
 秋山は眉を顰めさせてだ。そのうえで東郷に言うのだった。
「今日は何処に行かれてましたか?」
「今朝のことか?」
「そうです。何処に行かれてましたか?」
「二人いるが」
「今朝は二人ですか」
「そうだがそれがどうかしたのか?」
「全く。貴方という人は」
 眉を顰めさせてだ。秋山は功も言う。
「少しは身を慎まれて下さい」
「身を慎んでもどうということはないだろう」
「貴方の女性関係は派手過ぎます」
「しかし仕事はちゃんとしているぞ」
「そういう問題ではありませんっ、だからですね」
「つまりか。俺に遊ぶことを止めろというのだな」
「そうです。本当に少しはです」
 秋山はあくまで言うのだった。東郷のその奔放過ぎる女性関係についてだ。
 だがそれでもだ。当の本人はこの調子だった。
「安心しろ。妊娠や性病には気をつけている」
「だからそうしたことではなくです」
 まだ言う秋山だった。
「もう少しですね。身を慎まれて下さい」
「だから俺は普通にしているつもりだが」
「普通ではありません。ましてやです」
 秋山はさらに言った。
「樋口のこともあります」
「あの男は軍法会議にかけられ刑務所に入ることになったな」
「そうです。しかしあの男が中帝国に寝返った発端ですが」
「中帝国の女性工作員に弱みを握られたそうだな」
「はい、その通りです」
「では俺にもその工作員が来るというのだな」
「中帝国はそうしたことを得意としています」
 それ故にだというのだ。
「だからこそです。女性関係も少しは」
「ははは、工作員が来るなら相手をしてやるさ」
 秋山にそう言われても東郷は余裕だった。まさに余裕綽々の顔で秋山に話す。その顔には何の不安もないようだった。その顔での言葉だった。
「そしてだ」
「そしてとは?」
「その工作員に面白いことをしてやる」
「面白いこととは?」
「その時になればわかる。それでだが」
 ここでだ。東郷は話題を変えてきた。その話題はというと。
「香港やマカオはどうなった」
「南京攻略の前の作戦ですね」
「そうだ。そちらの進展はどうなっている」
「順調です」
 日本軍にとってはだ。そうだというのだ。
「そちらも順調に進んでいます」
「そうか。ではマカオもか」
「香港を攻略し今はマカオ攻略に取り掛かっています」
 既にだ。香港は攻略したというのだ。
「香港さんのご兄妹も私達に加わってきました」
「それは何よりだな」
「そしてマカオ攻略後にですね」
「そうだ。動ける戦力を全て動員して南京に取り掛かる」
 南京攻略、それにだというのだ。
「いよいよな。そうするぞ」
「はい、ではその時は」
「南京を攻略できれば大きい」
 東郷のその目が真面目なものになっていた。遊び人の目から軍人、しかも司令官の目になっていた。そうしてその目で秋山に話すのだった。
「中帝国との戦いも大きくこちらに傾く」
「はい、そうなりますね」
「ただしだ。重慶の攻略は容易ではないだろうな」
 それもわかっているというのだ。
 
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