HUNTER FUNG
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決戦 スットマン
4階の礼拝堂に、祭壇の前に置いてある説教台と呼ばれる机があり、基本聖職者はここで聖書を朗読したり説教を行います。が、今日はイベント行事で誰もいないはずなのに、説教台に前に座り込み祈っている聖教者の服装をしている一人の男性がいた。
・・・主よ我を導きたまえ、主よ我の行為に祝辞あらんことを・・・
片膝を着き両手を握り締め呟きながら、祭壇に祈る。
その男の名はスットマン。
「やることは全てやった、主への祈りも捧げ終えた。では行くかぁ」自分の頭の中で呟く。
祈り終えたスットマンは立ち上がり、振り返るとダルフが扉の前に立っていた。
「早いですね。ってかよくここがわかりましたね?」スットマンは腕を広げ首を傾け、ダルフに訪ねた。
「事前調査で、調べはついている。お前は何か行う前にここでお祈りをするってな」
スットマンは眼鏡を直しながら、苛立たせた。
「君に構っている暇はないのだがね?」
「悪いが、俺にはあるんでねぇ!貴様をこの先に行かせるわけには行かない」
「私の何がいけないのですかね?人を強くする上で一番はやはり弱者や他者を切り落とし、自分が上に立つというのが一番効果的なのに・・・そして、周りとの縁を立ち切って甘さを捨て、情をなくしていくのです。それが一番最適なのです!なら国も同じく過疎の町を切り落とし弱輩した考えを持つ多くの老人を殺すのです。介護などしても豊かにならない、何より守れない。ならいらないじゃないですか?」
「それが民衆の上に立つ者の考えなのか?」
「まぁある程度の犠牲は出るし、それにこれから最後の締めに取り掛からなくてはね」
遠くを見据えながら喋るスットマン
「締め?」疑問を浮かべるダルフ。
「戦争ですよ!」ニヤリとしながら話すスットマン。
「なに!」
「上の人間同士で話し決めた戦争で敵に王都付近まで進行させる、そして追い払うって段取りで・・・」
驚愕の顔の引き付きに、後退りするダルフ。
「そ、そんなの」
「起きますよ・・・これが権力者や国を指揮するものの力です」
「それでは、このマルナス王国が無くなるぞ」
「無くなりません。これから行く会談に12神獣のあるかと話をつけています。商人であるあの方の一軍に襲わせます。そして我々は大量の武具をその商人から買うそういう利益のもとに・・・裏切られてもいいように隠し玉も準備していますし」
スットマンは顔を少し下ろし、見上げるように言った。
「そんなの聞いておいて、はい、そうですか!って言えるかぁ」
下を向き目を閉じたと思ったら、顔から怒りがこみ上げスットマン怒鳴り上げて、ダルフは襲いかかった。
赤い絨毯の上を走り右拳で殴ろうとするが、スットマンは左手首につけたブレスレットの結晶が光だしスットマンの周りにバリアーが発動した。ダルフの身体はバリアーに持ち上げられ、後方に飛ばされた。
右手首につけていたブレスレットが光だし、右手の前で魔法陣を作り出しそこから電撃を飛ばしてきた。ダルフは慌てて両サイドに並べてある椅子に隠れて避けた。
「まぁそんな話のわからない連中に納得してもらう必要なんて私には無いですがね」
高く飛び上がり上空から炎を噴射するダルフ。しかしスットマンは前面にバリアーを合わせ炎から防ぎ左腕が薙ぎ払うのと同時にバリアーで炎を払い、右手から光弾を放つ。
身のこなしと重力による下に落ちる勢いで躱しスットマンと長椅子の向こう側の左サイドの通路に着地する。がスットマンが追撃をかけてくる。身を低くし光弾が落ち着いた瞬間に長椅子を蹴り上げスットマンに襲いかける。
スットマンは雷撃で長椅子を破壊したが木くずなどの破片が散らばりバリアーで守るが、ダルフはさらに3つの長椅子を飛ばしてスットマンを襲いかかる。
長椅子に埋もれて落ち着いたかと思ったら、スットマンに投げ飛ばした長椅子全てが浮き上がり、逆にダルフに襲いかかる。
ダルフは一つ一つ殴り壊したが、ダルフに木くずが舞い上がり無数の雨となって襲いかかる。額や腕などにかすり傷を覆った。
「ムカつくゴミですね」スットマンは苛立ちながら言った。
「うるせぇ」と言いながらダルフは破壊した長椅子の破片を投げ飛ばし、スットマンの視覚から自分を隠しながらスットマンに急接近した。
「備品は大切に扱ってくだいさい。しかも教会の品は・・・」スットマンは眼鏡を直しながら、雷撃で長椅子を破壊する。今度粉々になるように爆発させた。
爆発させたことによって、煙が立ち自分の視界を悪くさせた。バリアーで煙を払うとダルフが懐に入っていた。
「あぁそうだな!そうするよ」と言いながら。
「なぁ!いつの間に・・」両腕で顔の前に出し、ガードするが、
「どこ守ってんだよ?低い姿勢で顔は殴らないだろ」と言い放ち、スットマンの腹部に右ストレートを力強く思いっきりに殴り吹っ飛ばした。
「さぁ皆様この国の未来を築いていけるよう、そし私の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。 」
とマルナス国王が客間にいる皆様に祝辞を述べ終えていた。勿論ここには12神獣となる我峰もいた。
「えぇ、では摂政でありこれから皆様と一緒にコルマト島に向き合われるスットマンの挨拶なのですが・・・」
と司会進行係が話すが、そわそわと焦りながら辺りを見渡し周りの人間に小言で訪ねていた。
「スットマンはまだかね」
と人が慌ててたときに、扉が破壊され物が飛んできた。
人が駆け寄ると飛んできたものはスットマンだった。客間にいた人間が騒然となり慌てた。
その後、スットマンが飛んできた扉からダルフが入ってきた。
見知らぬ人に司会進行係はダルフを見て慌てて兵士に命令を出した。
「もの共、不審者だ!この者を引っ捕えろ」
その号令のもと、兵士は一斉にダルフの群がらり彼を抑え付けた。
「貴様ここで何をしている?ここは王宮、王の城であるぞ!先程から騒がしい音をしていると思ったが、貴様かぁ!」
司会進行はダルフの前に立ち吠え上げた。
「何か言わないか・・・あ、ぁあ」司会進行は威勢のいい声から喋りを途中で辞めたと思ったら、司会進行のお腹から赤い無数の線が飛び出てた。
その後その赤い無数の糸は司会進行の体をズルズルと後退りしていった。抜かれた司会進行は崩れ落ち倒れた。赤い糸の先にスットマンが立っていた。
他の兵士がスットマンに駆け寄り、スットマンに話しかけていた。
「スットマン様、何をされているんですか?」
しかしスットマンは無反応でなんの身振りも無かった。たださっきまでと違うのはスットマンの瞳が赤くなっていた。首から垂らしているネックレスのセンターに描かれている絵と一緒の色をしている。
スットマンの左腕が駆け寄った兵士の前に伸ばされて、左腕に赤い糸が纏わりつくと生々しい筋肉繊維が露わになったかのようになり、そして兵士を刺し背中から無数に四方に突き出た。
「あ・・あ・・あ・・ぁ・・・ぁぁ」突かれた兵士は口を開いていた。
スットマンはその貫いた兵士を払い、そして身体に赤い糸が巻きついていく。
「ぐぅあぁぁぁあぁぁ」
禍々しく肩から頭に両腕に上半身にへと巻きついていき、獣の姿になっていく。
さっきまでの冷静なスットマンの面影は消え去り野獣のような構えを取り、襲いかかってきた。
大きく変貌した化物の手のようになった右手で引き裂きにかかる。
ダルフを拘束していた兵士が慌て出し手が緩むと抜け出し、上に飛ぶ。
「あ」抑え付けた人間がいなくなったことに動揺し逃げ遅れ、兵士は暴走したスットマンに潰された。
勇敢な兵士が後ろから剣でスットマンに雄叫び上げて切りかかろうとするが、左手に薙ぎ払われ引き裂かれ上半身が無くなっていた。
ダルフはテーブルの上に着地して、右足で蹴りを入れるがビクともせず。逆に右腕で頭の上を振り回し叩き落とすが躱すが、その先に国王がいる。が右腕はそのまま勢いよく振り落とされた。
しかし、数秒後に右腕は粉砕した。我峰が国王を守ったのである。
「大丈夫ですか、国王?」
振り返って国王に尋ねるが、国王は気を失っていた。
我峰はダルフに吠えた。
「ダルフ!さっさとケリをつけろ!犠牲者増える。来賓を傷つけたらこの国は終わりだぞ」
「わかってる」と暴走したスットマンの攻撃を躱しながら、我峰の呼びかけに応える。
スットマンの左手が伸びきったスキを見計らい、懐ろに急接近して剥き出しの腹部に炎の右アッパーを入れる。
それもビクともせずにダルフの左側からスットマンの右腕が襲いかかる。
そのまま右腕に押されながら、ダルフは壁にぶつけられた。
「おい、チィ」と顔を強ばらせスットマンを見る。
両腕がズルズルと戻り終えると、我峰らがいる。来賓や国王を見ていた。
そして、右腕が近くまで伸び止まって、腕の先をトゲトゲになり伸びようとした瞬間。
「ねぇ、どこ見てんの?お前の相手はここにいんよ!」
ダルフは語りだし、両手に炎を燃やし突っ込んだ。
暴走したスットマンは、両腕でダルフを突き刺しにかかったが、
「これもコアの一種なのか」ダルフは独り言をボソボソと言う。
炎を燃やした両手に両腕を引き裂かれて、上下から同じタイミングで前身を切り裂かれた。
「フレイムファング・・・・そして・・・波」
ジェス戦と同様に、炎の圧縮された波動がスットマンを弾き飛ばした。
勢い良く飛ばされ、壁に大きな衝撃とひび割れをしながら練り込む男性の姿があった、その男性はスットマン。このマルナス王国の摂政を勤めておる、この国の実力者だ。しかし、そんな彼もいろいろな悪事が公に明かされて行った。さらに彼の不幸は続き過信していた闇の代物に蝕まれ支配されてしまう。
そんな暴走したスットマンから、来賓や国王を救った男。我峰、そしてダルフ。彼ら二人のおかげでマルナス王国は救われたのである。
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