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HUNTER FUNG

作者:真亭 甘
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少し間に



「う・・・・」


 目蓋をピクピクと震わせながら目を開けると、テントの中にいた。耳元で水の跳ねる音に釣られて目を向けると、ハルがそこに立っていて濡れタオルを絞っていた。



「は、目を覚ましたのね。ダルフ」




と言ってハルはさっき絞ったタオルを落とし、2、3歩後退り両手で驚いて開いた口を隠す。ダルフは口を開いて何かをつぶやこうとしたが、ハルは人を呼びに走って外へと行ってしまった。ダルフは声出でなくハルを呼び止めることが出来なく、また意識を失い眠りにつく。



ダルフが次に目を覚ましたのは、その日の夜だった。辺りは暗く吊るされたロウソクの火が微かに周りを照らしていたのである。ダルフは起き上がると、ハルが疲れたのか床で座り込みベットの上でうつ伏せに寝ていた。ダルフは自分にかけられていた掛け布団をハルにかけて、外へと出て行く。



 草原のど真ん中にキャンプを貼っているので、星空が良く見える。綺麗に無数の星が散りばめられている。あの奥には果てしなくどこまでも広がる外の世界、またの名を宇宙があるという。そしてあのきらめく星は今から何万と言う光の年数を越えて光っている。と、どこかの宣教師が言っていたのを思い出した。



「お、やっと目を覚ましたか」



 と星空を眺めていると、後ろからシロンが声をかけてきた、左頬に傷跡を残して。



 「お前、その傷」


 笑いながらシロンは言う。



 「お前と一緒でヤられた。この傷はアニマの治癒力では治らないらしい」


 アニマは基本傷跡を残さず治癒を行うのだが、どうやらあの暗騎の剣はそれを阻む特殊な素材で出来ているらしい。
 アニマにも能力によってバラバラの力がある。それと同じように武器や道具にもそれぞれ付加価値があるのだ。
 例えばハルの弾倉やジェスのアクトロウィップもそうだ。アニマを伝達できる特殊な素材か何かが含まれている。まだ解析はされていないが、解析された暁には世界は大きく変わるとも言われている。また別の仮説では、誰もが同じ素材で応用ができているのでは無く人によってばらばらに素材との相性があるのではないかという人もいる。謎多き世界だ。


 「まさかお互い様にヤられるとは、お前の戦ったあの軍人、強いのか」


 リバロか、油断して勝負を急がせてしまった。もう少しじっくりと戦っておけば良かったものの、大技を使って終わらせたのが敗因。あそこから光弾の拡散しながらしかも連射してくるとは思わなかった。



 「もしシロン。お前が戦うなら腰に備え付けてある剣には要注意だぞ」


 「剣か、でも暗騎よりは安心だろ」


 「いや、少佐とスットマンは言っていた。それなりの実力はあるってことだ、油断すると俺の二の舞だ」



 2人は夜更かしをしすぎると、体力の回復に遅れをきたすことを考えて、話を終えてテントへと戻っていった。




 朝になって起きると、ハルはまだ寝ていた。服を着替えていると、目を細めて朦朧としながら目を覚ました。

「おはよう」


「・・・おはよう」




 ハルはちょうど俺が上半身を裸にして、ズボンに履き替えている時に目を覚まし起き上がった。のでハルは目を上下させたあと、すぐさま恥ずかしさのあまりに顔を伏せた。


「なに、もう身体は大丈夫なの」



「ありがとう。面倒を見てくれて」




 そう言われるとハルは、顔を上げた。俺も恥ずかしくなり背を向けた。ハルは俺の背中を見ると何かを言おうとしたが、言わずに立ち上がり出口へと一定の方向を見続けて出て行った。それ以来キャンプでは、ハルから少し目を外らされる。


 食事場に行くと、ソルスに木の棒で頭を打たれた。いろいろな攻撃を受けたことはあるが、この木の棒で打たれるのだけは耐え切れない。



「お前も打たれたか」と先に椅子に座っていたシロンに言われる。

 

「ソルスさんからの怒りよ、私もキャンプに戻ってきた時に打たれたよ」



「俺もっすよ。俺なんか助けたのに」



 ハルやシュルスが話しかけてきた。ハルに助けてもらったのは、わかっていた。が、シュルスにも助けられたと初めて知った。



「そうか、シュルス。助けてくれて、ありがとう」



「まぁいいですけど、今度から冷静に動いてくださいよ。あなたは、あまり器用じゃないので」



 見透かされたかのようで、少しイラっとした。が、命の恩人でもあるのを怒っては、義理が無い。が低く接するとこいつは調子に乗る・・・気をつけなくては。



 今日の朝ごはんは、サンドイッチ。パンとパンの間にいろいろな食材を挟む料理で組み合わせは挟む具材に寄ってたくさん出てくる。これはいろいろと流通していて抵抗感がなかった。それに怪我をしている人に箸を使って難しい食べ物を食べさせるほど、酷なことは無く。気を使ってくれるのを、シュルスの料理を見てわかった。

 サンドイッチのタマゴサンドを食べいると、後ろから誰かが近づいて来ると感じる。すると急に勢いよく背中を叩かれる。喉の奥の方に入っていたタマゴサンドが詰まりかかり、噎せた。そこにソルスが行儀悪いと言い木の棒で叩こうとするが、袈には受け止められる。



「おう、何かってに別れの挨拶もなく出て行こうとしているんだい」



 隣に座っていたシュルスをどかし、椅子に座った。



「すいません。つい目的を見つけたので」



「まぁいいけど、負け戻ってくるなよ」


 袈は腕を抱えて、大きく言った。恐らくまだ負けを知らないのだな。みんな朝ご飯を食べていると、我峰が来て話しかけてきた。


「また、スットマンの所へ行くつもりかい」


異様な雰囲気と威圧感をだし、元々の大きさはあるけど・・・いざ話すとなるとその大きさに飲まれそうだった。


「・・・あ・・・あぁ、行く・・・行かないといけないんだ」



「なら明日王都に行くぞ」



「はい・・・行くぞって我峰さんも行かれるのですか」



と威勢のいい返事の後に驚いて振り返る。



「コルマト島の首都ビクニュームにて、権力者たちや国のモノたちが集まる会議(通称パーティー)が行われる。俺は12神獣として出席する。」



「ビクニューム・・・パーティー・・・」
ダルフは我峰の言ったことを復唱するかのように言う。



「そして、マルナスの王都からコルマト島へ出航する巨大船をマルナスが建造したと各国や権力者に書状を送っている。そしてそれが出航するのが明日の1500だ」



「国の・・・民から金を奪い集めそして、その金で巨大船を建造・・・しかも各国にゴマをすって」

ダルフはだんだんと怒りが込み上げてきた。が、シロンやハルは冷静に見つめて少し黙った。



「自国の権力を見せたいんでしょどうせ」


とシュルスがシロンやハルの思い浮かんだことを呟いた。



ダルフは異論を言おうとしたが、いろいろと考えやめてしまった。それから数時間と沈黙が続いた。



そんな沈黙をシュルスが壊した。


「そう言えば、イスタロフさんはまたアレですか」



「あぁそうだ」と我峰が答えた。が我々3人はなんのことだかわからなかった。




「そう言えば、イスタロフさんはどこにいるのですか。明日のことも話したいのですが」

とダルフが聞いたが、我峰はイスタロフはまだ寝ているから行かない方がいいらしくさらに詳しく聞くと



「あいつは昨晩また女を連れ込んだ・・・連れ込んではいけない訳は無いが、建物の中と違ってテントだ。空調がいい訳じゃない。ましてや籠もる。だからヤった次の日は入らない方が良い。それに入ったら入ったで生臭い」



と我峰はイスタロフのところへと行こうとした俺たちに教えてくれた。


そのことを聞いた俺たちは、それぞれの各自の行動に移った。



シロンは、スクラップや材木を集めに行った。ハルは、何か集めるかのように森へと入って行く。俺は何をするか迷った。恐らく2人は、自分の武器の資材集めをしているのだろう。そう思うと武器を持っている奴は空いた時間にやることがあっていいよなぁって思うが、実際にはそういう事が出来るのはこまめに管理もできて尚且つ、自分の技と武器の両方や別々をこなせる器用な人でないと、それに若い頃に剣を持って旅をするんだぁと生き込んだがそれは虚しくも邪魔に思えて諦めた。それにもし剣を扱う人間になっていても、今自分にやれることはせいぜい素振り位だろう。剣での資材集め等って言ったら、鍛冶屋にならなくてはならないから・・・そんな知識も無いし頭も無い、それにさっき言われたけど不器用だ。それなら炎を使って武器の形にすればいいし。という事から俺は草原の草の上に座っていた。



「おい、あんたは、いろいろと作業をしなくていいのかい」


と袈が話しかけてきた。それ以外の人たちはと言うと、ソルスさんは食器や晩の宴。我峰が、12神獣の仲間入りするのと明日の出航に同席することからのしばしばの別れがあるので、宴をやる準備をしている。我峰は、その準備をしている。してなくても、話しかけにくい存在だが。シュルスはいつもながらの偵察の任務しているらしい。ここだけの話、能力柄で偵察任務になっているが、出来れば本拠の店場任務の方がいいと言っていた。ギルドでは、どんなギルドでも本拠地を定める決まりになっている。それに帳をまとめる力は確かなものだったが、ここでは事務的能力より実戦能力の方が優先される。また、イスタロフはまだテントから出てきてないとのことだ。



「あの2人は武器を使うからそれらの準備や整備をしているのだろう、あいにくさまに俺は使わないからその必要も無い」



「なら、ただボーケーと過ごすのかい」



「いや、そのつもりもない。アニマの力を高めるために静まりを行う」


「アニマを高めるために、静まり?なんだそれは」


アニマは己の魂の姿。その魂を無にすることで更なる力が大きくなる。


「何かに心を集中させること、心を静めて無心になること、目を閉じて深く静かに思いをめぐらすことで、単に心身の静寂を取り戻すために行うような比較的日常的なものから、ありありと体感したりする。これによることで、アニマを高め更なる覚醒をもたらすと教えられてきた。」


とダルフは言い、座ったままで目を閉じて、静かになった。


「なるほどねぇ、うん?それは、うちらの言葉では瞑想ではないか」


と袈の言葉を聞いて、静まろうとしていたダルフが反応する。


「瞑想?」



「おうよ、体を落ち着かせて肌や感覚で自然のありとあらゆるのを感じることで、神を感じることでき。これ人の域を超えると言われている」


「人の域・・・」

力の中には、域があり職人・武人・達人・名人などいろいろな実力表現がある。


「そうだとも、人の域を超えるものは大きく見えるまた敵には威圧的に味方には温かみを与えるとか」


「それは聞いてはいないが、その事を聞くとこの瞑想は、アニマを高めて自然の力を見にするのは本当かも知れない」


ダルフはすぐさまに瞑想に入り直したが、袈が大笑いをし一言を言った。


「域を超えるのは、一日やそこらでなるほど簡単なものじゃないぞ」



「それはわかっている。が、瞑想することで落ち着くし、その力が今度の戦いまでに急いででも欲しているのではない。ただアニマを高めるのは、体を回復も出来るし今度のアニマの出もいいので」


「なるほど、そりゃあご立派だ」


と袈は言い、朱風に跨り後にした。



その後、すぐに鼻で息を大きく吸い、口から吐く。意識は呼吸をしている感じだけに集中する。他のことは何も考えず、とにかくゆったりとした呼吸し始めた。
呼吸をしている感じに、頭のなかに色々な雑念が浮かんでくる。今度の戦いの不安や恐れ、前回の負けたイメージなどとりとめのない思考が湧いてくる。無理に消せない感じだ。この反省は重要だ。後悔ではない、公開する理由もない。スットマンはいろいろなことをやってきただろうが、まだ後悔させられることはない。反省ならある、あの時に何も考えずに動いてしまったことだ。


そして、だんだんと何も考えなくなっていく。すると静かな暗闇の中を感じた。

「これが瞑想の中か、前にも来たな」


前にも、この空間に入ってきた。初めてアニマの炎を出した後だ、その後松明の炎に触れたとき熱い思いをしたけど、激痛では無く火傷も無い。自然の炎の力に近づいて来た。

この瞑想の空間に潜っていると、だんだんと下の方から水が湧いてきた。それには気持ち悪くジメジメとしていたので、逃れようとした。すると急に苦しくなり雑念が浮かんで、暗闇に光が射してきて、瞑想から抜け出してしまった。瞑想を何度も繰り返すが、水が気になり解けてしまう。


「・・・くそぉ、なんなんだ。水が気になって瞑想が続かない。前はなかったのに、これが瞑想する試練か・・・」



水を気にしなずに、瞑想を続けることを決めていたが、水は更に増えていき顔を超えていき、体を全部水の下に入り込んだ。なぜかこの水の中では息ができる。そして身体に余計な力や支えを入れずに済み、全てが無になった。


それからどのくらいの時が経ったのか分からないが、瞑想から目覚めると気持ちよく目覚めた。何もかも研ぎ澄まされ、縛りもなかった。


「汝よ、今の汝は昨日まであっていたのとは違うな。水の中に潜ってはいない・・・浸かったな」


その声は、イスタロフであった。


「・・・イスタロフ、潜るとは」



「おお、炎の少年に牙生えたなハハハ。潜るとはその水の深みへと、さらに奥へ深淵と潜り込むことだけだ」


あの水の感覚を潜るのか、確かに川や池など水があるところは底まで潜れる。しかし・・・



「だけと言うのは、どういう事だ」


「それだけのことだ」


「それだけのことだと。力を獲るのだぞ!人智を超えた域の」


「そうだ。それだけしかない一人の人間だ。」

意味がわからない。何が言いたのだこいつは・・・


「いいか、ダルフよ。汝は力を得て何がしたい。ただその力を持ち自身の傲慢さを見せたいのか。スットマンみたいに!それとも導きたいのか、救いたいのか?」



「・・・」



「それを間違えるなよ。そして潜る前にそれを決めていけ、潜った後では戻りたくとも戻れぬ」


またイスタロフも、言い終えるとテントの方に行った。



 王都レプロパンは、陸地から離れた小島に港町を築き、満ち潮の時には海に浮かび、引き潮の時には自然に現れる陸橋で陸と繋がっていた。トンボロ現象。普段は海によって隔てられている陸地と島が、干潮時に干上がった海底で繋がる現象。
という自然の橋を利用した陸地の海岸線に王都街レプロパンを築き上げた大都市だ。トンボロの橋の北側にブレナス城がある。



ブレナス城は、ゴシック様式など、さまざまな中世の建築方式が混ざり合って出来た構造になっている。高さは12階建て(灯台塔を入れると15階建て)の構造体である。
地下階は、地下牢・拷問部屋・研究室などがある。1階に玄関ホール・大広間・厨房・物置・事務室・使用人の待機部屋・軍隊の部屋などがある。2階は、図書館・医務室・食事室などがある。3階は、謁見の間・客間・会議室などがある。4階からは王族スペースとなる。が6階と8階には執事とメイドの休憩部屋がある。灯台塔は、軍の管轄になっていて、偶数階ごとに屋外デッキと渡り廊下がもうけられている。警備のため渡り廊下を経由して軍は巡回警備を行っている。


各種ライフラインは水道以外通っていないらしい。と言うより、建設当時にあったライフラインが水道なだけで、他を配備することもなかった。それに配備すると白の価値観を失うという意見もあり、配備されてない。

大広間は、玄関ホールの右横の扉から入ることができる、王・官職が食事や式典をする為の広間である。奥には王族達が座る長テーブル、その前には客などが座る長テーブルごとに座る。天井は天井板が無く梁や屋根構造が丸見えになっている。イベントなどのときは、市民を持て成すため飾りつけも変えられる。普段は長テーブルは置かれていない。
厨房は、大広間の隣りに配置されている。たくさんの料理人が日中働いている場所である。灯台塔は、ブレナス城でで最も高い位置にある塔。またこの塔からレプロパンの街全てを見渡すことができ、敵国が攻めて来た時に敵の軍隊などの配置をいち早く把握することができる。また海に近いことから灯台としても利用されていることから、灯台塔と呼ばれている。



王都レプロパンの第一外壁があり、防衛をよくするために主要交通路がある。その中の1つ北東路を永遠の行軍は進んでいる。後々進んでいくと外壁を通るための関門が設置されている。北東路の関門の名はバルボ門。バルボ門を進むとすぐさまに館がある。

バルボ門の内側、左手の「町民隊の館」。
町民隊とは、王都の城下町の治安を管理している部隊。いわゆる自衛団だ。何もかも軍隊で賄うと税金がとんでもない額に増えることから、市民が考えて設立にいたった。ほとんどが商業組合によるものだ。

また外からは見えなかったが、壁には大砲が設置されていて、少しだけ開けられた穴から大砲を撃っていると思われる。



ここから先は、町を貫く1本道が城や外広場入り口まで続いている。通りの両側にはレストラン、土産物店、宿屋が軒を連ね、人を出迎えるようになっている。奥に進むとまず見えてくるのが、有名なレストラン、ふわふわのオムレツが美味しいと言う店だ。

落とし格子も見られる門がある。中門とも呼ばれ中門の周りに城や中の建物を守るように壁がある、外壁から中門までを下町と言う。中門の上に鐘楼の付いた高い建物がある。この建物は役所やクエストなどの換金を行う組合の建物だ。

中門を超えると、教会や修道院や軍隊などの駐在所がある。また下町や中町の家の屋根は薄い石板のストレート葺になっている。また歩いていて気づいたが、壁の上端部が凸凹としていている。万が一の場合に、この隙間から矢か光弾を放つのだろうと思う。

そんな風に王都を見渡しながら歩いていると、城門に着いた。簡単に手続きが終わり、うちら永遠の行軍は我峰のおかげで城壁内の広場に誘導された。そして昨日の打ち合わせを思い出した。


昨日の宴の後、シュルスの偵察の報告を合わせて、打ち合わせを行った。メンバーは、俺らダルフ・シロン・ハルに、シュルス、ソルス、我峰と袈の7人だ。

「シュルス。報告やい」と我峰が訛りながらいった。

「わかりました。明日は大型船や我峰さんの招待状にもあったように、城の外広場兼港の大広場で模様しがあるそうです。トンボロの橋は軍の管轄にあるので、もうそこに入ると手出しは出来なようです。なのでスケジュールの流れで行くと、まず乗員メンバーは城の内部に招待され国王と挨拶。次に摂政であるスットマンとの話、その後誘導されながら橋を渡り、乗船・出港となっています。のでスットマンが我峰さんたちの前に行く前に仕留めることが前提条件になってきます」


シュルスの説明もあってか、スットマンの首の難易度が伝わってくる。そしてシュルスが話を続けた。


「偵察調査によりますと中広場の所には、城内へと続く階段があります。ので、そこから潜入してスットマンを倒すのがいいと思います。また明日のこともあり、城門を超えるとほとんどの軍隊は外広場・港・橋・外壁・関門などに配置されて人は少なくなります。がこの前みたいな親衛隊がいますので、数ではなく個の力が強いと思ってください」



「「はい」」と俺たちは返事をした。がここで1つ驚きなことが起きた。


「シュルス、おめも行くんやで」と我峰が言った。


「えっ!なんで」とシュルスは慌てて聞き返した。


「なんや、おめ。嫌かい」


「嫌ではないが」


「ならいけ。嫌なわいを倒せ」


しぶしぶとシュルスは「わかりました・・・」と言った。

これによりシュルスも同行していくことになった。



そんな事を思い出していると、目的の城の内部へと繋がる階段に近づいてきた。


「では、ありがとうございます」

とダルフ達は永遠の行軍のグループから離れ、衛兵のいない階段から侵入し、城内へと入っていった。



そんな王宮の中を歩く兵隊がいた。その男の名は、リバロ。先日のハニルの街での戦いでダルフを倒した男だ。
リバロは、左側から日差しを浴びながら廊下を突き進んでいた。そのまま突き当たりに差し掛かると木製の扉の前に来た。石を何十にも積み上げられた壁と扉の両サイドを照らすロウソクの間に、木の板が何枚も重なり上下に鉄の板でつなぎ止められていた扉だ。
リバロはその扉を手の甲で2,3回ほど、コン、コンと、ノックをした。そしてリバロは外開きの扉を塞いでいる木の板を退かし、扉をギー、ギーと軋む音を立てながらゆっくりと扉を開けた。

中は薄暗かったが、音が聞こえてきた。はぁ、はぁ、と人の息遣いのような音が、すると「んっ、あっああ」 我慢しきれずに女性の小さな声をあげるが薄暗い奥から聞こえてきた。リバロは壁にかけてあるロウソクを取り出し部屋の中を照らす。
中には、ベットの上でオッパイを採まれ突きつけられ何も抵抗できずになるがままに泣き叫びながら苦行そうな顔の女性と、その行為を楽しんでいる男性がいた。突然、女性が「ああっ、あああーっ」 切なく長く尾を引く高い声を叫びながら、脚は開かれ真っ直ぐに伸びて、腰が勝手にピクッピクッと小刻みに震えて絶頂を感じていた。



男は何もなかったかのように、女性から離れパンツ・ズボン・シャツの順に服を着て、Yシャツのボタンを下から順に締め出す頃に話しかけてきた。

「少佐、そろそろか」



リバロは右腕を胸の前に持ってき、お辞儀をした。
「はい、スットマンさま。船の出港、各国の来客者、12神獣・亥の紫郭我峰(しかくがほう)もお越しになられ、もろもの準備がととのいました。あとは挨拶回りを済まして、出港するだけです」



スットマンは報告を聞き「そうか」と答えると、上着のジャケットを羽織りフックなどを締め、木の箱の上に置かれていた。ブレスレットを両腕にはめて、禍々しいブローチを付けた。



「全く征政権もわからんな、なんであんな野蛮な遊牧民族みたいな組織のリーダーを12神獣にするんだ」



薄暗い小部屋を出て行き、その後をリバロが付いて行く、その後扉は締められ木の板で、また元通りに塞がれた。



ブレナス城の王宮の外広場は、レプロパンの港広場公園と一緒になっており、多くの船を国総出で持て成すようになる作りになっておることで、世界的に有名な都市名物である。


そんな場所もあって、征政権のコルマト島への出港や多くの外国の人が来ていることもあり外広場に、王都の住人や他の街・近隣諸国からも人がたくさん来ている。外広場の人口密度は開発計画時の予定の定員量を突破、上から見ていると物置小屋のゴミ屋敷のように足の踏み馬もない。また人々の細々とした動きが、海面に大量発生した赤潮がうねっているように見え、船酔いな気分を味わう。そんな人々を監視している衛兵の中にもやせ我慢して立っているが、顔が青ざめているのがわかる。


わー、わー、と外が叫ぶ中を何も感じずにすました顔で、スットマンは歩いているところに、伝令が伝えに来た。


「報告します。12神獣紫郭我峰さま客間へのご案内完了しました」


「わかりました。ではそちらに向かいます。王へもこのことを連絡を」


その途端、城内で軽い爆発音。大きな揺れも無く、広場の人間は誰も気づいていない。


「何事です」


駆けつけてきた兵が、伝えた。
「報告します。先日ハニルで襲撃してきた4人組が、また襲撃してきました」


「なんですって、またあの連中ですか!これも取り逃がしたせいで・・・」


スットマンは、怒りを露わにした顔を出し、強ばっていたが、深呼吸をしだして、冷静をとりもどした。その間にもリバロは姿を消して、現場へと向かった。


「リバロ少佐・・・」

「リバロ少佐は先ほど、向かわれました」

「なら早く、暗騎を出しなさい。客人や王には大事無いと伝えろ。もしこんなことがあれば、この国が終わってしまう。それよりも私のメンツがない!」と言い、スットマンは大急ぎで屋外デッキに走った。


屋外デッキにたどり着くと、スットマンが吠えた。するとデッキの中央に人影が現れた。

「ジェス、貴様にまた仕事だ。今度こそ排除してこい!貴様には後がないと思え」とジェスの胸ぐらを掴み捲くし立てた。

だがジェスには、なんの焦りもなくスットマンに言った。
「相当焦っているようだな・・・まぁいい。ボクもヤツに怨みがあるでね」

と言って姿を消して去っていった。







 
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