鋼の錬金術師 貴方を守りたい――12人の巫女と1人の神――
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エド「……ここは…?」
眼を開けると、真っ暗くなんとなく広い空間だと分かる場所にいた。
???「父さん!」
エド「ッ?!」
目の前から、スピルメイズに行く前に出会ったあのアルトがこっちに向かって走ってくる。
エド「アルト、なんでここに?!」
アルト「…………」
エドはこっちに向かって走ってくるアルトに向かって言ったつもりなのだが、聞こえなかったのだろうか……?
なにも変わらずにこっちに向かって走ってくるアルト。
そして、どんどん近づいて来てぶつかる!!と思いからだを丸くしたその時!
『スッ』
アルトがエドの体を通り抜けて行った。
すれ違いざまに、アルトが走っていく方向を見てみると微かに明りのようなものが見えた……。
ここからアルトが見た壊れた過去の物語をエドは見ることになる――
~アルトside~
「ハァハァ……」
今日は掃除当番だったから、返るのがいつもより遅くなっちゃったなぁ~。
父さん怒ってないかなぁ~?
とか思いつつ急いで家に帰る私。
***
『ガチャ』
アルト「だだいまァ!!」
???「お帰り、アルト。」
急いで扉を開けると、サラ―リマンメガネをかけた男の人が新聞を読みながら私に声をかけた。
アルト「だだいま、父さん♪」
そう、この人が私のお父さん……。たった一人の家族。
アルト「ちょっと、待っててね。すぐにごはん作っちゃうから♪」
父「いつもすまないねぇ~。」
アルト「おとっつさん、それは言わない約束だろ。」
アルト&父「ぷっ、ははははは…♪」
これはいつもやっているネタ。
いつも、料理が一つも作れない父さんの代わりに私が料理を作っている。
あ、今お母さんは?と思う人は沢山いると思う。
実は、私の家にはお母さんと言う人は何処にもいんです。
物心ついた頃には、もう何処にも……。
私にはお母さんとの記憶も無いし、お母さんの暖かさんてよく分かんないけど、父さんが居て来れば私はそれでいい。
別に、お母さんなんていらない。そう思って居ます……。
父「アルトどうしたぁ~?手が止まっているぞ?」
料理を作っていた手が急に止まったから、お父さんがキッチンまで入って来た。
アルト「え?あ、なんでも無いなんでもないよ!
それより、私が料理してるときは、キッチンに入ってこないでっていつも言ってるでしょ!!!」
父「ああ、ごめんごめん。」
そういうと父さんは頭を書きながら、リビングに戻って行った。
アルト「はぁ~、くだらないこと考えてないでさっさとごはん作っちゃおっと……」
また、手を動かして私は料理を作り始めた。
***
やっと、料理をすべてつくり終わり父さんのいるリビングへと料理を運ぶ。
アルト「父さーん、料理できた…よ?」
リビングに入ると父さんがいつになく真剣な顔で、受話器をもって誰かと話していた。
父「そうですか……。私の方も……はい、そうですね。
…アリサは一体どこに……?」
……アリサ?
途切れ途切れに聞こえてくる父さんと誰かの会話に、知らない女の人の名前が出てきた。
誰……?アリサって誰だよ……父さん……。
その名を聞いた時、私の中に何か黒い物が入って来たことを、私は感じた………。
~夢~
ガキ大将「なぁーなんでお前には母ちゃんが居ないんだよー?」
アルト「知らない……私には……生まれた時からいないんだ!!」
強気な女の子「えー?そんなのおかしいわ。
私の妹はお母さんから生まれてきたもの。」
弱気な男の子「そ、そうだ!
ボクのママも言ってたぞ!!」
知らない……私は何も知らない!!
『タタタタタタタタタッ』
子供達「あ、待てぇーーーー!!!」
アルト「ウッ…グス……ウウ……」
私はただ、泣きながら走った。
どうして?みんなにはお母さんが居るのにどうして?私には居ないの?
なんで、居ないの?
なんで私がこんな寂しい思いをしないといけないの!!
胸の中で感じる、怒りと悲しみを抱えながらただひたすら走り続けた……。
『ガチャ』
アルト「ただいま……。」
父「ん?ああ、お帰りアルト。
ご飯はそこに置いてあるから、好きな時に食べなさい。」
アルト「うん……。」
『ガサガサ』
何故かお父さんが何処かに出かける身支度をしている。
また、何処か遠くに行っちゃうのかな?
私をこんな場所において一人何処かに行っちゃうのかな?
そんな疑問を抱えながらも私はお父さんにいつ帰ってくるのかを聞いた。
アルト「何時、帰ってくるの?」
父「う~ん。出来るだけ早く帰ってこようと思ってはいるが、何時になるかは分からないな……。
すまない、アルト。いつも寂しい思いをさせてしまって……。」
そういいながらお父さんは私の頭をなでる。
アルト「そんな事ないよ。
私はお父さんが居るだけでいいんだから。」
これは嘘。
本当はずっと傍にいてほしいし、意味の分からない調べ物は止めて私を見てほしい……。
でも、そんなことを言ったらまたお父さんを困らせてしまう。
だから、言えない。
父「じゃあ、そろそろ行ってくるな。
お利口さんに待ってるんだよ。」
アルト「うん、分かってるよ!
いってらっしゃい、お父さん……『ガチャ』
今日も笑顔でお父さんを見送る……。
本当の顔と気持は嘘の仮面で隠して――
~夢~終わり+
小鳥「ピヨ?ピヨヨヨヨォ~」
アルト「ふぁ~。もうあさぁ~?」
今日も流れる、何も変わらい、毎日同じ時間――
アルト「よしっ!着替え終わった。
次は父さんを起こしに行かなくちゃ!」
父さんは世界的に有名な錬丹術の研究者って有名らしいけど、実際には料理も出来ない朝は私が起こさないと起きないというぐーたらおじさん。
私が学校に行っている間は部屋にとじこって何かやってる父さんがそんなに凄い研究者なんて思えないなぁ~・・・。
とか考えながら、自分の部屋がある2階からお父さんが寝ている1階へと階段を下りていた。
そして、私の運命が変わったあの扉を開く――
『ガチャッ』
アルト「お父さーん………?」
男「ん?」
父さんの部屋に行っても父さんが居なかったため、自分で起きてリビングに行ったかなと思ってリビングへのドアを開けると警察の人のような制服を着て、頭は坊主の黒い肌をした男の人がソファーに座ってコーヒーを飲んでいた。
アルト「え?え?あの、だr」
父「アルト!今起きたのか?」
アルト「父さん!!」
男の人が誰なのかを聞こうとしたら、父さんが地下から大量の紙を持って出てきた。
その紙には一枚一枚に、びっしり細かく文字が書いてあった。
何語で書かれているのかは分からないけど・・・。
男「リンクさん、この子は?」
父「ああ、すいませんオルマンさん。
この子は私の娘で、アルトです。」
父さんは男の人を「オルマン」と呼び、私の紹介をした。
誰?この人を誰なんだろう………なんで家に居るんだろう?
男「そうでしたか。はじめまして、私は君のお母さんの事件を調べているオルマンと言います。」
アルト「お母さん……? 事件……?」
父「オルマンさん!」
男「えっ?あっ!!」
オルマンさんはしまった!といった感じの顔をしている。
そして、何故か父さんも………
アルト「父さん……事件って………」
父「アルト!いいから、部屋を出なさい!」
アルト「……でも……」
父「いいからっ!!」
アルト「うん……。」
『ガチャ』
父さんのいままで一度も見たことが無い凄く怖い顔に負けて私は部屋を出た。
ねぇ、父さん……なんで教えてくれないの?
なんで教えてくれ無かったの?
なんで………
お父さん――
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