ヘタリア大帝国
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10部分:TURN1 殿軍その十
TURN1 殿軍その十
「私にも事情がありましてね」
「樋口提督、まさか」
「はい、私は今から中帝国の軍人になります」
こう言うのだった。
「そういうことでお願いしますね」
「くっ、貴様・・・・・・」
「よし、同志達よ撃つのだ」
樋口はさらに言う。見れば彼の攻撃に合わせてだ。
中帝国軍の艦隊が一気に前に出てだ。日本帝国軍、後方から指揮官を撃たれ動きを止めた彼等に照準を合わせてきた。そうしてだった。
第一、第二艦隊、それに指揮官の突然の裏切りに唖然となっている第三艦隊の殆どの艦艇に攻撃を浴びせてきた。それを受けてだ。
日本軍は忽ちのうちに総崩れとなった。戦局は一変した。
日本軍の艦艇は敵のビームで次々に吹き飛ばされ炎となりだ。銀河に消えていく。彼等は最早攻撃する余裕もなかった。
周りが次々と炎と変わる中でだ。日本は言った。
「まさかとは思いましたが」
「おい祖国無事か!」
ここで田中がモニターに出て来た。
「生きてるなら返事をしやがれ!」
「はい、私は大丈夫です」
「よし、生きてるなら何よりだ」
「ですが今は」
「はい。第一艦隊は壊滅しました」
「司令の旗艦は撃沈されたよ」
小澤と南雲も出て来た。二人も無事だった。
「第二、第三艦隊もかなりのダメージを受けています」
「三割はやられてるね」
「全滅ですね」
三割の損害と聞いて言う日本だった。軍の損害ではそうなるものだった。
「それに対して敵艦隊は今ではです」
「はい、流れは完全に向こうのものになりました」
「今度はミサイルが来るよ」
「この状態で攻撃をさらに受ければ」
どうなるのか。日本にもわかった。
「我が軍は完全に終わりです」
「糞っ、全軍集結させてな!」
それでだとだ。田中は激昂しながら主張した。
「反撃だ!やってやれ!」
「いえ、それはもう無理です」
小澤は無表情でその田中を止める。
「流れは向こうにありますし我が軍の損害もかなりのものです」
「しかも司令の生死が不明だよ。まあ死んだだろうけれどね」
「指揮官もいません。これではです」
「反撃どころじゃないよ」
南雲も入って来て田中を止める。そしてだった。
日本もだ。難しい顔で艦橋から指示を出した。
「仕方ありません。まずは後ろに引きましょう」
このままでは攻撃をさらに受けて総崩れになる。そう判断してのことだった。
「そのうえで軍を再編成させてです」
「それからですね」
「どうするかだね」
「今残っている戦力は」
三個艦隊合わせてだった。
「半分程度ですね」
「第一艦隊の損害が洒落になってないね」
南雲は第一艦隊の惨状を見て苦い顔で日本に言った。
「しかも残っている艦艇もどれも大なり小なりダメージを受けてるしね」
「私達の艦艇もです」
小澤もここで言う。
「攻撃を受けています」
「無事なのは私の艦だけですか」
日本も戦局を見た。見ればそうなっていた。
無事な艦は日本の乗艦である日本だけだ。それを見てだ。
日本は敗戦を悟った。しかしここでだ。
艦橋のモニターに東郷が出て来た。そうして日本達に言うのだった。
「もうこれ以上の戦闘は無理だな」
「東郷さん、ではここは」
「ああ、全軍撤退だ」
東郷はそれを主張したのだ。
「祖国さんは動ける艦を全部まとめて軍を後ろに下がらせてくれ」
「では東郷さんは」
「今無事なのは第四艦隊だけだ。だからな」
「それではですか」
「後詰は引き受ける。後は任せてくれ」
「いいのですか?相手は五倍ですよ」
どれだけ質で勝っていてもだ。五倍の戦力が相手ならばだというのだ。
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