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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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一発ネタ

 
前書き
一発ネタです。
 

 





 あの第二次宇宙大戦が終結してから十八年になる統一宇宙歴957年、日本星域の日本は重大な局面を迎えていた。

移動性(カスケード)ブラックホールが日本に近付いているだと?」

「はい、科学者達からの確信的な情報です」

 まだまだ現役である(勿論夜の方でも)日本帝国の海軍長官として教師から軍人に戻った東郷元帥に、女房役の参謀長である秋山中将が報告をする。

「カスケードブラックホールが日本に来るのは約三年後になります」

「……本当なのか?」

「……………」

 秋山は無言だった。

「……分かった、直ぐに帝に報告しよう(俺を復帰させたのはこのためだったのか……)」

 東郷長官はそう言った。

 そして御前会議が行われ、科学者達による会議も平行して行われた。

 惑星を動かす事やカスケードブラックホール自体を消滅させる事を考えたが、今の科学力では到底不可能であった。

 あのレーティア・アドルフでさえも匙を投げたのである。

 そして帝は遂に日本人の移住を決定した。

 場所は人類が日本以外に最初に到達した惑星出雲とその月である。

 海軍は急いで移民するための移民船の建造をさせた。

 COREの反乱から立ち直っていたガメリカ合衆国、ドクツ第三帝国からによる移民船の提供もあって建造は順調に進んでいた。

 それに対して、カスケードブラックホールも徐々に日本へと向かっていた。

 そして統一宇宙歴960年、第一次移民船団は日本海軍の艦隊に守られながら出航した。

 移民船の数は凡そ六千隻である。

 惑星出雲までの航路は半分までは順調だった。

 しかし、出雲まで後半分とした時、第一次移民船団は謎の艦隊の襲撃にあった。

「正体不明艦隊の数は凡そ九百隻ですッ!!」

「きゅ、九百隻だとッ!!」

 オペレーターの報告を聞いた砲術長は思わず叫んだ。

「更に敵艦隊は増えていますッ!!」

「小林司令長官ッ!! これは待ち伏せですッ!!」

 砲術長が叫ぶ。

「うむ、正体不明艦隊は敵と認識せよッ!!」

 その時、敵艦隊から大量のビーム弾が第一次移民船団を襲う。

「神条撃てッ!! 撃って撃って撃ちまくれェッ!!」

 小林司令長官が叫ぶ。

「野郎、ふざけやがって……食らえッ!!」

 第一次移民船団を護衛する日本海軍の精鋭第二艦隊は一斉に反撃を開始する。

 しかし、いくら第二艦隊が精鋭であろうと人海戦術で攻めてくる敵艦隊に第二艦隊は次々とやられていったのである。

「急速離脱するよッ!!ワープッ!!」

 ある一隻の戦艦を指揮している女性が叫んだと同時に艦橋にビーム弾が着弾した。

「狹霧司令官ッ!!」

 副長の叫びと共に、狹霧と呼ばれた女性は閃光に包まれた。





「第一次移民船団が壊滅しただとッ!?」

 海軍省にいた東郷長官は思わず叫んだ。

「はい……」

「……圭子さんとも連絡が着かないのか?」

「……残念ながら……」

「……狹霧達にどう説明したらいいんだ」

 東郷長官は椅子に深く座り込んだ。

「長官、移民船団は他星域にすべきでは? 既に第二次移民船団が出航しています」

「駄目だ、これは帝の意向だ。他星域への移民は最終的だ。それと第二次移民船団には第三艦隊の他にも第四艦隊、第五艦隊を護衛につけろ」

 東郷長官は秋山参謀長にそう言った。

「ところで狹霧はそろそろ戻ってくるはずだな?」

「はい」



「……久しぶりの日本や」

 呉基地に到着した艦隊から一人の司令長官が降りてきた。

「やぁ狹霧。俺が海軍長官に復帰したせいで移動させてしまったな」

「いえいえ、楽しい三年間でしたよ」

「兎も角辺境艦隊司令官の三年間の任務は御苦労だった」

 東郷長官は挨拶をそこまでにして狹霧に三年間に何が起きたかを話した。

「……カスケードブラックホールですか……(復活篇やん……)」

「あぁ、無くなるのだよ。この日本が、俺達が守り抜いてきた日本が……」

 東郷長官は夕日に包まれた街並みを見ている。

「そのために狹霧、お前が必要なんだ」

「東郷長官、買い被り過ぎですよ。自分は家族達を養うためにまだ軍にいるだけです」

「……お前は必要なんだよ狹霧。お前なら必ず移民船団司令長官をすると言って圭子さんは第一次移民船団に乗り込んだ」

「ッ!?」

 東郷長官の言葉に狹霧は驚いた。

「お、桜花は……それを知っているのですか?」




「ただいま」

「……何で帰ってきたの」

 三年ぶりに雪風を出迎えたのは雪風を父とは認めない子ども達だった。

「てめぇが……てめぇが辺境艦隊司令官なんかするから圭子母さんが死んだんだぞッ!!」

「止めろ飛龍ッ!!」

 狹霧を殴ったラスシャラとの子ども――飛龍を母親であるラスシャラが止める。

「止めるな母さんッ!! こいつのせいで桜花は……」

「……圭子母さんは生きているッ!! 俺が探しだしてやるッ!!」

 口から出た血を拭いた狹霧は子ども達にそう言った。




 そして雪風は決断した。

「東郷長官、第三次移民船団司令長官の任務、やらして下さい」

「……お前なら引き受けると思ったよ。ちなみに俺は第四次移民船団を直接率いる」

 狹霧の言葉に東郷長官は笑う。

「船は用意してある。宇宙戦艦三笠だ」

「三笠……ですか」

 狹霧の前に現れたのは狹霧と共に人類の滅亡を防ぐために宇宙を駆けた戦艦だった。

「実は十年前にある艦艇が難破していたのを鹵獲した。それのエンジンはお前もよく知っているはずだ」

「……まさかそれって……」

「そうだ。波動エンジンだ」




「また副官をやらしてもらいますよ長官殿」

「頼りにしてるでシャルロット」

 妻の参謀長復帰に思わず狹霧は微笑んだ。

「諸君ッ!! 俺が宇宙戦艦生駒艦長兼第三次移民船団司令長官の狹霧雪風だッ!!」

「カッコいいぞユキカゼッ!!」

 狹霧の妻の一人であるキャシーが囃し立てる。

 そして第三次移民船団が出航する。




「第一次移民船団と第二次移民船団はこのサーチネットに引っ掛かった」

「長官殿、移民船をフライバイさせましょう」

 シャルロットは雪風にそう言った。




 そして現れる謎の敵艦隊。

「何と言う大胆不敵なワープだ……」

「感心している場合では……」

「それもそうだな……全艦突撃ッ!!」

 迫りくる敵艦隊。

「主砲撃ち方初めェッ!!」

 交差するビーム弾、ミサイル、鉄鋼魚雷。

「日本の滅亡無くして我が連合の繁栄は無いッ!!」

 敵将は集まった諸将達にそう断言する。





 敵についていた一人の敵将は決断した。

「豚と交わり、豚に成り下がった己に気付いたのだよ……」

「……その言葉、覚えておこう」




「……圭子……」

 雪風はボロボロになった狹霧圭子の名前が書かれた将官帽子を見ていた。

「……必ず見つけてやるからな」




 そして雪風は決断する。

「我々は非道なるSUSに対して宣戦を布告するッ!!」

『ウワアァァァーーーッ!!』

 雪風の叫びに乗組員達は歓声を上げた。




 始まるのは猛烈なる艦隊決戦。

「撃ェッ!!」

「ハイパーニュートロンビーム発射用意」

 放たれるは大型砲。

「凄いエネルギー砲ですよッ!!」

「波動砲発射用意やッ!!」

 トリガーを持つのは雪風。

「発射用意完了ッ!!」

「波動砲発射ァッ!!」

 幾つもの波動エネルギー弾が全長三キロの要塞を貫いた。




 別れの時。

「儂は残る」

「宇垣長官……」

「儂はな東郷、この日本を見届けたいのだよ」

 老兵は笑う。




 縮まった親子の距離。

「圭子母さんは生きている」

「お父さん……」




 迫りくるカスケードブラックホール。

『この時を待っていた』

「メッツラーッ!!」




 雪風の決断。

「生き残るのは三笠やないッ!! 日本やッ!!」




 トリガーを持つ雪風。

「この一撃にかけるッ!! 波動砲発射ァッ!!」

 波動砲がカスケードブラックホールを貫いた。




 大帝国復活篇、此処に始まるのであった。




 嘘です(笑)。





 
 

 
後書き
一応これで大帝国の小説は完結です。
連合艦隊ルートがかなりの駆け足になったのは申し訳ありませんでした。m(__)m
最初はCOREルートで終わろうかなと思いましたが、取りあえず読者の皆さんに聞いてみようかと思い、聞いたら連合艦隊ルートを希望という事で急遽作りました。
一発ネタは一発ネタです(笑)
それではまた次回作品でお会いしましょうノシ 
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