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雪なぞ降るのも

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第二章

 まず母がだ、純子に言った。
「警報出てるわよ」
「大雪警報?」
「それでバスも電車もストップしててね」
「大阪なのね」
「大阪でもよ」
 今はというのだ。
「これだけ降ってるからね」
「バスも電車もなの」
「動いてないわよ」
「そうなの」
「父さんはもうすぐ会社に行くけれどな」
 それでもと言うのだった。
「歩いて行くな」
「そうするの」
「幸い家から会社近いから」
 父の勤務先はというのだ。
「行って来るな」
「お母さんもパートに行くけれど」
 母は近所のコンビニに出ているのだ。
「それでもね」
「歩いてなのね」
「こんなのじゃ自転車なんて無理でしょ」
 普段の様にというのだ。
「歩いて行くわ」
「そうなのね」
「それであんた達は警報出てるから学校はね」 
 それこそというのだ。
「休校でしょ」
「私もう休むから」
 まずは大学生の姉が言った。
「これじゃあね」
「自主休講なの」
「そうするわ、バスも止まってるし学校も遠いし」
 それならというのだ。
「もう今日はお家で寝てるわ」
「そうなのね」
「私も多分」
 次は妹が母に言った。
「学校休みになるから」
「警報出たらね」
「そう決まってるから」
 学校で、というのだ。
「もう御飯食べたらお部屋に戻るわ」
「そうするのね」
「私も。バスや電車が止まってるならそもそも行けないから」 
 最後に純子が母に答えた。
「もうね」
「休校とかに関わらずなのね」
「休むわ」
 憮然とした顔での言葉だった。
「そうするわ」
「休む理由があるのに機嫌悪そうね」
「だって大雪だから」
 嫌いなそれだからというのだ。
「だからよ」
「あんた昔から雪嫌いよね」
「だって寒いから」
「お部屋の中は暖かいでしょ」
「それでもよ、けれど今日はね」
 もう外に出ることも出来ないからだというのだ。
「仕方ないわ」
「それじゃああんたも休むのね」
「もう適当に何かして時間を過ごすわ、和菓子食べるし」
 大好物のそれのことは不機嫌さを紛らわせる為に出した。
「お茶も飲もうかしら」
「そうしていなさい、嫌でもね」
 例え大雪が嫌いでもというのだ。
「仕方ないでしょ」
「降ったらね」
「お家の中にいてね」
 学校が休みになっているならというのだ、それ以前にバスや電車がストップしているので行くことも難しい。
「そうして和菓子を食べて」
「お茶を飲んで」
「本を読んだりしていなさい」
「そうするわね、ゲームもしようかしら」
 不機嫌なまま言ってだった、そのうえで。
 純子は家にある饅頭や羊羹を出してお茶も煎れた、そうしたものを曾祖母や祖母と一緒に食べてゲームもしてだった。
 本も読んだ、だが窓を見ると雪が降り続けていて思わずぼやいた。
「大阪でこんな雪って」
「私もはじめてよ」
「私もよ」
 姉と妹がその純子に答えてきた。 
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