便利屋
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第二章
「やっぱりな」
「俺が元々はタクシーの運転手で」
「しかもジープがあるんだ」
この二つの要素が共にあるからだというのだ。
「それならだ」
「俺はこれが仕事ですか」
「そうだ、ジープを運転することがな」
まさにそれがというのだ。
「主な仕事になるんだ」
「そういうことですか」
「しかも俺達は補給部隊だ」
前線で戦う部隊ではないというのだ。
「それなら余計にだ」
「ジープを運転してですか」
「色々やるのが仕事になる、俺もだ」
かく言うハーディングもというのだ。
「結構ジープに乗って運転もしてるだろ」
「はい、確かに」
「もうジープがあるとな」
それこそというのだ。
「ちょっとした距離でもすぐに行けるからな」
「だからですね」
「この上なく便利だからな」
それ故にというのだ。
「使うんだよ」
「誰もがですね」
「人の送り迎えもパトロールもちょっとしたものを運ぶのも連絡に行くのもだ」
そうしたあらゆることに対してというのだ。
「歩いたり馬で行くよりずっと便利だろ」
「もううちの軍隊馬ないですしね」
実は最近までいたが今は完全にジープにとって変わられているのだ。騎兵隊も戦車や装甲車からなる機械化部隊になっている。
「実際ジープの方が速いですし」
「しかも頑丈だ」
馬よりもだ。
「馬はあれで案外繊細だしな」
「性格もそうで」
「荒地とか行きにくい」
「ジープは多少以上の荒地でも平気ですし」
「だから皆使うんだ、じゃあいいな」
「はい、パトロール行って来ます」
「そうしろ、ドーバー一等兵と一緒に行け」
若い兵士も連れてと言ってだ、ハーディングはマッキントッシュを送り出した。マッキントッシュはそのドーバー一等兵を乗せて基地の中をジープで一周した。
その後で昼食のステーキを食いつつだ、共に食うハーディングとドーバーに言った。
「何かすぐでしたね」
「パトロールもだな」
「はい、ジープに乗っていたら」
こう言うのだった。
「本当にすぐでした」
「だからパトロールにもいいんだ」
ハーディングもステーキを食べつつマッキントッシュに話した。
「ジープはな」
「そうなんですね」
「変なものを見掛けたら報告や警戒にも行けるしな」
行くべきその場所にもというのだ。
「すぐにな」
「だからですね」
「いや、上等兵運転上手ですし」
まだ二十歳であり若々しい顔のドーバーも言ってきた、背は三人の中で最も高く顔立ちも映画俳優の様である。
「横にいて安心出来ます」
「事故を起こさないからか?」
「はい、本当に」
「御前も運転出来るだろ」
ジープをとだ、マッキントッシュはドーバーに問い返した。
「そうだろ」
「まあ一応は」
「あんなの覚えたらすぐに運転出来るからな」
そうしたものだからだというのだ。
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