レーヴァティン
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第二十六話 騎士その四
「幾ら何でも」
「そうですね」
「宗教は大事さ」
英雄もこう思う、彼もそれは薄いと自覚しているが宗教の重要性は認識していて信仰心も存在しているのだ。
「けれどやっていいことと悪いことがあってな」
「虐殺や謀略に至ると」
「それもうな」
「悪いことですね」
「やったらな」
「それでいいです、若し貴方が宗教を悪用するなら」
「この島を統一してもな」
久志もわかっていた、自分で。
「えらいことになるだろ」
「宗教による血の帳が支配しかねない」
「そんな島になるな」
「かつての欧州、もっと言えば」
「全体主義だよな」
「はい、全体主義は宗教がないか」
ソ連等は完全に否定していた、共産主義は開祖のマルクス自身が宗教を否定している唯物史観だからそうなったのだ。
「それは違います」
「思想自体がね」
「宗教だよな」
源三と正が言ってきた。
「全体主義だと」
「そうだよね」
「イデオロギーが絶対でな」
久志もまた言った。
「それに逆らうならな」
「粛清だね」
「ソ連とかそうだったな」
「ナチスもだったね」
「ナチズムが絶対だったな」
「はい、全体主義の宗教はイデオロギーです」
それだとだ、順一は三人に述べた。
「宗教を否定していても」
「絶対のものとしてあって」
「宗教なんだよな」
「神はいないですが」
宗教にあるそれはというのだ。
「しかしです」
「独裁者とかが神様になってね」
「同じになってたな」
「北朝鮮なんかそうだね」
「もう完全に生き神様だったな」
「そうなります、人は神を否定しても神を求めます」
矛盾している、だがそれもまた人の心なのだ。
「己の力だけを信じると言っても」
「そう言ってて日本の皇室も否定して北朝鮮の世襲の共産主義を認めてる奴いたな」
久志はここでそうした者のことを話した。
「あっちの国民が支持してるとかな」
「それは只のアホだな」
正は久志が今言った輩は一言で切り捨てた。
「支持してる筈ないだろ」
「どう考えてもな」
「支持、いや崇拝させられてるんだよ」
「あの国の人達はな」
「恐怖政治でな」
それも人類史上最悪と言っていいレベルでだ。
「そうさせられてるんだよ」
「一目瞭然だな」
「それに気付かない奴はアホだ」
正はまたこう言った。
「あと皇室を否定するならな」
「あそこの世襲の共産主義もな」
「否定しないと駄目だろ」
「実質王政だからな」
北朝鮮、この国はとだ。久志も言い切った。
「あそこは」
「しかも皇室と比べてな」
「もう無茶苦茶だからな」
「絶対王政でな」
それこそルイ十四世以上のだ、太陽王と呼ばせ七十五年も栄華を極めたこの王ですら及ばない状況があの国だ。
「将軍様一人の贅沢費が国家予算のかなりだろ」
「二割位らしいな」
「何だよそれ」
正は一言で否定した。
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