真田十勇士
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巻ノ百九 姉妹の絆その六
「何としても」
「そうじゃ、どうもな」
「だからですな」
「お主の知恵を借りたいが」
「それではです」
ここでだ、崇伝は家康にこう言った。
「大坂に寺社の普請をしてもらいますが」
「そこで金や銀を使ってもらうか」
「はい」
それが崇伝の知恵だった。
「茶々殿は信心の深い方なので」
「だからじゃな」
「これには絶対に乗られます」
「そしてじゃあな」
「そこに金や銀を使われますし」
しかもだった。
「そちらに力を注がれている分です」
「朝廷への働きかけもじゃな」
「それも出来ませぬ」
この効もあるというのだ。
「ですから」
「ここはか」
「そうしてもらいましょう」
金や銀を寺社の普請に使わせようというのだ。
「是非な」
「わかりました、それでは」
「そしてじゃな」
今度は家康から言ってきた。
「さらにあるな」
「金や銀を使いますので」
「いざという時にな」
「それがなければ」
「兵も集められず」
「兵糧も武具もです」
そういったものもというのだ。
「集まりませぬので」
「余計によいな」
「はい」
まさにというのだ。
「ですから」
「ここはそうするか」
「それでよいかと」
「ではその知恵使わせてもらおう」
「かつて太閤殿がされましたな」
「鳥取でのことか」
「はい、敵の兵糧を買い占める」
実際に秀吉が鳥取でしたことだ。
「そうしてです」
「敵の兵糧をなくしたな」
「あの様にです」
「我等もだな」
「大坂の金や銀をなくさせ」
そうしてというのだ。
「茶々殿のそうした行いを止め」
「戦の危険もな」
「なくしていきましょう」
こう家康に言うのだった。
「是非」
「よいことじゃ、そして我等はな」
幕府としてはとだ、家康は自分達のことも話した。
「このままじゃな」
「佐渡等の金山からも貿易からも」
「富を得るか」
「銀や金を」
「そうするか」
「はい、それとですが」
ここで崇伝は表情を変えた、暗いものにさせそのうえで家康にあらたまって話をしてきた。
「虚無僧や拙僧の宗派の僧達の話を聞きましたが」
「大久保家の領地でか」
「あの者達の影があったとか」
「左様か」
「はい、姿は見なかったとのことですが」
それでもというのだ。
「影はです」
「あったか」
「見た者がおります」
「そうか」
「拙僧も最初はです」
崇伝は怪訝な顔になり家康に述べた。
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