レーヴァティン
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第二十五話 最後の修行その十三
「奥さんがいるとな」
「そして家があるとか」
「休めるからな、俺の仲間達もな」
「結婚を考えているか」
「俺達を見てな」
そしてというのだ。
「そうしてるぜ」
「そして俺もか」
「まあ前向きに考えなよ、あとそっちの島でもそうした病気はあるだろ」
「鼻が落ちている奴もいる」
即ち梅毒に侵された者がというのだ。
「術でどうにかなるがな」86
「あの病気には気をつけないとな」
「には、ではなくにも、だがな」
「他の病気もか」
「注意しないと駄目だな」
「下手をすればだ」
英雄はこちらの世界のことから述べた。
「死ぬ」
「だよな、エイズとかな」
「梅毒もだ」
「ああ、無y菓子は死んでたしな」
「加藤清正公もそうだった」
豊臣秀吉の家臣であり戦国期の有名な武将だった、戦は強かったがその清正でもだったのだ。
「この病気には負けた」
「そういえばあの人もか」
「梅毒で死んだ」
「そうだったよな」
「だからな」
「ならないに限るか」
「死ななくとも厄介な病気だ」
梅毒だのそうした病気はというのだ。
「あちらの世界でもな」
「治ってもな」
「身体に瘡蓋が出来る」
これがかつての名前である瘡毒の語源である。
「淋病もだ」
「すげえ痛いんだったな」
「そうなるからな」
「罹らないことだな」
「最初からな」
「そういうことだ、しかし俺もだ」
「奥さん欲しくなったか」
久志は笑って英雄に返した。
「御前も」
「そうだ、御前が迎えられたからな」
「おい、俺もか」
「出来ると思ってた」
「それはわからないだろ」
結婚はとだ、久志はむっとした顔になって返した。
「どんな屑でも結婚出来る時は出来るからな」
「縁か」
「ああ、屑でも結婚するけれどな」
しかしというのだ。
「凄くいい人でも出来ない」
「本当に縁だな」
「だから御前もな」
「縁か」
「そうだよ、縁だよ」
それで結婚出来るものだとだ、久志は英雄に話した。
「御前も縁があったらな」
「結婚か」
「しろよ、いいな」
「わかった、ではな」
「縁があったらな、しかしな」
「御前でもと、というのはか」
「訂正しろよ、縁だからな」
それで結婚出来たというのだ。
「俺だってな」
「御前みたいないい加減な奴だと思ったが」
「だからいい加減でも何でもだよ」
「結婚は縁か」
「そうだよ、わかったな」
「わかったと答えておこう」
「そうしろよ、縁だからな」
久志はこのことを強く言った、そしてまた夜にはあちらの世界に行くのだった。夢幻の中にあるその世界に。
第二十五話 完
2017・7・11
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