俺のペットはアホガール
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『アホの子達が一か所に集まると…』1-5
「ぱ、ぱぱぱんつよーーど、どどどうしましょう!! あ、ああ足田さんんんっ///」
「何やっているんだろ…あの人は……」
遠く。そこまで遠くではないかなってくらいの距離、目の前にある坂を真っ直ぐ下った先にある住宅街の電信柱の後ろで顔真っ赤にして叫んでいる会長の姿がありました……声デカすぎです会長。近所迷惑ですよ?
その隣にいるのは足田っちですね。離れているから声は聞こえないけど、なんか会長と楽しくキャッキャッやっているのは分かります。楽しそうですねー、本当に。
「あれは……高浜さん? あんなところで何してるんだろう?」
「さぁ? なんでしょうね~クスクス」
この笑い方……。この人絶対分かったうえで見てるよ……。全部理解してるうで楽しんでるよ……。趣味悪っ!
変な会長もそうですが、変な飯野先輩もほっといて行きましょう、しーさん。変な人に絡んで変なことに巻き込まれるのはもうこりごりですっ。
二十話みたいなことはもう絶対に嫌ですからねっ!! 頑固拒否します!
って訴えていたのに……心の中で。
「ピンポーン………って鳴らせばいいのよね?」
そーですよ。ってかなんで玄関前でそんなに悩むことがあるんですか会長、と言いたくなったけど我慢我慢。
自分としては一刻も早くしーさんをアホから離れた安全で健全な場所に避難させたかったのに、アホはしーさんと自分を放してくれませんでした。
飯野先輩が「せっかくだから~終(おわり)さんの家へ遊びにいきません?」って言いだしまして、何故かしーさんも「終殿の家……行ってみたい」ってのりきだったし……途中で会長回収しちゃうし、アパートの玄関前で立ち往生してるし、なんなんですかもうっ!!
足田っちは陰ながら応援してまっすって言い残してどっか行っちゃうしもぉー!!
「さっさと鳴らしてください会長。何をそんなに躊躇しているんですかっ」
もうかれこれ10分くらい人の家の玄関前で立ち往生してますよ、この人。
どんだけチャイム鳴らすの恥ずかしいんですかっ。ただポチっと押すだけでしょう!? もう代わりに押してあげようかな…。
ガチャリ
「は?」
「「えっ?」」
まだ鳴らしていないのに鍵の開く音が……中からではなく外から……それも他の階とか隣近所とかじゃなくてすごく近く、なんなら手元らへんにあるところから……
「って、何やってるんですか飯野先輩っ!!?」
「なにって~鍵開けただけですけど~?」
悪びれることもなく平然と言ってるよこの人…怖っ。
飯野先輩の手にはその道のプロが使うような道具……ではなく女の子の必需品ヘアピンが握りしめていました。
え? それで開けたんですかっと思ったのが口に出てしまっていたのかな、飯野先輩は
「これは僕にとっても必需品だからね~」
と教えてくれました。妙に手馴れてる感あるのは、常習犯だからか……うん、警察に通報しよう。
通報しようと思ったけど、相手は飯野先輩。その後の仕返しが怖いので止めました。しーさんにまで危険が及んだりしたら元も子もないので。
「勝手に鍵を開けたりして…大丈夫?」
そーですよ! さすがはしーさんです! 常識人の鏡です。言ってやってくださいっこの犯罪者にっ!!
「大丈夫ですよ、僕と終さんの仲ですから~」
いやっ勝手に家の鍵開けて入って来る仲ってどんな仲ですかっ!?
しーさんとだってそんなことしませんよっ! しようとだって思いませんよ、普通っ!
「そっか。なら大丈夫だ」
「しーさん!?」
まさかの納得しちゃった!? 人を疑う事を知らない純粋でいい人なのはしーさんの良い所であり、悪い所でもあるよっ。
「………」
さっきからずっと黙り込んで考え事をしている会長。
そうだった。まだ常識人代表この人もいたんだった。最籐先輩が絡むと、変なスイッチが入っておかしなことになるからすっかり忘れてたけど、一応この人生徒会長だったっ。
さあ、会長! この準犯罪者に一言、言ってやってくださいっ!! という自分の願いが通じたのか会長はこちらを見てうんっと力強くうなづいてくれました。
やっぱりあなたは…
「最籐のお部屋へ突撃訪問して驚かせちゃいましょう!!」
「(あはっ面白くなってきた♪)お~頑張りましょう~」
「(終殿の部屋…ワクワクドキドキ)驚いた顔も見てみたいかも」
最籐先輩が絡むとダメダメですね……。
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