DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)
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第一話:呪われし者達は道化師を探して面倒な連中と出会う
前書き
さあさあ始まりました、新たなるリュカ伝。
リュカさん不在でもウルフがカバーする……かな?
(トラペッタ地方)
トロデSIDE
ワシの国を壊滅させ、ワシと娘のミーティアに忌々しい呪いをかけたドルマゲスを探し求めて数日。
このトラペッタ地方にある町“トラペッタ”には、件の道化師ドルマゲスに魔法を指導したマスター・ライラスが居ると聞きつけ、瞬く間に大人数になった旅の友等と一緒に向かっている。
当初はワシとミーティア姫と近衛隊長のアハトの3人で壊滅したトロデーン城を出立したのだが、此処に来るまでの間に一気に7人へと膨れ上がった。
簡単に旅に付いてくる事になった一行を紹介しよう。
先ずは、見るからに野蛮そうな男……ヤンガス。
コイツは何を考えてたのか、最初はワシ等から金品・食べ物を奪おうとして目の前に現れたのだ。
トロデーン王国からトラペッタ地方へ行く為の吊り橋で現れた。
本人が言うには、本当は山賊稼業から足を洗ったのだが、気質の生き方を知らなかったコイツは直ぐに貧乏のドン底に落ち込んでしまい、背に腹は変えられずに山賊稼業に再度手を染めてしまったそうだ。
だがしかし、再開一発目の相手がワシ等で、しかも空腹の為まともに武器(斧)も構えられなかったコイツの事を無視して吊り橋を通ろうとしたため、焦ったヤンガスが手持ちの斧を振り回しワシ等を止めようとしたのだ。
でもアハトが上手く意識を逸らさせ、その隙に吊り橋を渡り終わったワシ等は、楽しそうにヤンガスから逃げてくるアハトをトラペッタ地方側から待っていたら、パニクったヤンガスの振り回す斧が吊り橋を支えてるロープを切ってしまい、谷底へと落ちそうになった。
アハトはこちらに逃げようとしてたので、何とか橋の残骸へぶら下がり難を逃れたのだが、橋切断の中心地に居たヤンガスは風前の灯火となったのだ。
ワシは山賊なんぞ助ける必要は無いと思ったのだが、基本的に善人なアハトはワシとは違う考えで、ワザワザ吊り橋の残骸を降りて行き、谷底へ落下直前だったヤンガスの手を掴んで助けようとしたのだ。
一生懸命ヤンガスと共にワシ等の下へ這い上がってると、残されてた吊り橋までもが崩壊し始めた。ワシは大声でアハトに山賊は見捨てて急いで昇れと言ったのだが、諦めないアハトは登り切る直前まで這い上がった。
しかし次の瞬間……
後一歩の所でアハト等と一緒に吊り橋の残骸が谷底へと落下。
ワシは思わず両目を覆ってしまったのだが、何者かの気配を感じて指の隙間から吊り橋の有った場所を覗いてみた。
するとそこには、見た事のない男女が3人……すんでの所でアハト(とヤンガス)を引き上げていた。
リーダー格の金髪青年が、黒髪で凜々しい感じの戦士風の男に指示を出しており、その男の服の裾を懸命に引っ張る黒髪の美少女が大惨事を回避させていた。
陸地に引き上げきると、傷だらけのアハト(とヤンガス)に金髪青年がベホマラーをかけて治療してくれた。
すると直接アハト(とヤンガス)を助けてくれた戦士風の男が、『一番の力仕事を私に押し付けて、全てが終わった所で『全部俺のお陰』とばかりに回復魔法ですか……良い身分ですねウルフ殿』と悪意の無い感じの顔で金髪青年を批判していた。
『良いんだよ、俺は天才だから。肉体労働は頭の回転が劣るお前等が担うんだ。適材適所って言うの?』と爽やかな笑顔で反撃。
すると黒髪の美女も『ラン君……ここまで性悪じゃないと、世の中では出世しないのよ。ウルポンはエリート中のエリートなんだから、そこには目を瞑りましょう。大人な私達は……ね』と、やはり大批判。
仲間内のイチャイチャが終わったのか、ワシの事を金髪青年がチラリと見て『何だ……? 凄ー危ない遊びをしてると思ったら、魔物が蠢動してたって事か』と腰の剣を抜き、ワシの方へ向けてきた。
ワシも慌てて『ち、違うわい! ワシはトロデーン王国の王様じゃぞ!』と言い、無実である事と人間である事を伝えた。だがコイツ等は別世界から来たばかりとの事で、『知るか、そんな魔族の国!』と言って剣を納めようとはしなかった。
アハトに目線で助けを求めたが、這い上がる事に力尽きておりグッタリ座り込んで何もしてくれない。
だがワシは見た……ワシの事をチラッと見て、ワシの慌てっぷりを楽しんでいる笑顔を……
口元が緩んでおったぞ!
相変わらず部下のトラブルを楽しむ性格を垣間見た所で、娘のミーティア姫がワシと金髪青年の間に割り込んできて、ワシの事を庇ってくれた。
だがワシがドルマゲスの呪いで魔物の姿に変えられてしまったのと同じで、ミーティア姫は馬の姿に変えられており、凡庸な者には気持ちが伝わらないと考える。
だから早うワシ等の事を助けるべきなのが近衛兵のアハトなのに、疲れたフリしてトラブルを楽しむ事を止めようとしない。
怒鳴り付けてやろうかと思ったその時……
金髪青年の連れの美女が『え!? 貴女もそっちのおじちゃんも人間なの?』と突然言い出し、金髪の行為を止めに入った。
ここでやっと落ち着いて自己紹介が行われたのだが、この異世界から来たという3人組は武芸に炊けているらしい。
リーダー格のウルフは、彼の師匠で義理の父親と共に此処とは別の世界を救った事もあるそうで、国に帰れば大国の宰相という地位に就いてるらしい。
何故かミーティア姫の言葉が解る美少女はリュリュと言い、ウルフの上司で師匠で義理の父の娘だそうだ。
ウルフの義父で、その男の娘って事で、この二人は許嫁の仲かと思ったのだが、その事を伝えると、リュリュは美しい顔を激しく顰めて完全否定をした。
そんな彼女を見たウルフは『俺とこの女は肉体だけの仲だ。オッサンもヤリたきゃ頼むと良いよ……頭は空だが身体は極上だから』と下品でふざけた台詞を吐く。
呆れてると可愛く頬を膨らましたリュリュが『私、処女だし!』と反論。
するとウルフは性格の悪さを垣間見せて『何だ……まだラングにヤらせてないのか? 最近コイツの家に入り浸ってるから、ガバマンになってるのかと思ってた』と下品さを増量で女性に嘯く。どんな教育を受けてくれば、こんな下品な男に成長するんだ?
だがウルフの下品発言は続き『ラングもよく我慢してられるな、何時までもヤらせてくれない女に……』と最後の1人である戦士風の男ラングストンに話しかけた。
しかし、この男もかなりの男で『私はウルフ殿と違って紳士なのですよ。美女が側に居るからと言って、2人や3人に手を出したりせず、礼儀を以て口説くのです』と反撃。
相当な女誑しだと理解するワシ等に、言い訳をするかのように『な、何だ3人って!? 何の証拠があって3人とか言ってんだ!!?』と激しく動揺。
もうこれは間違いなく二股・三股は当然なのだと感じた所……
『あの宮廷画家のキャバ嬢……愛人でしょ? 最近よく通ってると聞きますよ』と更なる情報を暴露。『サビーネ? 何だ……お前の言ってる女ってサビーネの事か。レクルトが上客じゃ無くなって困ってたから、少し売り上げに貢献してやってるだけだよ。リューノが身籠もって、マリーの機嫌が悪いのに、更に手を広げる訳ねーだろ!』と、さも当然に二股の事は肯定。
『何だ……お前には既に子供が居るのか!?』と驚いて訪ねると、『まだ生まれてない。彼女の一人が妊娠しちゃっただけ』と悪びれる事無く発言。
当然の様に彼女が二人居る事を認めてるので、もしかしたら彼等の世界では問題無い行為なのかもしれない。
下手に確認して、奴等の常識外な事を笑われるのは腹が立つから、進んで聞かない方が良いだろう。
それよりも、そろそろ次の目的地であるトラペッタの町へ向かいたい。
ワシはチラリとアハトに視線を送って移動再開を促した。
「どうしました陛下? もう疲れ切っちゃって、今日はこの場で野宿にしたくなりましたか?」
「違うわい。早々にトラペッタへ行きたいと考えてるじゃ!」
このアハトは、我が国で唯一ドルマゲスの呪いにかからず、人間の姿で旅に出られてる男。
勿論、武芸の腕前も我が国一番だったから、今回の旅立ちにおいて最も頼りにしている者なのだが、性格的に意地の悪い部分があり、解っててワザとスカしてくる面倒な男でもある。
新たな同行者のウルフとラングストンも同類の匂いがする為、随分と気が合っている様子だ。
「へー、近くに町が有るんだ? 良かった……何の準備も出来ずにこの世界に放り出されたから、色々と買い物をしておきたかったんだ」
「そうか……では丁度良かったの。多少の買い出しは出来るであろうて」
「ホント丁度良い。家で飼ってるアホ鳥の所為で、いきなり異世界に放り出されるなんて最悪だからね。まぁ事前に異世界移転を分かっていたら、巻き込まれない様に準備するんだけどね……そう言えば、こっちの世界の通貨って如何なってるの?」
「うむ。Gと呼ばれてる金貨とSと呼ばれてる銀貨だが、Gの方が主流だな。持って居るか?」
「1年ほど前だったら俺等の国も同じ物を使ってたけど、今は貨幣を一新しちゃったから、持ってないなぁ」
ほほう……以前ではあるが通貨・貨幣が同じ物だったとは。興味深い。
「言っておくがワシ等に金銭的な余裕は無いぞ。当てにするで無い」
「見るからに貧乏臭いお前等の財布なんか当てにするか! ねぇリュリュさん……町に着いたら、その絶品な体を使って金稼いでくんない? 一発500Gでも客が付くでしょ?」
「絶対ヤダ。お前がやれ!」
「ちっ、使えねーな。何の為に良い体付きしてんだよ」
かなり最低な発言をしているが、傍から見てても冗談である事を窺える。
何故なら、最低発言をしながらも自身の首から高価そうなネックレスを外して、次の町で売る準備をしているからだ。勿論、他の二人も自分が身に着けてる装飾品を外してウルフへと投げ渡してる。ざっと見積もっても、数千Gにはなりそうだ。
「随分と高価な装飾品を隠し持ってるんでがすねぇ? 一見アクセサリーなんて身に着けてない様に見えてましたでげすが……」
「ん? まぁねぇ……俺の師匠は、こう言う異世界旅行に強制参加させられやすい体質だから、一緒に巻き込まれる恐れがあるんだよ。今回は俺等だけだけど、巻き込まれた時様に、売って旅費を捻出できるように備えてるんだよ。だから人様から見える位置には装着しないんだ……気取る為じゃ無いからね」
「なるほど……最低限の備えは常に心掛けてると言う訳じゃな?」
「そうだよ。俺みたいなイケメンには、イケメン度を上昇させる装飾品なんて不要だからね……異世界へ放り出される事を念頭に置いてのオシャレだ」
「参考にして良いのか判らんが、日が暮れる前にトラペッタへと向かうとしよう」
ワシが率先して馬車に乗り込むと、アハトが黙ってミーティア姫の手綱を取り、先頭になって歩き出す。
それに釣られるかの様に、新たな同行者連中も歩き出した。
「そう言えば兄貴……トラペッタには何があるんでがすか? そもそも旅の目的も解らんのでげすが?」
「さぁ……俺に言われても? 陛下がトラペッタに行きたいって言い出したから(笑)」
何だと!?
アハトは、今回の旅の目的を理解して居らなんだか!?
まさか今更そこから説明せねばならないとは……
トロデSIDE END
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