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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1855話

「ちょっ、ちょっと! 何で今日に限ってシャドウがこんなに好戦的になってるのよ!」

 悲鳴を上げながら、ゆかりは次々にショートボウで矢を射っていく。
 続けざまに射られた矢は、狂愛のクビド、トランスツインズ、マジックハンドといったシャドウの身体に次々と突き刺さる。
 そうしながら、矢の存在を全く気にした様子もなく突っ込んでくる死甲蟲に対しては、イオを使って上空から落下させて押し潰していた。

「おい、アルマー。今日のシャドウ共が絶対におかしいぞ!」

 いつも戦闘中は俺から離れた場所で様子を見ている荒垣だったが、今の状況は危険だと思ったのか、慌てたようにこっちに近づいてそう言ってくる。
 俺はそんな荒垣に無言で頷く。
 実際、荒垣の言う通りなのは間違いない。
 何故か今日に限って、シャドウが妙に好戦的というか……興奮している?
 そんな感じなのだ。
 例えば、いつもならシャドウはショートボウの矢に1本でも貫かれれば、多少なりとも怯む。
 シャドウに痛覚のようなものがあるのかどうかは分からないが、それでも怯むのは間違いないのだ。
 だが……今日に限っては、シャドウは何本も矢が突き刺さろうと、全く関係ないと言わんばかりにゆかりに向かって突撃していく。
 明らかにいつものシャドウとは違う動きだ。
 タルタロスに入るようになってから、約2ヶ月。
 このようなシャドウは、初めて見た。
 ゆかりの様子を見ながら、本当にどうしようもないピンチになったら助けに入る準備をしつつ、考える。
 何故、今日に限ってこんなに凶暴になってるんだ? と考える。
 別に何か特殊な道具の類を持ってタルタロスに入った訳ではない。
 である以上、俺達以外の何かに理由がある筈なんだが……その理由が分からない。
 考えられる可能性としては、実はシャドウはその日によって性質……いや、この場合は好戦度が高まるとか、そういう事か?
 ともあれ、何の理由もなくこんな事になるというのは、考えられない。

「ゆかり、荒垣。何があったか分からないが、取りあえずこのシャドウを倒したら16階に向かうぞ。もしかしたらより先に進めるようになってるかもしれない」
「それは、私じゃなくてシャドウに言ってよね! こっちも結構大変なんだから!」

 矢筒から弓を引き抜きつつ、ゆかりが叫ぶ。
 そんなゆかりの隙を突くように新たに現れた狂愛のクビドが矢を射るが、それは俺がゆかりに付けている炎獣があっさりと燃やし尽くす。
 狂愛のクビドにとっても、今の一撃は予想外だったのか……動きを止めたその一瞬を突き、ゆかりのショートボウから矢が射られ、身体に突き刺さる。
 そうしてあっさりと……という表現はこの場合似合わないが、ともあれ何とかシャドウを全滅させることに成功する。

「60点……といったところか」

 今回のゆかりの戦闘を評して点数を付けると、それを聞いた荒垣が俺の方に視線を向けてくる。

「ちょっと厳しくないか?」
「そうか? けど、今回の戦闘ではかなりのミスがあったぞ。一番大きかったのは、やっぱりシャドウの数が多くなって、更に好戦的になっていたからか、かなり動揺していた事だ。幸い狙いを外した矢の数はそれ程なかったが、それでも命中した場所が狙っていた場所とは違っていただろ?」
「それは……」

 俺の言葉に、荒垣の側で話を聞いていたゆかりは言葉に詰まる。
 実際、動揺するというのは命を懸けた戦闘において大きな隙を産む。
 最後に狂愛のクビドによる攻撃を食らいそうになったのも、敵の様子に動揺を押し殺す事が出来なかったゆかりの油断だろう。
 今回は炎獣がゆかりの護衛についていたから何とかなった。
 だが、ゆかりが戦闘をする時、いつでも俺がいるとは限らないのだ。
 勿論それはゆかりとパーティを解消するという訳ではない。
 だが、四六時中一緒にいる訳ではない以上、ゆかりがいつどこで戦闘に巻き込まれるのか、分かったものではないのだ。

「うーん……そうね。自分でも色々と反省の残る戦いだったと思うわ。やっぱり今日のシャドウの様子にちょっと驚いてしまったんでしょうね」

 幸い、ゆかりはそう言い、自分のミスを大人しく認めていた。
 自分で戦っただけに、今回の一件が大きなミスだったと……俺が、炎獣がいなければ死んでいた可能性が高いというのを理解していたのだろう。
 ともあれ、分かって貰えたようで何よりだ。

「動揺しない……というのは、ちょっと難しいと思うが、次からはなるべく落ち着いて戦えるようにした方がいいだろうな」
「アクセルは、何でああいうのを見てもそんなに動揺しないの?」

 ふと、ゆかりがそう尋ねてくる。
 恐らく何かコツのようなものを聞きたいのだろうが、俺がこうまで冷静なのは、もしあの程度のシャドウに襲われてもどうとでも出来るという自信があるのもそうだが、何より……

「慣れ、だろうな」
「……慣れ?」
「ああ。こういう言い方はあまり好きじゃないんだが、命懸けの戦いであっても結局いつかは慣れる。それこそ、激しい戦いを潜り抜けてくればな」

 普通の人間にとっては、戦いに慣れるというのはあまり面白い出来事ではないだろう。
 だが、ゆかりのように戦いをしなければいけないのであれば、戦いに慣れるというのは必須となる。
 勿論その慣れ具合にも色々とあるだろう。
 シャドウを攻撃するのを躊躇わなくなったり、向こうに攻撃された際には素早く判断して冷静にその攻撃を回避したり防御したりと判断出来るようになる……といったものから、俺のように敵であれば人であっても躊躇いなく命を奪うようになる、といった風に。
 俺がゆかりに求めているのは前者で、後者までは望んでいない。
 幸いこの世界の敵というのはシャドウだけで、人間と敵対するような事にはならないらしい。
 当然のようにそれは今だけの話で、将来的にどうなるのかというのは全く分からないのだが。
 ともあれ、何にせよゆかりも敵が少数の場合は冷静に対処出来るようになってきているのだから、このままならそう遠くない内にシャドウの数が多くてもそれにきちんと対処出来るようになるだろう。

「慣れ、か。……女の子が戦闘に慣れるってのは、正直どう思う?」
「意外性があっていいんじゃないか?」
「あのね……そこは普通なら、そうでもないよとか、ゆかりの場合は戦闘に慣れていても可愛いよ、とか言ってくれてもいいんじゃない?」

 意外性という言葉が気に入らなかったのか、ゆかりが俺に向かって不満そうな表情を向けてくる。
 うーん、意外性は駄目となると……

「そんなところも、ゆかりの魅力だ……とか?」
「あのね、シャドウを相手に戦っているのが魅力って、私はどこのアマゾネスよ」

 再び向けられてくるジト目に、そっと視線を逸らす。
 シャドウミラーの面子なら戦っている姿が魅力的だと褒められれば、喜ぶ者もいるかもしれないが……やっぱり普通は喜ばないか。

「はぁ、アクセルに期待した私が馬鹿だったわね。……それより、16階に向かうんでしょ? 早く行きましょ。またシャドウが出てきたら、ちょっと洒落にならないわ。……ああ、その前に、アクセル矢を貰える?」

 そう告げてくるゆかりに、空間倉庫から取り出した矢を渡す。
 先程の戦闘で、既にゆかりの矢筒の中に残っている矢は数本まで減っている。
 ゆかりの持つ矢筒は桐条財閥で作られた特別製だ。
 ……まぁ、特別製と言っても特に何か特殊な効果があったりする訳ではなく、ゆかりの体型に合うようにオーダーメイドとして作られているだけだが。
 また、シャドウとの戦いでは当然矢を多く消耗するので、当然持てる矢は多い方がいいという理由から、その矢筒は普通よりもかなり大きめに出来ている。
 大きくなれば当然のようにゆかりの動きの邪魔になるのだが、そこはこのペルソナ世界でも有数の規模を持つ桐条グループ。
 最新素材を使い、その大きさとは思えない程に軽い矢筒となっている。
 それどころか矢筒は相応に頑丈で、防具として使う事も可能になっていた。
 桐条財閥については色々と思うところのあるゆかりだったが、シャドウと戦うのであれば、当然装備品は性能の高い物の方がいいという事で、大人しく協力関係を結んだ記念にということで受け取っていた。
 ともあれ、そんな訳でゆかりが戦闘中に矢の心配をする必要は殆どなくなっている。
 勿論、手当たり次第に矢を撃ちまくるような真似をすれば話は別だが、今のところそんな事をしている様子はない。
 そんなゆかりの矢筒が満杯に――それでいて、矢を取る時にスムーズに取れるように――矢を詰めると、俺達は16階に向かう。
 途中でも何度かシャドウが姿を現し、いつもとは違う凶悪さでこちらに攻撃をしてきたりもしたが、ゆかりが奮戦してその全てを倒していく。
 ゆかりが本当に危なければフォローするつもりだったのだが、幸いにもそんな機会はなかった。
 そんな訳でシャドウを倒しながらタルタロスを進んで行くのだが……

「うーん、正直なところいまいちだな」

 宝箱の中にあった宝石……魔法の籠もったマジックアイテムの宝石を見ながら、そう呟く。
 勿論粗悪品という訳ではない。
 もし今日が好戦的なシャドウがいる訳ではない普通の日であれば、この宝石を見つければ結構嬉しかっただろう。
 だが、ここまでシャドウが凶暴になっているのであれば、宝箱の中身も変わっていて欲しいと、そう思ってしまうのは悪くないと思う。
 しかし、結局宝箱を開けてみれば、そこにあったのは今まで何度か入手してきたような、そんな魔法の込められた宝石。
 これでがっかりするなという方が無理だろう。

「シャドウがあの様子だったし、てっきりタルタロスに色々と変化があったのかと思ったんだけどな」

 荒垣も宝箱の中身が普通の宝石だった事を残念に思いながら、そう呟く。
 16階から先に進めるようになっており、それでシャドウが凶悪になった……という可能性はあるか?
 だが、そうなると16階のように封印されている階から先に進むと、それ以下の階のシャドウは凶悪になるという事になる。
 それはちょっと遠慮したいし、出来ればそんなシステムにはなっていてほしくはない。

「違う……と言い切れはしないけど、多分違うんじゃないかとは思うんだよな。いわゆる、希望的観測って奴だけど」
「……ま、アルマーがそう言うならそれでもいいさ。どのみち、16階に行けば多少は事情もはっきりするだろうし」

 荒垣がそう言い、俺達3人は再びタルタロスの中を進んでいく。
 シャドウを倒し、宝箱を開け……そんな風にしながら進み続け、体感で二十分くらいが経っただろうが。
 今までなら、結構簡単に上への階段は見つけられていたのだが、今日に限って中々見つからなかった。
 それでも15階は永遠に広い訳でもないので、歩き回り続けていればやがて階段を見つけることには成功する。

「階段が見つかりにくかったのも、シャドウの凶暴さと何か関係があると思うか?」

 そう尋ねてくる荒垣だったが、俺はそれに頷く事も、首を横に振る事も出来ない。
 その辺りの事情は、そう簡単に判明するものではない。
 特に大きいのは、やはりこれが初めての事だ、というのが大きいだろう。
 もし今までにも何度か同じ事を経験しているのであれば、ある程度どうなっているのかというのは、分かるのだろうから。
 ともあれ、その辺りの事情が分からない以上、今俺達が出来るのは16階を確認する事のみ。
 そんな風に考えながら、階段を上っていくと……

「あー……駄目か」

 残念そうな言葉が、俺の口から漏れる。
 そんな言葉が漏れた理由は、当然のように16階から先に進む場所を封じている鉄格子の存在。
 ……いっそ、俺がこれを破壊するか?
 そうも思ったが、すぐにそれは自重する。
 そもそも、俺の力であれば壊せるだろうこの鉄格子をそのままにしておいたのは、俺が壊してしまった場合に起きる不都合を考えての事だ。
 俺がこの世界の原作を知っているのであれば、もしかしたら鉄格子を破壊するような真似をしても問題なかったかもしれない。
 だが、そうでない以上、この鉄格子を破壊するという行為そのものが何らかのトリガーになっている可能性は、決して否定出来ないのだ。
 であれば、やはりこの鉄格子は原作通りに事態を進め、自然に何とかして貰う方が最善の道だと言えるだろう。
 本当にどうしようもなくなったのであれば、俺が手を出してもいいが……今のところ、シャドウが凶悪になってはいるものの、出ている被害っぽいものはそれだけだ。
 であれば、もう少し様子を見た方がいいのは確実だった。

「取りあえず、16階も確認したし……タルタロスから出るか。シャドウが凶暴になっている状況で、死神に出てこられたらちょっと洒落にならないし」

 その言葉にゆかりが一瞬震え、荒垣も異存はないと判断し、俺達は影のゲートを使ってエントランスに向かうのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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