青いネコ型ロボットとか妖怪とかが居る平和な世界でのんびりしていたらヤンヤンな駆逐艦娘たちに襲われたお話
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プロローグ後編~途切れることのない無数の紅い糸~
前書き
どうやったら小説を続けれるかを知りたい。
頼む。(土下座)
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他力本願の人間の屑
時間がとまった、
と言うべきか、
部屋の中の酸素が一瞬なくなった感じだった。
みんな目を見開いてまるで生きているかどうかもわからないくらい固まっていた。
言ってはいけないことを言ってしまったことは解っている。
けど伝えなきゃならないことだった。
しかし自分の心のなかでは後悔が生まれてきた。
それと同時に、
よく分からない恐怖が生まれてきた。
もう5分はたっただろうか、
もしくはまだ10秒しか経っていないのか、
「今何て言ったの・・・?」
ようやく1人が口を開いて声を出す。
吹雪だ、
俺がここに始めて来たときに、始めて話しかけた艦娘。
吹雪はまるでこの世の絶望を見ているかのような、
いつもの元気らしさが完全に消えていた。
俺はもう一度、ここを出ていくと伝えた。
「・・・う、ウソ・・・よね・・?」
別の艦娘が声を出す。
叢雲だ。
軍艦では吹雪の妹にあたる艦娘で俺が時間をかけて仲を深めたプライドの高い奴が今にも泣かんばかりと震えている。
一息ついたあと、本当だという。
するとある3人が自分達だけで会話をするように俺に話しかける。
「・・・アッハハ、お兄様ってまさかこんな冗談が言える何て、超以外だなー、ねぇ?サミー?」
「・・・・・そ、・・そうですよね・・・お兄さんがここを出ていくなんて・・・す、すごい・・・オモシロイ冗談ですよね・・・」
「な・・なのです・・・。電たちに・・・冗談を言うために・・・わざと・・あんな不安そうにしてたん・・ですよね・・・?」
漣(さざなみ)に、五月雨(さみだれ)、電(いなづま)の3人だ。
漣は普段のような態度をっているが明らかに動揺を隠しきれず、
五月雨は喋っている途中で泣き出し、
電に限ってはもう立つことすら出来ていない。
見ているこっちまで泣きそうになった。
なんとか説得しようとするが誰かがガタッと大きな音をたてて立ち上がった。
「ふ・・・ふざけないで・・!!アンタ言ってもいい冗談と悪い冗談があるでしょうが!!!」
「そっそうよ!!何!?私とが散々クソ兄貴とか言った腹いせ!?仕返しにもいいところがあるわ!!」
霞と曙だ。
普段から若干俺に不満そうな態度をとっている二人が、
完全に怒っていた。
しかし確実に悲しみも見えていた。
俺の言ったことが冗談前提で決まっているかのように。
2人の見幕に押され声を出せなくなった。
それから次々と俺を止めるような悲痛の声が飛び掛かってきた。
ある艦娘は号泣しながら俺に出ていくなと近づいて来たり、
ある艦娘はイラつきながらも泣いていたり、
ある艦娘は顔は笑っているが目に光を宿していなかったり、
とにかく混乱が起きた。
いくら俺が大声をかけてもパニックに陥った艦娘たちは完璧に聞く耳を持てなかった。
パァンッ!!!
突如、銃声が鳴り響く。
その爆音に艦娘たちも一気に静かになる。
発砲したのは俺だった。
俺はかつてここを来る前に憲兵に拳銃を渡された。
もし艦娘たちに殺されそうになったときにこれを使えと。
だが、まさか、この場を黙らせる為に使うとは。
ちなみにだが、俺は真上にめがけて放った。
使用理由はただここを静かにするためだけに、
だがやむを得なかった。
俺は銃の弾倉(マガジン)を取りだし、スライドを引いて薬室に入っている弾丸を暴発防止のために排きょうをし、
銃と弾倉をその場に置いた。
排きょうされた弾が転がる音だけが響くなか、
俺はこの部屋を逃げるように、艦娘たちをおいて出た。
俺は始めて泣いた。
いじめられてではなく、
本当に、悲しくて、寂しくて、
こんなにも辛いとは思わなかった。
気がつけばあたりは真っ暗で、
時間はすでに午前3:00になっていた。
俺はいつの間にか寝ていたらしい。
外にでてグラウンドの真ん中に立っていた。
本当に無意識だった。
辺りを一望する。
月の光で照らされていないこの施設はなんだか悲しみによって寂れていた感じがした。
空を見上げる。
新月で月は全く見えなかった。
不意にあの時を思い出す。
俺が、殺人をしてしまったときのことを。
あの時も新月だった。
月が、まるで俺の犯した罪を、
まるで見ていなかったかのように隠れていた。
あの時と同じ、
俺はまた、取り返しのつかない、償いのしようのない大きな罪を造ってしまった。
そんな感傷につかっていたそのとき、
キャアァァァァァァァァァァッッ!!!
俺の部屋から悲鳴が鳴り響く。
俺が出ていったと勘違いをした艦娘の叫び声だ。
俺はすぐに部屋に駆けつける。
しかし既に俺を探しにいったのか誰もいなかった。
まさか俺を探すためにここを出ようとしているのか!?
とっさに考えたことに身体が勝手に反応したのか、
すぐに正門に駆けつける。
しかしそこには誰もおらず、門も開いた様子もない。
もしやみんなを起こしに行ったのでは。
すぐに止めるよう、駆けつけようとしたが
遅かったようだ。
「提督!!!」
沢山の艦娘たちが俺を探しに来たようだ。
「ま、ま・・・さか・・・もう・・・!?」
どうやら本当にここを出ていこうと勘違いをしている。
違うんだとすぐに誤解を解こうとする。
が、突然後ろから掴まれる。
さっきまで誰もいなかった後ろに驚きを隠せず、俺は首だけを動かして振り向く。
時雨と響だ。
時雨は五月雨の、響は電の姉だ。
「ダメだよ兄さん、ここを出ていくなんて、そんなのみんなが許さないよ」
時雨はそう言う。
彼女には満面の笑顔が出来ているが、
目は完全にドス黒く濁りきっていた。
どんどんと俺を掴む力が強くなっていく。
そのとき響が口を開く。
「嫌だ、兄さんがここを出ていくなんて、そんなの絶対に嫌だ!!!」
普段の響からは思えないほどの叫びを受ける。
俺を掴む力がどんどん強くなっていくなか、身体が酸素の吸収をできなくなっている。
なんとか離そうとするが、いつもより遥かに強い力に耐えきれず。
俺は再び気を失った。
それからだった、
本格的に俺の自由が消えたのは。
いつの間にか俺の部屋に居たと思ったら窓に鉄格子がつけられていたり、
俺の身体には壁に鎖のついた手錠がついていたり
まともにも動くことすら出来なかった。
無理やり外そうとすれば、
艦娘たちに止められた
抱きついて来たり、
馬乗りになって腕を押さえつけられたり、
一番怖かったのは包丁の刃先を俺の腹につけてきたときだっただろうか。
あの目は、あの時の俺と同じくらい、
いやそれ以上の恐怖があったかもしれない。
監禁されて1ヶ月たっても外部からはなにもこなかった。
その事を艦娘たちにきくとなんと自分たちで排除したらしくここには誰も近づけないようにしたとのことだった。
艦娘たちは、もう俺のせいで完全に壊れきっていた。
そしてまたしばらくたったとき、あの吹雪が口にした言葉を聞いたとき、
ついに自分の耳までおかしくなったのかと疑った。
お兄さんと既成事実を作れば永遠に一緒になれるね!
それからは毎日のように艦娘たちに身体を嫐(なぶ)られた
あの恐怖はいつになっても消えることのないトラウマ。
馬乗りになって腰を嬉しそうに振る彼女、
悪夢でしかなかった。
俺は助けを求めたが、
結局誰も助け舟を持ってくることはなく。
その人生では、
艦娘たちに、何もかも奪われてしまった。
うわぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?!?
教室が俺の悲鳴で鳴り響く。
回りの生徒たちはもちろん、先生も俺の悲鳴で固まっていた。
顔からは無数の汗が滝のように出てくる。
悪夢を観ていたようだ。
俺は、転生先でも艦娘たちに襲われる夢を観ていた。
絶不調になった俺を先生が心配そうに話しかける。
「だ、大丈夫かい・・・?すごく顔色がわるいけど・・・?」
返事をしようにも声がでなかった。
そのあと俺は先生と回りの生徒にささえられ、保健室で横になった。
放課後、みんなに心配されながら教室を出ていく。
下駄箱につくとある少年たちから声をかけられる。
「良善(りょうせい)くん、大丈夫!?」
「おい良善!!」
今は別のクラスだが幼馴染みの、
本来漫画にしかでないはずの
野日のび太がいた。
のび太だけでなく源しずか、骨川スネ夫、そして剛田たけしことジャイアンまでもいた。
いや、悪夢を観ただけだ。
「悪夢?悪夢って一体どんな・・・」
知らない方がいい、それに所詮夢だ。
「夢って・・・お前あれだけ大声が出たら、誰だって心配するぞ」
ホントにただの夢だ。気にするな。
学校を出ようとすると。今度は別のグループが俺に話しかけてきた。
「良善」
・・・おっ、ケータたちじゃねえか
俺とものび太たちとも違うクラスの奴らだ。
前から天野ケータにゲームではもう一人の主人公、
木霊(こだま)フミカ、その友人たちのクマとカンジだ。
この世界ではドラえもんだけでなく、当時有名だった妖怪ウォッチ、その他にも様々な漫画の登場人物が住んでいる世界だった。
「すごい声が聞こえけど何があったの」
夢だと大雑把に説明するとケータたちものび太たち同様心配をしてきた。
「夢であんなに大きな声がでるの?」
それぐらいの夢だったんだよ、けど今はもう大丈夫だ、じゃあな。
俺はそのままケータたちを残し、学校を出ていった。
下校中この世界の自分の誕生を思いだす。
気がつけば赤ちゃんになっていた。
そのあとに俺は思った。
あぁ・・・俺一度死んだんだなっと。
そこからは前世とは違い、恵まれた親に育てられ、のび太たちと出会い、小学校に入学したときにケータたちと出会い。
生まれた頃から妖怪が見えていた俺はケータが出会う前に地縛霊であるジバニャンとも出会い。
そしてなにも囚われることのない、平穏な生活を送れていた。
家に帰ったらただいまという。
しかし誰も返事はしない。
両親は2人とも仕事で海外に出ており常に不在、兄弟もおらず俺は一軒家で常に1人で暮らしている。
不満はなかった。仕送りはしてくれるし、料理も自分で作れる。
それに俺は今の両親は好きだった。
会う機会が少なくとも、自分を本当に大切にしてくれる存在。
俺はとことん恵まれていた。
前世でとてつもない人生を送ってきたからなのか。
俺は今、すごく楽しく人生を送れていた。
無数の見えない、
紅い糸が今だに繋がっているのを全く知らずに。
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