入ってはいけない海
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第二章
それでだ。僕達は砂浜に用意をしてからだ。
水着に着替えて海に入った。勿論準備体操は忘れない。そうして身体をほぐしてならしてからだった。
海に入った。その海の水は。
「冷たいな、おい」
「いい感じだよ」
「やっぱり夏は海だよな」
「そうだよな」
僕達は海の中ではしゃいで話をした。そうしてだ。
泳いだり水をかけあったりボールを投げて遊んだ。そうして昼食も食べてだ。
海の中で遊び続けた。かなり楽しくどうして皆海に入らないのかわからなかった。
けれどその中で。一人がこんなことを言ってきた。
「?何だ?」
「どうしたんだよ」
「何かあったのかよ」
「いや、足に何か引っ掛かったんだよ」
怪訝な顔になってだ。近くで見ると緑の海の中で言ったのである。
「今な」
「海藻じゃないのか?」
「それじゃないのか?」
「海藻?」
「そんなの何処にでもあるだろ」
「海の中だからな」
僕達はこう彼に言った。今僕達は海の中に立っている。皆胸の高さから身体を出している。
その姿勢でだ。僕達は海の中で話をしているのだ。
「気にすることもないだろ」
「海だったらいつもだろ」
「それもそうだな」
その友人は僕達の言葉に納得した顔で頷いた。
だがすぐにだ。今度は。
別に友人がだ。泳いでいるのを中断して言ってきた。
「!?触られたぞ」
「また海藻だろ」
「それだろ」
「いや、違うな」
彼はすぐにそれを否定した。
「これは」
「海藻じゃない?」
「もっと重いよ」
「重い?」
「うん、重いよ」
そうしたものだというのだ。
「何かね。人間の手みたいで」
「人間!?」
人間と聞いてだ。僕達はすぐに周りを見回した。だが海の中にも砂浜にもいるのは僕達だけだった。他には誰もいない。
そう、いない筈だ。それでだった。
僕も誰もがだ。こう言い合った。
「誰もいないよな」
「僕達以外にはいないぞ」
「それで人間の手?」
「誰か悪戯したのか?」
僕達のうちの誰かがそうしたのではないかと思った。次は。
しかし誰もが同じ顔だった。誰がやったんだとお互いに見回している。
それを見ると僕達の誰も悪戯はしていないことがわかった。それでだった。
僕達はいよいよ怪訝な顔になた。それでだった。
一人がだ。こう言いだした。
「なあ。海出ないか?」
「この海をか」
「出るんだな」
「ああ、そうしよう」
こう僕達に提案する。
「何かおかしいぞ」
「この海何かあるぞ」
「そもそもだよ」
ようやくだ。僕達もここで気付いた。
「何でこの日は皆海に入らないんだ?」
「海の家だって閉まってるしな」
「砂浜には誰もいない」
「こんなに暑くて海日和なのにな」
「誰も入ろうとしないんだ」
しかも鮫も出ない。ようやくおかしなことだらけであることに気付いた。
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