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二人で何時までも

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第二章

「僕達は君達を倒しに来たんだよ」
「悪事を働く山賊達をね」
 こう返すのだった。彼等に対して。
「悪事を認めて降伏するのならいいけれどね」
「そうもしないよね」
「そんな筈あるかよ」
「俺達は誰にもやられねえんだよ」
 そうだとだ。彼等はすごんでみせて返してだ。
 そのうえで二人に襲いかかる。だが。
 カストルもポルックスも剣や拳を構えてそのうえで。
 山賊達の相手をした。カストルの剣が横に一閃されると。
 それで山賊の一人の首が飛んだ。次に。
 ポルックスの拳が前に出され他の山賊の顔が直撃を受けて。
 砕けだ大きく後ろに吹き飛ぶ。これが合図となった。
 二人は迫り来る山賊達を次々に倒す。やがて山の中を駆け巡り。
 山賊達の隠れ家にも入り倒していった。山賊退治は順調に進んでいた。
 自分に迫ってきた山賊の一人をだ。カストルはまた切り捨てた。そうしてから隣で敵を拳で吹き飛ばすポルックスに対して尋ねた。
「あとどれ位かな」
「もう殆どいないと思うよ」
 ポルックスはこうカストルに返す。
「かなりやっつけたしね」
「そうだね。あと少しだね」
「うん。ただね」
「ただっていうと?」
「思ったよりも弱かったね」
 山賊達がだというのだ。
「いや、この程度だったって言うべきかな」
「そうだね。所詮は弱い者から奪うだけの連中だからね」
「それも当然かな」
「そうじゃないかな」 
 また一人切ってからだ。カストルは言った。
「結局のところはね」
「そうかも知れないね。とにかくもうすぐだよ」
「うん、最後まで倒そう」
 こう言ってだ。そのうえでだった。
 彼等は山賊達を倒し続け遂にはだった。
 降伏した者達を除いて全員退治した。こうして山賊退治自体は終わった。
 山賊達は村人達に引渡しそこから裁判所に連行することになった。これで話は終わった。そうなる筈だった。
 だが二人が意気揚々と山を降りようとしたその時にだ。不意に。
 カストルは足元に何かを引っ掛けてしまった。それは紐だった。
 その紐に足元を引っ掛けるとすぐにだった。何処からか矢が飛んで来てカストルの腕を貫いた。そしてその矢は只の矢ではなかった。
 矢に貫かれた瞬間に彼は全身に恐ろしい痛みを感じた。そのうえで慌てて駆け寄ってきたポルックスに対してこう言ったのである。
「この矢には」
「まさか」
「うん、毒が入っているよ」
 片膝をつき苦悶の顔になって言う。
「しかもこの毒は」
「かなり酷い毒なのかい?」
「ケルベロスの毒みたいだね」
 冥界の番犬である。三つの頭に一本一本が蛇の鬣に尾も蛇である巨大な猛犬だ。そのそれぞれの口からは常に恐ろしい毒を出している。
 そのケルベロスの毒だとだ。カストルは苦悶の顔で言う。
「これはね」
「馬鹿な、何故山賊があの犬の毒を」
「理由はわからない。けれど」
「その毒で」
「僕は助からない」
 もう絶対にだというのだ。
「死ぬ。どうしようもないよ」
「そんなことは許さないぞ」
 必死の顔になってだ。ポルックスはカストルに言った。
「ずっと一緒だと違った筈だ。二人で」
「わかってるさ。けれど」
「それでもだというのか」
「僕は助からない」
 ケルベロスの毒のあまりもの強さの故に。
「後は。少しでも」
「苦しみたくないのか」
「今も。恐ろしい苦しみが僕を襲っているんだ」
 カストルはまだ生きている。だが、だった。
 その全身は紫、無気味な紫色に染まっている。毒が全身に回っているのは明らかだ。 
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