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提督はBarにいる。

作者:ごません
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ヘルシーなのに満足!蒟蒻レシピ特集・その2

「蒟蒻ソテーなんて初めて食べたけど、美味しいですねコレ」

「蒟蒻自体に殆ど味がねぇからな。要は味付けと調理の丁寧さがモロに出るんだよ」

 モシャモシャとがっつきながら話す浜風に応える。言い方的に自画自賛っぽくなっちまってるが……まぁ、たまにゃあいいだろ?さて、お次は蒟蒻料理の定番、蒟蒻田楽をちょいとアレンジ。ちょっとだけオシャレにしてパーティに出しても恥ずかしくない感じにしてみたぞ。


《蒟蒻の味噌チーズ田楽》※分量2人前

・蒟蒻:1枚(250g)

・味噌:大さじ1

・みりん:大さじ1

・砂糖:小さじ1

・すりごま(白):小さじ1

・ほんだし:小さじ1/2

・ごま油:小さじ1

・とろけるスライスチーズ:2~3枚


 さて、作っていくぞ。まずは蒟蒻の下拵えからだ。蒟蒻は格子状に切れ込みを入れて軽く塩揉みして5分位放置。その後塩を洗い流したら沸騰したお湯でサッとゆがく。

 湯がいたらお湯から上げて冷まし、粗熱が取れたら一口大にカット。乱切りとかだと後々の作業で影響が出るから、出来れば直方体の形になるようにした方がいいぞ。

 味付け用の味噌ダレを作る。味噌、みりん、砂糖、すりごま、ほんだしを混ぜ合わせる。味噌だが白味噌以外であれば何でもいい。白味噌だと甘味が強すぎて味がどっちらけになっちまうんでな。

 蒟蒻を焼いていくぞ。フライパンを火にかけ、十分に温まったら蒟蒻を入れる。最初の内は油を入れずに空炒りする……蒟蒻の水分を飛ばす為にな。最初から油を入れて炒めると、油が表面をコーティングしてしまって水分が飛ばなくなっちまう。それを防ぐ為に始めは空炒りする。水分が飛んだ所でごま油を回し入れて、中火で2分位炒める。

 蒟蒻に焼き色が付いて来たら味噌ダレを入れて絡めながら更に炒める。焦がしすぎると良くないから、蒟蒻に味噌ダレが絡まったらすぐに火を消す。

 耐熱皿に蒟蒻を並べ、フライパンに残った味噌ダレもかける。その上にスライスチーズを隙間なく乗せて、オーブントースター等でチーズが蕩けるまで焼けば完成だ。



「さぁ、お次は『蒟蒻の味噌チーズ田楽』だ」

 ジュウジュウと音を立てている耐熱皿を、そのまま客の前に出してやる。そこには熱々のチーズが絡んだ蒟蒻が待ち構えている。愛宕達は我先にと蒟蒻を箸で掴み、垂れていくチーズを巻き取る。そして冷ます事も忘れて口へと放り込んだ。途端に悶絶してやがる。そりゃお前オーブンで焼いて熱々の蒟蒻口に放り込むとか、ダチョウ倶楽部でもやらねぇだろ……多分。

「あふいけど……おいひい!」

「ひーずとみほのあいひょうがばふぐんでふ!」

 愛宕と高雄は口の中の物が冷めてないせいか、呂律が回っていない。潮は涙目のまま固まってるし。浜風も必死に口の中の熱気を逃がしながら咀嚼してる。まぁ、焦って食う事はねぇだろ。食事は急がなくちゃならねぇ時以外は、ゆっくりと楽しむモンだ。




「はぁ……死ぬかと思うくらい熱かったわぁ」

 愛宕は制服のボタンを幾つか外し、パタパタと手で扇いでいる。その度にその戦艦級の胸がポヨンポヨン揺れている。そりゃそんだけ脂肪が付いてたら暑いだろうなぁ……なんて事をつい考えてしまう。

「さてと、お次のご注文は?」

「あの……出来たら蒟蒻をお肉のように食べられるメニューが良いのですが」

 おずおずと手を上げたのは浜風。まぁ元々お前の為に始まった今日の飲み会だしな。その本人からのリクエストに応えるのは当然だろう。

「あいよ、蒟蒻を肉に見立てたメニューな」

 実の所、蒟蒻を肉に見立てたメニューというのは結構多い。坊さんなんかが食べる精進料理には生臭物……つまりは肉や魚等の動物性タンパク質は入っていないが、それに見せかける料理に蒟蒻を使うのは定番だったりする。まぁ俺は坊さんでも何でもねぇから、普通に肉とか使うがな。



《モツ無し!?蒟蒻で土手煮風煮込み》※分量2人前

・蒟蒻:1枚

・豚バラ肉:200g

・長ネギ:1/3本

・酒:小さじ1

・赤味噌:50g

・砂糖:50g

・水(又は鰹だし):50cc

・みりん:大さじ1

・塩:適量

・サラダ油:適量

・七味とうがらし:お好みで



 このレシピはモツが苦手だけどモツ煮込みが食べたい!という我が儘な知り合いがいてな。その為に作ったレシピなんだよな。まずは蒟蒻はスプーンで薄く削ぐようにちぎる。豚バラ肉は1cm幅で切って酒を振り、揉み込んでおく。長ネギは小口切りにしておく。

 蒟蒻を塩揉みして5分位置き、沸騰したお湯でサッと湯がく。湯がき終わったら蒟蒻をザルにあけ、水気を切っておく。

湯がくのに使った鍋の水分を飛ばし、サラダ油を引いて熱する。十分に温まったら蒟蒻と豚バラを入れて炒め、火が通った所で赤味噌、砂糖、みりん、鰹だしを加えて煮込む。塩で味を調整しつつ煮込んで味が染み込んだら火を止める。

 皿に盛り付けて刻んだネギを散らし、七味をお好みで振れば完成だ。




「ほらよ。『蒟蒻の土手煮込み風』だ」

「蒟蒻の食感をモツに見立てて……成る程」

「確かに、目を閉じて食べさせられたら一瞬モツと間違えるかも」

「それにこの甘辛の味付けが絶妙で……お酒にもご飯にも合いますね」

 そう、蒟蒻のあのクニュクニュとした食感をモツの弾力ある食感に見立てて作ってみたってワケさ。そして赤味噌ベースの味付けは日本酒や焼酎、ビールなんかにも相性抜群だ。勿論ご飯にも合うから、具材と汁をまとめて白飯にぶっかける、なんてのも最高に美味い。





「そういえば提督、私前から疑問だったんですが」

「ん、なんだよ高雄。改まって」

「この蒟蒻に入ってる黒いブツブツって何なんです?ゴミ……とかじゃないですよね?」

「あ~……それなぁ。昔はゴミだったらしいが、今はそれひじきとか昆布を細かく刻んだ奴をわざわざ混ぜ込んであるんだよ」

 古くは飛鳥時代から食べられてた、なんて説もある蒟蒻だが、初期の製法は蒟蒻芋をすり下ろし、そのすり下ろした芋を加熱。糊の様に変化した物に灰汁を加えて凝固させる……ってのが一般的な作り方だった。この時、すり下ろして細かくなってしまった芋の皮の一部が残って、蒟蒻のグレーな色や中の黒いブツブツを形成していた。

 そして江戸時代になると蒟蒻の製法も洗練され、蒟蒻芋をすり下ろして作る製法から、芋をすり下ろして一旦粉末にして、不純物を取り除いてから作られる様になった。この粉にしてから作る製法で生まれたのが、玉蒟蒻なんかに使われる白蒟蒻……黒いブツブツが入っていない蒟蒻だ。不純物を取り除けるようになった事で、蒟蒻から雑味やえぐみが消えてより美味しい蒟蒻が作れるようになった。しかしここで問題発生。消費者から『蒟蒻らしくない』『白い蒟蒻なんて蒟蒻じゃない』とのクレームが寄せられるようになった。困った蒟蒻職人達は、苦肉の策で細かく刻んだ海藻を加えて作るようになり、(見た目は)元の黒いブツブツが入った蒟蒻が作られる様になった訳らしいぞ?まぁ、海藻を加えた事で海藻のミネラル分が加わって栄養価が高まった……ってんだからあながち悪い事でもなかったんだがな。

「「「「えぇ~……」」」」

 俺の蒟蒻に関する蘊蓄を聞いて、ドン引きしている一同。

「なんかそれ、消費者ズルくないですか」

「まぁそういう不平不満から技術の進歩が始まるってのはよくある話さ」

 かの有名な『カップヌードル』だって、元々はチキンラーメンをアメリカに売り込む為に丼も箸も無い所で売るには?というのを考えて開発されたって話だしな。

「さぁさ、そんな面倒な話は置いといて次の蒟蒻料理といくぞ?」 
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