世界をめぐる、銀白の翼
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第六章 Perfect Breaker
虚栄、倒る
いままでのあらすじ
召喚されるサーヴァントに、拒否も同士討ちも許されない。
ただ、自分の望む敵と戦うのみ。
その中で、セフィロスと戦っていた蒔風は、理樹と交代しその相手を変わった。
そして、偶然とはいえ再生の完全・加々宮を撃破した、満身創痍の五代となのはの目の前に、圧倒的な暴力を振りまきうる二人が落雷の如くやってきた!!!
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「ショウ君・・・・!?」
「あの敵は・・・だれだ?」
目の前にやってきた二人。
一人はショウだ。
しかし、その形相からして相手の男とは浅からぬ因縁があるようだ。
相手の男に関して五代は知らないが、なのはは一回見たことがある。
たしか、あれは蒔風による「EARTH」局員消失事件の後。
管理者大戦と言われた、世界の管理者たちの戦。
その時、蒔風と戦い、彼の存在とともに消滅した――――
「“LOND”・・・・・?」
だとすれば、ショウのあの形相は解る。
しかし、同時にまずいことになっていた。
「ぉォォォおおお!!魔導八天ッッ!!」
「まず・・・身体・・・動かな・・・・」
「なのはちゃ・・・ぐっ!?」
ショウが魔導八天を一つにまとめ上げ、それを“LOND”へと横薙ぎに振るって行った。
斬撃波を飛ばすわけでもないが、その風圧と暴力的な剣圧はすでに物理レベルで周囲に被害を及ぼすものだ。
五代はなのはを護ろうと体を起こし始めるが、まだ体が言うことを聞きそうにない。
ドォンッッッ!!!
踏ん張ったショウの足元から地面が爆ぜ散り、腕を硬化させて受け止めた“LOND”の身体に重々なる一撃が叩き込まれた。
しかし、その衝撃をいくらか利用して放たれた“LOND”の波動砲が、ショウの胸にブチ当たりその身体をすっ飛ばす。
大砲の着弾とも思える程の轟音を鳴らしながら、ショウが大地に吹き飛んだ。
が、その土煙の中から大木が飛び、それを波動剣で切った“LOND”。
その向こう側にいたショウの蹴りが顔面に命中し、更に吹き飛ばされながらその場を移動していっていた。
そして、巻き込まれたなのはと五代は
「間一髪でした!!」
「アリス・・・さん・・・・」
「あ、ありがとうございます」
二人を両脇に抱えながら、戦闘服状態のアリスが木の上に着地した。
現状、二人の戦いの中に参加できない彼女だが、こうしてそのサポートを受け持っていた。
「彼等の戦いでは、ここその物が吹き飛ぶ可能性もありますから。抑えられて、本当に安心しています」
抑えるとは言っても、その衝撃全てを散らすなど不可能だ。
アリスにできるのは、二人の様に巻き込まれそうなものを連れて、離れさせることだけである。
「なのはさん、ひどい・・・レイジングハートも修復が必要ですね。再生の完全は?」
「消えました・・・・それこそ、完全に」
「そうですか・・・・ありがとうございます。五代さんは?」
「俺、一回変身解除されちゃったから何時間かは何もできないんですよ」
「では、お二人とも「EARTH」へと。あそこなら一応まだ大丈夫です」
そう言って、二人を下がらせようと指示をするアリス。
ショウと“LOND”の戦闘は、またまた終わるモノではないだろう。
そうしていると、三人に影がさす。
上を見上げると、そこには時空管理局の戦艦が飛行していた。
「ついに干渉してきましたか・・・・いえ、それも当然かもしれませんね」
その戦艦を見上げ、アリスが呟いた。
改めて見る視線の先には、クラウドと戦うゼスト・グランガイツ。
元とは言え、時空管理局員がこのような形で出されては、あちらのプライドもあるのだろう、出てこざるを得ないと言うことか。
その実際のやり取りは、もう十分ほど前に遡る。
時空管理局・地上本部の上階に存在する会議場。
そこに、八神はやては呼び出されていた。
その理由は、現状「EARTH」に起きている事態のことである。
「相手の男は、魔道士なのだろう?」
「魔導師ではないです。魔術師です。我々とは別の技術体系を持った魔導です」
「なんでもよろしい。とにかく、敵の男はそれなんだな?」
なんでもいいわけあるか、と心で悪態をつくが、ここでは首肯だけをしておくはやて。
あの事件から一日以上たって、時空管理局もようやく重い腰を上げた。
しかし、それは「EARTH」がやられそうだからでも、世界が危険にさらされているからでもなく
「その男は、死者を呼び戻すと言うことか?」
「正確には「死者の魂を、コピーして現界させる」ですが、確かにその認識で合っています」
「なるほど。まあ、我々としての一番の問題は、これだ」
そうしてモニターに出されたのは、つい先ほど召喚されたランサー:ゼスト・グランガイツである。
「事もあろうに元とはいえ時空管理局員。それをこのように使われては、我々の沽券に係わる」
(そんなつまらんことのために、ようやっと動いたんかいこの盆暗)
再び悪態をつくはやて。
それでもまったく表情に現さないあたり、彼女もなかなかのタヌキだ。
「というわけで、我々も手を貸すこととした」
「「EARTH」に協力している君を呼んだのは、そう言うことだ」
「はぁ・・・それで、お話はそれだけでしょうか?」
呆れたように返事をするはやて。
とにかく話を進めて欲しいものだ。
「我らの誇る、時空管理局艦船の中でも、最大威力を誇るアヴィルドムだ」
そう言うなり、モニターの映像がライブ映像へと切り替わる。
話には聞いていた戦艦である。
なんでも過去最大最重量級の戦艦らしく、その攻撃力は比べるに値するモノがないほどらしい。
「まだ試作段階だがね。あれであそこを吹き飛ばそうと思っている」
「なッ・・・・!?」
「あの奇怪な、「EARTH」のビルを覆っているもの。あれが基点なのだろう?ならば即座に破壊すればいい」
「しかし!!」
「だから呼んだのだ。早く避難させたまえ」
もはや覆ることはないらしい。
一人の男の手には、その砲撃の発射スイッチが握られていた。
「あと一分もない。気づかれ、攻撃される前にこちらから攻める」
はやては、それを聞きあからさまな舌打ちをした。
しかし、彼らは咎めない。
「EARTH」という組織があるからこそ、この小娘は我々にデカい態度を崩さない。
そう考えている彼らは、このついでに「EARTH」を吹き飛ばすつもりなのだ。
たとえそこにどういう思惑があろうとも、「EARTH」は管理局に借りを作ることになるし、上下関係ははっきりするという物だ。
急いで連絡を取ろうとするはやて。
しかし、モニターの中にある物を見た。
彼等ははやてをニヤニヤと見下しているばかりで、それに気づいていなかった。
モニターの中で、セルトマンがアヴィルドムを見た。光学迷彩で姿を隠しているはずのアヴィルドムを、だ。
試作機とはいえ、すでに完成されているも当然のそれをだ。
見た瞬間、はやては腕を降ろした。
「だったら・・・早く撃つべきですね」
「なに?・・・・バカな!!」
「は、早くしろ!!あれが落とされたら一体いくらほどの予算が・・・・・・」
「砲撃にはまずは迷彩を解除しないと・・・・・・」
そこまで聞いて、はやては踵を返して部屋を出て行った。
ぎゃあぎゃあ騒ぐ老害どもの声は、扉が締められると完全にシャットダウンされる。
部屋の外では、ヴォルケンズをはじめとしてフェイトやエリオ、ティアナたち元起動六課関係者たちが。
それだけでなく、ナカジマ家のナンバーズにアリシアまでもが、彼女の命令を待っていた。
「行くで」
それだけ言うと、シャマルとキャロが転送魔法を展開し、その中に皆が飛び込んだ。
向かうは、「EARTH」。
起動六課組、参戦。
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さて、その哀れな末路をたどるアヴィルドムの最後はというと。
「光学迷彩とはちょざこいな」
セルトマンは、完全に姿をくらませたそれを発見した。
彼がそれを発見できたのは、空気の流れや、微妙な大気の揺れからだ。
そんな凡ミスを、と思うだろうがそれも致し方があるまい。
このアヴィルドムには、クルーが一人も乗っていなかった。
完全なる自律航行なのだ。
というのも、「EARTH」を敵視しているのはあの老害どものみで、その下の一般局員や魔導師たちは「EARTH」に悪い感情など持ってはいないからだ。
確かに「我々がやってやるんだ」というプライドから来る想いもある事にはある。
憎らしく思っている輩も、いるだろう。
しかし、そのために「EARTH」ごと吹き飛ばそうとなど、そこまで考える愚かな輩はいない、というわけだ。
反対意見を持つ者を乗せるのならば、最初から完全にクルーを排した物を作ればいい、というのがこの戦艦だったのだが―――――
「あれで撃つとしたら、相当の大莫迦者だな。だがまあその可能性もなくはないので・・・・」
見上げながらセルトマンがそうぼやくと、砲撃のために光学迷彩が切られる。
姿があらわになった戦艦の砲台に、エネルギーがチャージされていき―――――
「ライダー」
セルトマンが召喚した。
かざした魔法陣が飛び出していって、アヴィルドムの目の前にゲートのように展開した。
そして、そこから飛び出してきたのは“電車”だった。
しかし、ただの電車ではない。
その電車は時を越える。過去には神の路線に入るために必要なもの。
かつて時を支配しようとした古代の王によって作られた「神の列車」
その名を、ガオウライナー
その担い手の名は
「さ、喰い応えのあるガラクタだぞ――――仮面ライダー牙王よ」
ガオウライナーが突進し、エネルギーのチャージされていた砲台を噛み千切った。
そのまま内部へと突入して一直線に貫いていく。
内部に溜められていたエネルギーは行き場を失い暴走し、莫大な予算と大仰な謳い文句を背負った戦艦アヴィルドムは、轟音を上げて大地へと落下して行った。
「チッ・・・あんなもん喰っても、ちっとも面白くねぇ」
操縦席でぼやく牙王。
飛び出した勢いでやっただけだが、ひどくお気に召さなかったようだ。
落下して行くアヴィルドムの残骸は、地上で戦う彼らの真上へと落下して行く。
しかし、オフィナは軽くそれを殴り飛ばして押しのけた。
そもそもセルトマンには届かない。
蒔風はそれを見上げると、真人と組み合っているアライアの膝を後ろから崩し「フルスイングだ!!」と叫んで真人にアライアをぶん回させた。
無論、それだけで押しのけられる重量ではないが、上部を理樹の一撃が押したことでそれを押しのけた。
アヴィルドムの残骸は、結果としてそのすべてが一点に集まり、そこで交戦していたのは
「アぁ?なんだこりゃ!?」
「ハッ・・・いい加減しつこいぞ蒔風!!」
怒りで周囲の見えていなかったショウも、ようやく落ち着いたらしく真上からくるそれを見た。
しかしドカッ!!と、ショウと交戦していた“LOND”がうんざりした声でショウを蹴り飛ばし、ショウをそのど真ん中へと押しやったのだ。
そして自分はその下から避難していく。
勝手に潰れろ、ということらしい。
そして、アヴィルドムの残骸が大地へと着地し、そして大量の土砂を押しのけて瓦礫となって落下していった。
その全てが爆発するわけではないが、その残骸から28箇所の爆発が起こり、結果としてそのすべてが炎に包まれていく。
連続した爆発の圧力は凄まじく、周囲に瓦礫が吹き飛ぶよりも、大地に押しつけられて潰され溶けてしまうという結果になるほどだった。
その炎を眺め「死んだな」と言わんばかりに“LOND”が嗤った。
しかし
ガ・・・・ゴ ォォン・・・・・―――――
その炎の中で、まだ原形をとどめている瓦礫が盛り上がった。
大きさは数十メートルの瓦礫の塊。重さにして、数万キロ。
原形を留めているとは言っても、すでにその端はドロドロに溶けている。
その下には、それを抱えあげる人影が。
「・・・・は?」
「オイオイ・・・・テメェが作り出した様なもんだろうが・・・これぐらい出来て、ビビってんじゃねぇよ」
ブンッ!!と
その巨塊を投げるショウ。
放り投げる、ではない。
真上から叩きつけるように、跳躍してからのダンクシュートだ。
そしてそれが向かうのは、ボールに対してあまりにも小さな“LOND”である。
「おォォォオオオオオ!?」
ドンッッ!!と、一気に“LOND”が巨大化する。
肉体の大小など、管理者には容易い変化だ。
しかし、それによって押しつぶされることはなくなった“LOND”だが、ある意味それよりもなお凶悪な男に狙われやすくなってしまった。
「解き放て―――――魔導八天」
「な―――ぐ、この脇役ヤロ」
「死ね」
言葉を言い切る前に、“LOND”の喉が魔導八天によって斬り裂かれた。
ショウの波動砲の力を吸い上げて、刃から伸びた波動剣はすでに30メートルにまで伸びていた。
波動、というからには振動しており、その振動ゆえの切れ味は、ショウが握る根っこの魔導八天そのものの切れ味を、すでに凌駕してしまっているほどだ。
「ぎざ・・・ま・・・・」
「まさにこれが」
ザシッッ
「怒りに打ち震える、ってことで」
ドォンッッッ!!!
“LOND”の頭を果物のように切り分けて、その胸元を蹴り飛ばすショウ。
命を失った巨体が、粒子となって消滅しながら大地へと倒れ伏していった。
それを眺めながら、セルトマンが笑う。
「へぇ・・・“LOND”がやられたの」
“LOND”と言えば、蒔風すら追いつめた男だ。
しかも、最終的にはその身を消滅にまで追い込んだ。
それがこの段階で破れるとは―――――
「いや、あの時は蒔風も満身創痍。ショウの基本性能が蒔風以上ならば、“LOND”という男の実力はこの程度なのかもしれないな」
しかし、それに納得しながらセルトマンが目を閉じる。
頭の中のリストを読み返しているような指の動きで、鼻歌まで歌っている。
そして
「決めた。アサシンとアーチャーは」
召喚
「こいつらだ!!」
サーヴァント七騎が、ついに揃う。
しかし、そのうち二体はすでに敗退。
一見して、「EARTH」が優位。
それでも、セルトマンの笑みは消えていなかった。
to be continued
後書き
時空管理局組で、なのはだけが「EARTH」にいるのはひとえに愛がゆえに。
なのははしょうがないので、はやてたちには時空管理局にいるようお願いしてました。
あわよくば、十五天帝とかもらえたらよかったんですけどね。
現在のサーヴァント
セイバー:セフィロス
アーチャー:不明
ランサー:ゼスト・グランガイツ
ライダー:牙王
キャスター:“LOND”《敗退》
アサシン:不明
バーサーカー:フォーティーン《敗退》
アーチャーとアサシンは一体誰だ!?
ショウの波動剣は、魔導八天を包んで伸びてるビームサーベルだと思ってください。
もう何でもありだこいつ
クラウド
「次回、召喚された最後のサーヴァントは・・・?」
ではまた次回
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