人非人
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第三章
「完全にですよ」
「権力者だな」
「反体制にしても」
「自分が体制になろうとしているな」
「しかもそのテロで何人死んで教団内で何人殺してるんですか」
「とんでもない奴等だな」
「で、そのテロ組織の弁護人になったからですか」
「ここぞとばかりにな」
それこそというのだ。
「動くぞ」
「死刑廃止と反体制運動ですね」
「露骨に審議を引き延ばしたりするぞ」
そうしたことをしてくるというのだ。
「それこそな」
「人を何人も殺した奴への死刑を止める為にですか」
「このままいったらだ」
河原崎はここでは目を怒らせて言った。
「あの教祖は死刑だな」
「確実ですね」
「証拠はどんどん出て来ている」
それこそというのだ。
「俺達も出してきているしな」
「正直これだけ出て来るのはです」
検事としてだ、山田がここで言ったことは。
「僕も検事をしてはじめてです」
「私もだ、本当にな」
「はっきりした証拠がこれだけ集まるのはだな」
「なかったです」
「全くだ、このままいけばだ」
それこそとだ、河原崎は断言した。
「教祖の死刑は間違いない」
「確実ですね」
「しかしな」
「その死刑確実な裁判を遅らせる為に」
「それが今回のあいつの運動だからな」
「露骨に遅らせてきますか」
「だから注意しろ」
検事の立場でというのだ。
「安田はそういう奴だからな」
「酷い奴ですね」
「全くだ、しかしな」
それでもとだ、河原崎は確かな声で言った。
「感情は出すな、出せばだ」
「その時点で終わりですね」
「だからな」
それ故にというのだ。
「絶対にするな」
「わかりました、クールにですね」
「検事は常にクールであれだ」
つまり感情を出すなというのだ。
「いいな」
「河原崎さんがいつも言ってることですね」
「そうだ、だからな」
「わかりました」
山田も頷いて答えた、そしてだった。
二人は冷静に証拠を集めていく、だが。
河原崎の予想通りだ、安田は裁判を様々なやり方で露骨に引き延ばしにかかってきた。それを見てだった。
山田は嫌悪感を見せてだ、河原崎に言った。
「予想通りですね」
「そうだな」
「はい、本当に露骨にですね」
「引き延ばしているな」
「只でさえ大変な裁判なのに」
起こした事件が事件であるだけにだ。
「時間がかかるというのに」
「日本の裁判は時間がかかる」
このこともだ、河原崎は言った。
「何かとな」
「そのこともあるっていうのに」
「あそこまで露骨にやられるとな」
引き延ばし、それをだ。
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