転生とらぶる
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ペルソナ3
1834話
「えっと……アルマー、こう聞いてもいいものかどうかは分からないが、敢えて聞かせてくれ。お前は何者だ?」
シャドウとの戦闘が終了したところで、真田が真剣な表情で俺に向かって尋ねてくる。
それは、真田だけではなく桐条も同様だ。
こちらを見る桐条の視線は、今までになく真剣な色をしていた。
「何者って言ってもな。影時間に適性のある、アクセル・アルマーだとしか言えないな」
まさか、会ったばかりの……協力関係を築いたばかりの真田と桐条に、実は他の世界からやってきた、人間ではなく混沌精霊ですなんて言葉は、言える筈もない。
いや、もし言っても恐らくは信じないだろう。
……信じたら信じたで、また厄介な事になるだろうし。
桐条グループには影時間を研究する機関があるらしいから、そういう所が俺に接触してくる可能性がある。
勿論力づくで俺をどうこう出来る筈はないし、一時的に捕らえる事が出来ても、この世界の技術では影の転移魔法を防ぐといった真似も出来ないんだから、直接的な害はないんだが。
「お前達が俺の強さを見て、色々と不審を抱いているのは分かる。けどな、世界にはお前達が想像も出来ないような事は幾らでもある」
実際、俺の存在そのものがファンタジーだし。
もっとも、それを言ったら色々と問題になるが。
「……そうだな。実際、シャドウという存在がいるのだから、私達の理解の外にあるような事があってもおかしくはないか」
少しの沈黙の後、桐条がそう呟く。
それが本当に俺の言いたい事を理解してそう告げたのか、それともこの場に流れる雰囲気が悪くなり、俺達との間にある協力関係が白紙になるのを危惧しての事だったのか……その辺りの事情は、よく分からない。
「そうだな。俺の前には乗り越えるべき壁がある。その壁は、大きければ大きい程、高ければ高いほど、広ければ広い程、いい」
「……アルマーという壁を乗り越えるのは、ちょっと無理だと思うがな」
荒垣が小さく呟くが、幸いにもそれは真田に聞こえなかったらしい。
とにかく、雰囲気が悪くなるような事はなくなったので、それはそれでいいか。
「話が終わったら、先に進むぞ。ここにいたシャドウは全部倒したけど、これで本当に全てのシャドウを倒した……とは限らないんだし」
実際、何が目的でここにこんなにシャドウが集まっていたのかは分からないが、この15階にいるシャドウがこれで全部……とは限らないだろう。
こんなイレギュラーがあったのを考えれば、他にも妙なイレギュラーが起きないとは限らない。
……そう。それこそ、あの死神が現れるとかな。
死神? と首を傾げる桐条や真田とは裏腹に、ゆかりは俺の言葉に厳しく表情を引き締める。
死神と直接戦ってはいないが、一応俺達から話を聞いている荒垣は、表面上は特に表情を変えていない。
「俺と互角に渡り合えるシャドウだよ。かなり強力な奴だ。以前下の階で遭遇した事がある。とてもじゃないが、下の階にいるような奴じゃなかったよ。少なくても、ここで遭遇したシャドウとは比べものにならないくらいには強かったな」
「ほう」
俺の言葉に興味深そうな声を漏らしたのは、当然のように真田だ。
真田にとって、それだけ強力なシャドウというのは、会ってみたい……いや、戦ってみたい存在なのだろう。
だが、もしあのような存在と遭遇したら、まず間違いなく真田は死ぬだろう。
桐条や荒垣、ゆかりといった面々も、まず勝ち目はない。
……いや、ここであのシャドウについて考えるのは、下手をすればフラグになりかねない。
これ以上は止めておいた方がいい、か。
そんな風に考えながら、俺は話が一段落したのを確認すると再びタルタロスの通路を歩き始める。
他の面々もそんな俺に置いていかれてはたまらないと、後に続く。
そこから歩いて進み10分程……再びシャドウの気配を察知する。
「どうやら、敵だな」
「っ!? またあの大量のシャドウか? それとも、アルマーが言っていた、死神?」
緊張した、それでいながら何かを期待しつつ尋ねてくる真田だったが、俺はそれに首を横に振る。
「いや、どっちでもない。普通のシャドウだ。……真田、戦ってみるか? 相手は1匹だし、お前だけで戦ってみても、いざとなれば手助け出来ると思うが」
もっとも、最初に遭遇したようなカブトムシ型のシャドウみたいに、外殻を持っていて打撃に対して強いシャドウだったりすれば、話は別だが。
「やる! やってみる!」
そう言い、真田は革グローブに包まれた拳を握りしめる。
うん、やる気は十分だな。これなら、シャドウを相手にしても何とでも出来るか?
まぁ、もし危なかったらさっきも口にしたように、助ければいいだけだ。
幸い……というのもどうかと思うけど、ショートボウを持つゆかりにとって、援護の練習をするにも丁度いいし。
「そうか。じゃあ、任せる。……来るぞ」
その言葉と共に、T字路になっている右側から1匹のシャドウが姿を現す。
丁度俺がさっき纏めて戦ったシャドウの中にいた、キューピット型のシャドウ。
シャドウもこちらを認識したのだろう。矢を番えて弓を引く。
そんなシャドウに対し、真田は一気に前に出る。
それでいながらジグザクに動いているのは、矢の狙いを定めさせない為か。
実際、シャドウもそんな真田を前にして、矢を射る事が出来ずにいた。
そうして矢だけでは真田に対処出来ないと判断したのだろう。シャドウは矢を射ながら、口を開く。
「ガル」
放たれたのは、既にお馴染みの風の刃。
その風の刃は真田の頬に一筋の傷を付けるも、結局はそれだけで終わってしまう。
そうしてシャドウの間近まで迫った真田は、空中に浮かんでいるシャドウに向けて拳を振るう。
この時、シャドウにとって不運だったのは、丁度浮かんでいるのが真田の顔面とほぼ同じ高さだった事だろう。
シャドウに明確な知性……戦術を考える事の出来る頭があるのであれば、真田の拳が届かない程度の高さにまで上がって、そこから矢を射り、魔法を使っていれば一方的に攻撃出来たのだから。
……まぁ、実際そんな戦闘の流れになれば、真田もペルソナを使うなり、ゆかりに戦闘を任せるなりといった事をしただろうが。
そうなれば結局のところ結果としては同じになってしまっていただろう。
「うおおおおっ!」
そんな雄叫びの声と共に振るわれた拳は、見事にペルソナの胴体に命中する。
地に足を付けて歩いているタイプのシャドウであれば、多少は踏ん張る事も出来たのだろう。
だが、残念ながらこのシャドウは空中を飛んでいるタイプだ。
そうである以上、真田の一撃を食らって空中で耐えられる筈もなく、そのままタルタロスの壁にぶつかって、床に落ちる。
そうして床に倒れたシャドウとの距離を詰めた真田は、そのまま何度もシャドウを踏みつけ、最終的にシャドウは死んで消える。……まぁ、シャドウに死ぬという表現が相応しいかどうかは微妙なところだが。
実際、俺がシャドウを倒してもステータスの撃墜の数値は上がらないのだから。
基本的にこの数値は命のある者を殺せば数値が上がる。
その数値が上がらない以上、シャドウには恐らく命の類は存在しない。
どちらかと言えば、夢や幻影とかそっちに近い……んだろう。
シャドウの行動や、何より死んだ時に消えていく様子からロボットの類ではないのは確実だが。
ともあれ……シャドウを倒した真田だったが、とてもではないがスマートな倒し方とは言えないだろう。
踏みつけ、いわゆるヤクザキックとかそういう風に言われている攻撃方法で倒したのだから当然だけど。
もっとも、真田の戦闘の基本はボクシングだ。
真田の胴体くらいの位置にいる敵ならまだしも、地面に倒れている相手を攻撃する手段はボクシングにはない。……いや、俺はボクシングにそこまで詳しくないので、もしかしたら地面に寝っ転がっている相手を攻撃するパンチとかもあるのかもしれないが。
ただ、以前何かでプロレス選手とボクシング選手の異種格闘技戦が行われた際に、プロレスの選手がリングの上で寝っ転がって、結果としてボクシング選手は何も出来なかった……というのを見たか聞いたかした事があるので、やっぱり地面に寝っ転がっている相手を攻撃する手段はないのかもしれないが。
「うわぁ……」
ともあれ、ゆかりにその辺りの事情は分からなかったのか、踏みつけでシャドウを倒した真田を見て若干引いていた。
「あー……岳羽。一応アキをフォローしておくが、アキはああいう風に低い位置にいる相手を攻撃する手段を持っていないんだ。まぁ、ペルソナを使えば、どうにかなったとは思うがな」
友人をフォローしようと、荒垣がそう告げる。
それでゆかりも納得したのか、引いた表情は収まっていた。
「ペルソナ、召喚するには何だか精神力? 魔力とは違う感じのが消費されている気がしますしね。もう倒せる状況でペルソナを召喚しないのは納得です」
そういうものなのか、取りあえず納得したらしい。
「真田、お前がボクシング選手として強くなりたいのなら、今のまま訓練を積み重ねればいい。だが、シャドウのような存在とも戦うつもりであれば、もっと他の攻撃手段も得た方がいいだろうな。今みたいな時とか」
「そうだな。その辺りは前から気になっていたところだ。何か考えてみる」
予想外に素直に俺の言葉に頷いた真田。
だが、実際その辺りは気になっていたのだろう。
何しろ、最弱のシャドウと言われている臆病のマーヤは、スライムの如き形をしている。
地面を這いながら移動してくるのだ。
真田もタルタロスの4階までは挑戦していたらしいから、当然のように臆病のマーヤと戦った事も多いだろう。
そう考えれば、やっぱり前々から思うところがあったとしてもおかしくはない。
「ともあれ、シャドウも倒したし先に進むぞ」
その言葉には誰も不満はなく、そのまま通路を進んでいく。
そうして何度か現れるシャドウを倒したり、宝箱から何かの飲み物のような物を見つけたりとしている間に、やがて階段を見つける。
「……階段、だな」
「ああ」
真田の呟きに荒垣が同意した。
真田の声にどこか間の抜けた色があるように感じたのは、きっと俺の気のせいではないだろう。
恐らく、真田は自分達で階段を見つけることは出来ないとでも思っていたのではないだろうか。
ここがタルタロスである以上、こうして動き回れば階段を見つけるのは当然だと思うが。
まぁ、この程度の広さであればともかく、もっとフロアが巨大になったりすれば、階段を見つけるのも難しくなる筈だ。
マッピングとか、そういう事をするか……最悪、俺の切り札のスライムを使って一気にその階層全てを探索してしまうという方法もある。
もっとも、それはあくまでももっと広くなってからの話だ。
今はその辺りを考える必要はないだろう。
「さて、どうする? 16階に向かうか? 14階が小ボスの階層だったし、16階に小ボスがいるという事はないと思う。……勿論、絶対とは言えないが」
5階層ずつに小ボスがいるという俺の予想は、14階に小ボスがいたことで間違っていた事が判明した。
規則的に小ボスのいる階層がある訳ではない以上、もしかしたら16階に小ボスがいるという可能性は必ずしも否定は出来ないのだ。
……もっとも、もし小ボスがいたら、俺の出番になるだろうが。
それとも、危機に陥るまでは真田達に任せた方がいいか?
「行こう」
意外な事に、最初にそう言ったのは桐条だった。
基本的には慎重派なように見える桐条だったんだが。
いや、単純に真田がイケイケだから、比較して桐条が慎重派に見えているだけなのか?
その辺りの理由はともかく、桐条がそう言うのであれば……と、誰も反対はしない。
桐条に対して思うところのあるゆかりも、その言葉に異論はないのか、反対していない。
まさか、口を開くのも嫌だから……って事はない筈だと思う。
ともあれ、誰も反対しないのであればと、俺達は階段を上がっていく。
「え? 何これ?」
階段を上がった俺達を待っていたのは、何故か鉄格子のような物で先に続く扉が封じられている部屋。
ゆかりがその光景を見て嫌そうに呟いたのも、納得出来るだろう。
「何だってこんな事になってるんだ?」
真田も、鉄格子をみながら呟く。
「さてな。ともあれ……このタルタロスの意思か、それとも誰か他の奴の意思かはわからないが、俺達をこの先に行かせたくはないんだろうな」
この鉄格子……いや、鉄格子じゃない?
実際には鉄格子のように見えるだけで、その隙間から手を伸ばすような事も出来なくなっている。
となれば、俺が何らかの手段でこの鉄格子を切断しようとしても、何が起きるか分からないって事になるだろう。
……さて、どうしたものやら。
鉄格子を見ながら、俺はどうするべきか迷うのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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