七人兄妹の二番目
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第三章
「けれどね」
「兄妹多くてその中でお姉さんだと大変なのね」
「何かと」
「そうなの、本当にね」
こう言う早苗だった、彼女にとってはむしろ学校の方が落ち着ける場所だった。とにかく家に帰ると忙しくて。
弟達が喧嘩をしているとだ、すぐに飛んで行って怒った。
「止めなさい!」
「お姉ちゃんお兄ちゃんが悪いんだよ」
「こいつが悪いんだよ」
「喧嘩両成敗よ!止めないとお尻ぶつわよ!」
ここで切り札を出した。
「嫌なら止めなさい!」
「えっ、お尻ぶつの?」
「そうするの?」
「止めないとそうするわよ!」
こう言って止めさせる、そして一番下の妹の具合が悪いと見るとすぐに体温を測ってからその体温が三十七度を越えているのを見て言った。
「今日はもうお薬飲んでね」
「それでなのね」
「寝てなさい」
こう言うのだった、そして実際にだった。
早苗は末の妹を寝かせた、そうしてから他の弟や妹達に言った。
「あんた達もさっさと勉強してね」
「そうしてなんだ」
「寝ろっていうの」
「そうよ、早く寝て早く起きる」
そうすべきだというのだ。
「そうしなさい」
「早寝早起き?」
「そうしないと駄目なの」
「今日も」
「いつもよ、お姉ちゃんも寝るから」
そうしないと駄目だというのだ。
「早いうちにね」
「僕達が寝てからなんだ」
「お姉ちゃんも寝るの」
「そうするんだ」
「当り前でしょ、お姉ちゃんも人間だから」
それでというのだ。
「ちゃんと寝てるわよ、けれどあんた達が寝ないとね」
「そうしないと寝られない
「お姉ちゃんは」
「それでなんだ」
「まずば僕達が寝て」
「そうしてなの」
「そう、いいわね」
こう言ってだ、早苗は弟や妹達を寝かせた。だが兄にはこう言うだけだった。彼の部屋の扉のところに来て。
「お兄ちゃんもいいわね」
「ああ、家のことか?」
「何かリクエストある?」
「別にないから」
これといってとだ、兄は妹に自分の部屋から答えた。
「今日も」
「じゃあいつも通りね」
「洗濯ものは洗濯機に入れたから」
「お風呂もう入ったのよね」
「うん」
素っ気ない返事だった、倦怠期の夫の様に。
「そうだよ」
「じゃあ御飯も食べたし」
「勉強が終わったら寝るから」
「それじゃあね」
「うん、僕のことは気にしなくていいから」
妹にこう言うだけだった、そしてだった。
早苗は兄についてはこれで終わったがこのやり取りも毎日だ、そしてそのうえであらためてだった。
弟や妹達にまた言うのだった、その言う言葉は。
「寝る前のおトイレはした?」
「もうしたよ」
「それでおトイレしたら寝ろっていうのね」
「ベッドに入って」
「そうしてよね」
「そうよ、おトイレはしておきなさい」
寝る前に絶対にというのだ。
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