恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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821部分:第六十六話 バイスとマチュア、闇の中で話すのことその十一
第六十六話 バイスとマチュア、闇の中で話すのことその十一
「桃香様を御護りする為にだ」
「褥をというのか」
「それならどうだ?」
妖しい微笑みでだ。魏延に問う。
「私は愛紗と翠とそうしたいのだがな」
「ま、待て」
「何でそこであたしなんだよ」
名前を出された二人は戸惑いながら趙雲に言い返す。この二人も供にいるのだ。
「私はそうした趣味はないのだぞ」
「前から何かっていうとあたしに絡んでくるな」
「顔だけではないからな」
二人の整った顔を見ているだけではなかった。
その肢体も見てだ。話すのだった。
「美味そうな身体をしているな」
「私は料理ではないぞ」
「何だよ、食おうってのかよ」
「違う意味で食したいものだ」
妖しい流し目がだ。来た。
「二人共な。二人一度でもよいがな」
「だからどうして食するのだ」
「あたしの何を食うってんだよ」
「唇に」
二人のその麗しい唇を実際に見る。
「それに耳に」
「耳!?」
「それもかよ」
「それに胸に」
次はそれだった。
「腰、尻。脚もよいな」
「全てではないか」
「丸焼きにでもするのかよ」
「いや、生け造りだ」
それだというのである。
「おっと、腹に背中、指もいいな」
「全部ではないか」
「じゃあ醤油かけて食うのかよ」
「醤油はかけない」
それは違うというのである。
「だが。堪能できるな」
「うう、まさかと思うが」
「そういう意味で食うってのかよ」
「そうだ。最初からそう言っているが」
「だから私はだ。まだそうした経験はだな」
「女同士の趣味はないって言ってるだろ」
「いいものだぞ。おなごの味も」
顔を真っ赤にして戸惑う二人を手玉に取り続ける趙雲だった。しかしである。
ここでだ。黄忠が出て来てだ。趙雲に述べる。
「それ位にしておきなさい」
「むっ、からかうのはこれ位にというのか」
「そうよ。二人共困っているじゃない」
「幾らか本気を入れているのだがな」
まだこう言う趙雲だった。
「まあ蒲公英も悪くはないが」
「守備範囲広いのね」
「男もおなごも好きだ」
黄忠にもこう返せる。
「今はおなごの方がいいか」
「とはいってもまだ経験はないわよね」
「それはそうだが」
それを言われるとだ。趙雲も辛い。言葉がいささか濁る。
「どういったものかは知らないが」
「それなら一度誰かと寝てみたらいいわ」
「いや、私は決めた相手とでないと駄目だ」
何故か少し大人しくなる趙雲だった。
「やはりな。互いに想い合う相手でないと」
「あら、星も意外と純情なのね」
「どうでもいい相手とは寝たくない」
趙雲はまた言った。
「やはりな。それは」
「そうね。私も同じだし」
「紫苑もか」
「そうよ。想う相手でないとそうしたことはね」
駄目だというのだ。そうした意味で黄忠も同じなのだった。
そしてだ。あらためて言う黄忠だった。
「若し無理にというのなら」
「叩きのめすな」
「弓だけじゃないから」
黄忠は確かに弓の使い手だ。しかし弓だけではないのだ。
「刀も拳もね」
「そうだな。弓だけでやっていけるものではないしな」
「そうよ。流石に皆程ではないけれど」
それでもだというのだ。
「使えるからね」
「私もおかしな男が何人言い寄ろうともだ」
これは趙雲もである。今度は不敵な笑みで述べる。
「勝手な思い通りにはならないからな」
「そうね。絶対にね」
「とにかくだ。私はだ」
「そんなつもりはないからな」
話が一段落したところで反撃に出た関羽と馬超だった。
「想う相手とだ」
「最初はだからな」
「焔耶は特にじゃな」
厳顔はまた魏延を見て述べた。
「桃香様以外は駄目じゃろ」
「私の主は桃香様だけだ」
こう言い換える魏延だった。
「それ以外の者にはだ」
「有り難う、焔耶ちゃん」
劉備はその言葉をそのまま聞いて笑う。
「これからも宜しくね」
「はい、この焔耶何があろうとも」
魏延は劉備のその言葉に熱い言葉で応える。
「桃香様に全てを捧げます」
「まあ忠誠心が高いのは確かね」
馬岱もそれは認めた。
「それは認めてもいいかな」
「けれど。何かが決定的に違うのだ」
張飛もそれはわかる。
「御姉ちゃんを見る目が違い過ぎるのだ」
「そうね。それはね」
こう話してだった。その魏延を見るのだった。あくまで劉備を熱く見る彼女をだ。
第六十六話 完
2011・3・10
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