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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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818部分:第六十六話 バイスとマチュア、闇の中で話すのことその八


第六十六話 バイスとマチュア、闇の中で話すのことその八

「特に今はね」
「今はだな」
「皇帝が死ぬわ」
 皇帝に仕える者だがそれでもだ。司馬慰は皇帝への敬意を見せなかった。
 そしてだ。そのうえでだった。
「そうなれば大将軍は必ず宮中に赴かなくてはならないわ」
「皇帝が死ねば。臣下としてですね」
「そうよ。だからよ」
 また言う司馬慰だった。今度はゲーニッツに対してだ。
「赴かないわけにはいかないわ」
「けれどその時は貴女も」
「行かなくてはいけないわ」
 ここでまた問うバイスとマチュアだった。
「それはどうするの?」
「そのことは」
「簡単よ。いなくなればいいのよ」
 それで済むと。司馬慰は素っ気無く答えた。
「私はいなくなるわ」
「流石ですね」
 于吉は司馬慰のその言葉を聞いて楽しげに笑ってみせた。
「重病ということにしてですね」
「療養に出たということにしてね」
「そうされますね」
「ええ、そうするわ」
 こう話すのだった。そしてだ。
 次にだ。司馬慰はこうも話した。
「ただ。皇帝はもうね」
「死んでいるかも知れないな」
 左慈の言葉も素っ気無い。
「既にな」
「そうかもね。本当に明日も知れない命だから」
「美食と美酒と美女」
 于吉がここで話に出したのはこの三つだった。
「それに溺れていては倒れるのも道理です」
「実は毒を盛ろうとも考えていた」
 左慈はその陰謀を話した。
「だが。それはだ」
「するまでもありませんでした」
「その三つは何よりもの毒だからな」
「好都合でした。本当に」
「ええ。暗君だったけれど」
 司馬慰の言葉はここでは過去形だった。しかも皇帝への忠誠は微塵もなかった。それをはっきりと出してしまっている言葉だった。
「あっさりと死んでくれそうで何よりだわ」
「さて、それではです」
 ゲーニッツが笑みを浮かべながら述べる。
「我が同胞達、同志達は洛陽に集うのですね」
「ただ。気付かれないようにね」
「それは注意しないと駄目ね」
 バイスとマチュアはそのことは忘れなかった。
「董卓の軍の中にも私達の世界から来ている人間は多いわ」
「彼等に見つかればことよ」
「ふん、忌々しい奴等だ」
 左慈は言い捨てた。
「あの連中がいなければより簡単に進められたのだがな」
「そこは仕方ありませんね」
 そのことにはこう返す于吉だった。
「むしろ面白くなっていいではありませんか」
「俺はそうは思わないがな」
「何、やるからには楽しむことです」
 于吉は実際に楽しげな笑みで話す。
「私はそう考えます」
「ふん、まあいい」
 于吉にはだ。左慈もそれ程尖ったところは見せなかった。
 そのうえでだ。彼はこう于吉に言うのであった。
「どちらにしろだ。あの連中はだ」
「はい、退けなければなりません」
「それは絶対にだな」
「その通りです。それにしても多いですね」
「そうですね。確かに」
 ゲーニッツが于吉のその言葉に応えて述べた。
 
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