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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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816部分:第六十六話 バイスとマチュア、闇の中で話すのことその六


第六十六話 バイスとマチュア、闇の中で話すのことその六

「何とか。話を進ませたわ」
「それはいいことです」
 また一人出て来た。今度はだ。
 青い丈の長い服の男だった。黒い顎鬚を生やしている。髪は上が金色で左右が黒い。その男が闇の中に出て来たのである。
 彼の姿を認めてだ。于吉が言った。
「ゲーニッツさんですか」
「はい、お久し振りです」
 ゲーニッツは恭しく一礼して述べた。
「そちらの首尾はどうでしょうか」
「上手くいっているわ」
 司馬慰はそのゲーニッツに対して不敵な笑みを浮かべて述べた。
「あと一歩よ」
「では。後は」
「張譲が動いて終わりよ」
 それでだというのである。
「彼、彼女というのかしら」
「宦官ですから彼でいいでしょう」
 于吉が宦官についてはこう述べた。
「元は男なのですから」
「そうね。それで」
 それでだと言ってだ。司馬慰はさらに話す。
「董卓とその兵を都に入れるということは必ず張譲の耳に入るわ」
「私が入れておきましょう」
 また于吉だった。
「彼とは既に接触しています」
「じゃああの書は」
「彼の手に渡すのね」
「いい手駒です」
 于吉は張譲をこう評した。上から見る笑みでだ。
「悪い意味で政治力と知略があり」
「そして欲望が強い」
「己に関する欲望が」
「さらに我々の陰謀に気付いていない」
 それがまだあるのだった。
「そうした人物こそが最高の手駒です」
「そうね。確かにね」
 司馬慰もだ。今度は楽しげな笑みになった。
「己のことしか考えない悪人は。使い勝手がいいわ」
「彼には書を渡しておきます」
「それはするのね」
「はい、欲望を集め力を強くしていく書」
 それをだ。張譲に渡すというのだ。
「彼がそれを手にすればです」
「張譲はその書の力を使うわ」
 間違いないというのだ。それをするとだ。
「国を。己のものとする為にね」
「己の欲望の為に」
「張譲の頭の中にはそれしかないのだから」
 つまりだ。完全な利己主義者というのだ。
 そしてだ。その張譲をだ。どう使うかというのである。
「非常に使い勝手がいいわね」
「宦官というのはいいものね」
「そうね」
 バイスとマチュアはその宦官についてほくそ笑んで話す。
「隠れられる場所にいて蠢くことができる」
「私達の様にね」
「ただ。権力を握ることには私達は興味はないけれど」
「それはね」
「はい。そしてです」 
 ここでまた話す于吉だった。
「あの方はどうでしょうか」
「刹那さんですね」
 ゲーニッツが彼のことを話した。
「あの方はあの方で、です」
「順調に動かれていますか」
「そろそろ私達と合流します」
 そうなるというのである。
「よいことにです」
「確かに。それではです」
 さらにだった。于吉はその言葉を続ける。
 
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