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歌集「春雪花」

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 音もなく

  君はいづこと

   惑ゑども

 かいなく秋の

    風に流るゝ



 彼の今を知る術はない…彼に会いたいと町へ出ても、彼を見つけることなど出来ない…。

 どれだけ探そうが…どれだけ待とうが…無意味なのだ…。


 今はただ…寂しく吹き抜ける秋風に…身を任せるしかないのだな…。



 色づける

  秋の木々にそ

   懐かしむ

 君と逢いしは

    夢かうつゝか



 木々の葉が様々に色づき…秋が深まりつつあることを物語る…。

 故郷の野山も…もう色づき始めているだろう…。

 彼は…こんな風に思うだろうか…。
 そんな秋の景色に…私は不安を覚える…。

 彼と出会ったのは…現実だったのだろうか…と。
 あれは夢ではなかったか…?


 それだけ長く…彼には会えていないのだ…。

 きっと…これからも…。



 
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