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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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786部分:第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその一


第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその一

         第六十四話  公孫賛、誰からも忘れられていたのこと
 袁紹と孫策はこれまでの勲功によりそれぞれ幽州、交州の牧になった。
 孫策はそれでよかった。しかし袁紹はだ。
「客が来ていますの?」
「はい、そうです」
「今ここに」
 こうだ。顔良と文醜が話す。
「来ていますが」
「どうされますか?」
「誰なのでして?」
 二人の言葉にだ。いぶかしみながら返す袁紹だった。
「華琳からの使者ではありませんわね」
「はい、本当によく知らない人です」
「どっかで見た気もしますけれど」
「何処かで?」
 袁紹は文醜のその言葉に反応を見せた。
「といいますと私も何処かで会った可能性もある方ですわね」
「麗羽様、とりあえずはです」
「御会いされてはどうでしょうか」
 彼女の左右に控えている田豊と沮授が進言してきた。
「どなたかわかりませんが」
「今は斗詩達もいますし」
 部屋には護衛役である審配もいた。彼女の目が光った。
「警備は万全です」
「何かあってもです」
「安全だというのですね」
 袁紹は軍師二人の言葉を聞いて述べた。
「そうですわね」
「はい、ですから」
「ここは会うべきです」
「わかりましたわ。それでは」
 こうしてだった。袁紹は彼女達を傍に置いたうえでその人物と話をした。それは。
「あら、貴女は」
「おい袁紹、幾ら何でも酷いぞ!」
 公孫賛であった。彼女は右手を拳にしてそれを振りかざして袁紹に抗議してきた。
「どうしてだ、幽州を私から奪った!」
「誰でして?」
 しかしであった。袁紹は怪訝な顔で彼女にこう告げた。
「貴女は」
「えっ、まさか御前も」
 公孫賛はここでわかった。袁紹が自分をどう見ているのかをだ。
「私のことを覚えていないのか?」
「だから誰でして?」
 本気で怪訝な顔で言う袁紹だった。
「覚えがありませんわよ」
「そうですよね。何か何処かで御会いしたとは思うのですけれど」
「誰だったっけ」
 顔良と文醜も階段の下でそれぞれ言う。階段の上の袁紹の左右には田豊と沮授がいる。そして部屋の扉には審配が控えている。
「ええと、何処で御会いしました?」
「ちょっと行ってくれないかな」 
「おい、顔良と文醜までそう言うのか」
「あれっ、私達の名前を知ってるのね」
「いやあ、あたい達も有名になったもんだぜ」
 二人はこう言うだけであった。
「ううん、それは嬉しいけれど」
「あんたはそれで誰なんだ?」
「だから公孫賛だ!」
 自分の名前を必死に訴える。
「白馬長史だ。知らないのか!?」
「白馬長史?」
「誰だったでしょうか」
 今度は田豊と沮授が怪訝な顔で言った。
「そんな人は知りませんけれど」
「そうよね。公孫賛という人も」
 軍師二人も知らなかった。尚この二人が袁紹陣営の頭脳である。
「それに幽州の牧は長い間空席でしたし」
「それで麗羽様が入られたし」
「そうですわ。幽州はそれが問題でしたのよ」
 そのあらたに幽州の牧となった人間の言葉だ。
 
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